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「うーん……やっぱないかぁ」 深夜、こそこそと提督ことマスターである沢木直保の住むマンション周辺で キャスターはいかにも怪しくうろついていたが、不満げに溜息を漏らしているところだった。 彼女が探しているのは燃料や鋼材。 キャスターとしては特殊な部類に入る彼女には必要なもの。 鋼材があれば耐久が上げられ、燃料があれば魔力回復が可能となる。 それは彼女が『艦娘』という艦隊を擬人化した存在であり 艦隊そのものであるが故の能力だからだ。 艦隊とはいっても種類は様々。 駆逐艦。 軽巡洋艦。 戦艦。 潜水艦。 補給艦。 重巡洋艦。 空母。 軽空母。 キャスターもとい隼鷹は軽空母に部類される。 文字通り、空母には様々な面において劣化したものだが、多少速さが保障されている。 防御力は劣化している――のが本来の軽空母なのだが キャスターの場合、艦隊としての逸話によって、さらには『地球』のキャスターとして召喚されたこともあり 耐久性はかなり上昇されてある。 折角だから自慢の耐久性を伸ばしたいところ。 だが、肝心な鋼材のある加工所らしきものは一切なかった。 「仕方ないなぁ……そこんとこはまた今度ってことで。お酒でも探すかー!」 もう一つの魔力確保である酒。 キャスターの魔力確保がそれなりに優れているが、彼女のマスターが魔術師でもなんでもないことを考慮すると。 プラスマイナス0という具合だろう。 キャスター。 なのだが、これまた変な話。このキャスターは陣地作成はしない。 航空戦により上空を掌握する。 手間暇をかけない点ではかなり優れている。 しかし、航空戦をするにあたって必要なのが戦闘機。 戦闘機を作成するのに、これまた魔力を必要とするのだ。 つまり何がなんでも魔力の確保をしなくてはならない。 どうせここは聖杯が作り上げた空間に過ぎない。 サーヴァントの前では人の法は適応されない。サーヴァントには『聖杯の法』が適応されるのだ。 それを裁定するのがルーラー。 即ち、『地球』の、『黒』のキャスターの場合。 彼女を裁くのは『黒』のルーラーである。 本来、それが正式なルールだ。 「――バル」 だが 「バル――バル――」 それでは駄目なのだ。 「バル――バルバル――」 それはサーヴァントを裁くだけであり、マスターを裁く『法』ではない 「バルバルバルバルバルバルバル」 だからこそ!故に!! 「バルバルバルバルバルバルバルバルバルバルバル!!」 『月』から来訪者が現れた! 白のバーサーカー!そして月のバーサーカー!! 彼は『地球』でもなく『月』でもない――第三の裁定者なのだ!! 慢心していたキャスターの背後から狂気を帯びた声を流し、バーサーカーは向かう。 バーサーカーの吠え声にキャスターは慌てた。 「えっ、え!?ちょ、ちょっと待った!タンマタンマ!!」 止まれと言って止まれるバーサーカーではない。 バーサーカーがキャスターの前に着地したその衝撃だけでキャスターは吹き飛ばされた。 改心の一撃を吹き飛ばされたことにより回避したのは、キャスターの俊敏ではなくもはや運だろう。 「よりによってバーサーカーじゃん!運悪いな、もー!!」 キャスターが愚痴を漏らしながら立ち上がった矢先、上空からもう一人。 青き断罪の炎を灯した存在が出現した。 「ひー!もう一体!?……ってこっちはマスター?」 「まずはその意思から問おう」 奇抜な恰好をしたマスターとバーサーカーに板挟みされ、キャスターは危機的状況にある。 まさかこんなタイミングに同陣営が助けに現れる奇跡もないだろう。 にしても、キャスターは危機感を煽るどころか非常に申し訳なさそうな表情で 「えっと……ごめん。もう降参していい?」 彼女の言葉に双方目立った反応は見せなかったが、実はひっかけでも何でもない。 キャスターは自衛する手段をまったく持ち合わせていないのだ。 軽空母らしく遠距離から戦闘機を送り込み、指示する。それだけしかできない。 攻撃手段としてはそれだけでも十分なのだが、それ以上のことができない。 つまり、直接攻撃されたら何もできないのだ。 「そのー……なんていうの?肩すかし食らわせるつもりはないんだけどさぁ…… あたし、マジで殴り合いとかそういうのできないんだよ。キャスターだから」 そうとも限らないのである意味キャスターに偏見を与えてしまうような言葉を漏らす彼女に バーサーカーのマスターが口を開く。 「強固たる望みはないと主張するか。主の渇望すら犠牲とすると」 「ん?う、うーん?えっとーそうだなー?? あたしに願いはないし、提督も元の世界帰りたいってだけだぜ」 難しい言いまわしをするそのマスターにキャスターが返事をした。 「他と比べたらそりゃふざけんなって感じだけど、あたしの提督――じゃなくってマスターは巻き込まれ型でさぁ 聖杯って数合わせの都合で無関係の奴巻き込むこともあるじゃん?それだよ、それ! あたし?まーあたしは適当に酒呑めたらなーって奴だから」 「成程。意思は理解した。バーサーカー」 マスターの言葉にバーサーカーは音もなく霊体化を遂げた。 キャスターはこの行動の意図が理解できずに、ポカンとしている。 「どういうこと?」 「汝の主張が偽りであれば断罪を下すまで。『月の法』に従い『正しき聖杯戦争』を行うがよい」 「????」 謎めいた言葉だけを残し、マスターの方も立ち去ってしまったのだ。 キャスターにはさっぱり理解できない。 白のバーサーカーのマスター・ルナティックだけが理解する。 彼女には戦う意思がなく、マスターも同じであると。 ここにキャスターのマスターは同席していなかったものの。 あっさりと降参するほどのキャスターの態度を見て、冗談半分ではないことは彼にも察せた。 キャスターがいかなる方法で戦うのかも不明確のままだが 嘘であればその時はその時だ。 取り残されたキャスターは釈然としないものの。 何故か見逃されたという結果だけが残されていた。 「よくわかんないなー。なんだったんだろ、アイツら」 あれは確かに月陣営のバーサーカーだ。 のちのち面倒なりうるキャスターを放置するのは何故か? 難しく考えないキャスターは、なんか事情があったのだろうと判断する。 「もしかして、こっちの陣営に行きたいってのもある?んーまぁいっか!!見逃してくれてラッキーだぜ!」 ◆◆◆ 「朝っぱらから飲んでる奴がいるかー!!!」 直保は空の缶ビールを並べ、ぐでんぐでんになっているキャスターに怒声をあげずにはいられなかった。 しかも、このビールは勝手に金を使われて購入したものらしい。 それなりの金が消費されているのに、直保は溜息をつく。 周囲に漂う菌たちは呑気に直保へ声をかけてきた。 『おはよーただやす~』 『お前起きるのおせーぞ~』 「あぁ……おはよう。……そうだ。なぁ、キャスターの奴、なにしてたんだ?」 こういう掴めない状況に対しては彼らから情報を仕入れるのが良い。 すると、菌たちは口々に話す。 『なんか作ってたぞ~』 『女に働かせて何もしないなんて、駄目な男だなー』 『お前もなにかしろよ、ただやすー』 「一言余計だ!」 しかし、何か作っていた。というのは恐らく戦闘機だ。 彼女なりに戦う準備をしている、ということ。 それを聞いて、確かに菌たちも主張も一理あった。 でも俺に出来る事ってなんだ? 真っ先に浮かんだのは菌たちだ。 魔術師の中には菌を操るものがいる――のかも分からない。 だが、やってみないことには始まらない。彼らを使えばもしかしたら ……こいつらを利用するなんて言い方は、やっぱり後気味悪いよな。 直保自身、菌が肉眼で見える能力に悩まされた事はあるし、無くしたいとすら思ったこともある。 だけども彼らに罪はないのだ。 彼らによって世界が成り立っているところもある。 半ば友のような存在。 聖杯戦争なんて――巻き込ませたくないんだけどな。 直保は最後に踏みとどまって決心することは出来ずに終わった。 だけどなるべくそうしたくはない。 せめて最低限のことだけしようと菌たちに言葉を告げた。 「この辺りで変わった事があったら俺に知らせてくれ」 『なんだ?なにかあるのかー?』 『おもしろそうだな』 『わかったぞ~!』 俺にできることはこのくらいだ。あとは―― 爆睡しているキャスターに再び溜息をつくと、直保は静かに毛布をかぶせてやった。 取りあえず学校には行って。 それからどうするか考えようと直保はいつも通りの日常を始めた。 刻一刻と聖杯戦争の影が蝕もうとも関係なく。 【B-8/マンション/1日目 早朝】 【沢木直保@もやしもん】 [状態]健康 [陣営]地球 [令呪]残り3画 [装備]なし [道具]鞄(筆記用具類)、携帯端末 [所持金]大学生としては普通(キャスターが使用しある程度減っている) [思考・状況] 基本行動方針:元の世界へ帰りたい 1.いつも通り通学。これからどうするかは大学で考える。 2.今のところ菌たちには調査だけさせる。 [備考] ※自宅マンションがあるB-8周辺、直保の周辺で発生した事件を菌たちに調査させています。 ※通う大学がどこにあるかは後の書き手様におまかせします。 【キャスター(隼鷹)@艦隊これくしょん】 [状態]爆睡、泥酔、魔力回復済み [陣営]地球 [装備]戦闘機(全搭載) [道具]なし [所持金]なし [思考・状況] 基本行動方針:まーできるだけ頑張るよ! 0.もう飲めない、寝る! 1.同陣営と誰でもいいから合流したい。 2.アイツら(バーサーカー組)なんなんだろ。いい奴ってことでいっか! 3.できれば鋼材が欲しい [備考] ※戦闘機を全搭載まで作成しました。これ以上作成しても予備の戦闘機を確保できません。 ※白(月)のバーサーカー組は敵ではないと判断しています。 ◆◆◆ 「あれがキャスターのマスターか」 それを監視しているのは一人の男、ルナティックの表の顔――ユーリ・ペトロフ。 念の為、キャスターには手出ししなかったものの、彼女を追跡していた。 間抜けなことに彼女は霊体化もせず、あのマンションに帰宅していた。 ある意味ではちゃんと金を払って酒を入手していたから、律儀とも言えるかもしれない。 確認したところ『沢木』という名が表札としてつけられている。 この時間帯でラフな恰好で外出したところを見ると、大学生辺りだと察せられた。 これだけでも十分な収穫だ。 ユーリは腕時計で確認する。 そろそろ職場へ向かわなくてはならない。 沢木直保に大学生としての役割があるのならば、ユーリ・ペトロフにもまた裁判官としての職務がある。 聖杯戦争があろうがなかろうが。 それを変える事はしない。 正直、この状況で他のマスターと出くわすことはそうそう叶いはしない。 また『月』が浮かぶ夜。 ルナティックとして闇に身を溶け込ませ、動くべきだろう。 もちろん、マスターである沢木直保に話をするのも悪くはないが ユーリとしては一刻も早く多くのマスターと接触することを優先させた。 「私は全てをマスターを見定めなくてはらない。そしてタナトスの声を聞かせるのだ」 弱者は生かし、悪しき者を殺す。 第三の裁定者として彼自身が架した使命の名の基に。 【B-8/マンション前/1日目 早朝】 【ユーリ・ペトロフ(ルナティック)@TIGER BUNNY】 [状態]健康、ユーリ・ペトロフとしての姿 [陣営]月 [令呪]残り3画 [装備]なし [道具]携帯端末 [所持金]不明 [思考・状況] 基本行動方針:『月の法』に従い、聖杯戦争を正しく運行する。 1.昼間は職務を行う。 2.戦闘よりも全てのマスターの見定めを優先させる [備考] ※黒(地球)のキャスターのパラメーターを確認しました。 ※黒(地球)のキャスターのマスターが『沢木』という名であることを確認。 またその所在地であるマンションを把握しました。 ※現在の段階では黒(地球)のキャスター組を生き残らせる方針にしています。 【バーサーカー(バオー/橋沢育郎)@バオー来訪者】 [状態]霊体化 [陣営]月 [装備] [道具] [所持金]なし [思考・状況] 基本行動方針:??? 1.??? 投下順で読む Next 『勝利条件の確認』
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あなたは唐突に中空に浮かんでいた。 そこは、まるで小惑星帯のように星々が動き、またぶつかり合っている宇宙空間のようだ。 周囲を見渡すと、銀髪の青年が目の前に立っていることに気づいた。 「やあ。この地に最後まで残ったマスター」 青年は柔らかい物腰で語り掛ける。 「改めて自己紹介しておこう。僕はこの聖杯戦争を司る裁定者、ルーラーのサーヴァント『アルヴィース』だ。 聖杯戦争の本選開始まで、後1時間も無い。そこで君に質問をしよう。君が抱くのが『できれば叶えたい』という程度の願いならば、これ以上は止めておくことをお勧めするよ。 今なら僕に与えられた令呪で、瞬時に君を元の世界へ帰還させる事が出来る。どうだい?」 あなたは言葉を発さないことで、帰還の意思がないことを示した。 「帰る気は無いようだね。では、質問をもう一つしよう」 アルヴィースは指を一本立てた。 「『この聖杯戦争は聖杯のあるべき場所『楽園』に辿り着く者が既に確定している。そして、それは君ではない』」 その言葉をアルヴィースが口にした瞬間、あなたの頭の中を何かが通り抜けた。彼の言ったことは真実であると思うようになった。 「そう知ったとしても、君は戦えるかい? 奇跡に手を伸ばせるのかい?」 聖杯を手に入れるのは自分ではない。そう悟ったあなたの返答は―― 『そうだとしても、確定した未来の後は白紙でしょ? 勝者の横からぶん殴って聖杯を手に入れられる可能性がある以上、未来が決まっていても、まだ現在を変える余地があるなら私は決してあきらめないわ』 『だったらそいつが聖杯にたどり着く道を探り、横から令呪をかっさらって私が願いを叶える』 『僕は別に人を殺してまで聖杯を手に入れる気はないよ。でも最後のマスターがどんな願いを叶えるのか見届けたい』 『辿り着く者が決まっていたとしても、その後聖杯を手に入れるとは限りません。あなたが測定した未来でも現在を変える権利は今を生きる僕たちにあり、そして聖杯を手に入れるのは僕です』 『なら、俺とその一人が生き残った時点で、そいつを死ぬ方がマシな状態まで追い詰め俺の願いを叶えさせればいい』 『私は! そんなこと信じない! 私は聖杯を手に入れて過去をやり直す!』 『波紋の催眠術みてーなこと使って言われても信じられねーな。それに俺は黒幕をぶちのめすのが目的なんだ。聖杯は悪人の手に渡らなければそれでいい』 『聖杯を一目見ようとは思うが、僕はそこまで執着していない。あなたを倒すのは僕の目的の一つだ。特にスタンド能力のようなものを使い、意志を無理やり押し付ける相手は』 『それがあなたの未来予測だとしても、私は聖杯を求めるわ。諦めるよりやって後悔した方がいいもの』 『私は聖杯に叶えるべき願いはありません。ですが最後の一人が私欲で世界に悪意をもたらすのならば、それを止めます』 『……その言葉が真実だとしても、俺は友に会いに行く。絶対に』 『俺は聖杯にたどり着く結果より、そこまでの過程で何を信じたくて、何を願いたいかを知りたい。だから手に入らないとしても戦う』 『そいつがマスター全員を殺しつくした上でたどり着くのなら、そいつの願いと造る世界はさぞ醜いものだろう。俺が手に入れなくても人間は皆必要なら誰でも殺すことが示されればそれでいい』 『なんでそんなこと言うの? ぼくは家族のために、ポーキーにむちゃくちゃにされた世界をなおすために聖杯を使いたいのに。その思いはアルヴィースに聖杯に行けないと言われても変わらないよ』 『それならそのたどり着く人の首にかぶりついて、無理やり私の願いを叶えさせるわ』 『私は……聖杯を手に入れる。そのためならそのたどり着く人が聖杯に向かう途中でその人を殺してでも聖杯にたどり着く』 『貴方は高天原と同じで価値を決める意志がない。ならば私が聖杯とその担い手を見極めましょう。遥かな過去、聖杯と似た力を持つ矛を奪い取った者として』 『もし聖杯が手に入らなくても、私が先輩を殺しさえしなければそれでいいんです』 『……もうあたしに戻る道はねえ。戻っても行っても死ぬのなら戦って死ぬ』 『不可能だとしても最後まで戦う。元々俺は国を相手にしてきたんだ。今更言葉一つで決意が変わりはしない』 『あんたも"大赦"と同じよ。いいように人を操ろうとするそんな奴のいう事なんて信じられないわ。私は絶対に聖杯を手に入れる!』 『それでも俺は最後まであきらめずに戦い、生きるよ』 『『もし人が私に繋がっており、また私がその人と繋がっておれば、その人は実を豊かに結ぶようになる』。私が聖杯に到達できなくとも『人はなぜ出会うのか?』。その「答え」を知る者が現れればいい』 『洗脳など私にとっては無意味だ。聖杯を手に入れるのは私以外にいない』 『とーぜん! だってあたいはサイキョーなんだから!』 『私じゃなければエミリコが手に入れる可能性もあるってことね。たとえ私が死んでもエミリコは必ず元の世界に戻して、あの忌まわしいおじい様を倒してみせるわ』 『その辿りつく者ってのは『主催者』か『黒幕』の事じゃねえのか? もしくは辿り着いたヤツをそいつらが利用するとか。どっちにしても聖杯に繋がる道を見つけ裏から操ってる黒幕野郎をブチのめしてみせるぜ』 『それなら『前』みたいに辿り着く道を探って横からそいつを殺すだけよ』 『俺は俺が聖杯にたどり着けなくても、戦いを止めるため、人を救うため戦うだけだ』 『私はまだ聖杯が何なのかも、どう願いを叶えるのかもわからない。だけどお前の言うことが本当だとしても、私は私を取り戻すために戦う』 『それでも例えばマスターみんなでそこに行きさえすれば、誰が本当にたどり着く人間かなんてわからなくなっちゃうでしょ? 私はそのために戦うわ』 「君の『覚悟』は受け取った。その意志が強く保たれん事を」 あなたとアルヴィースの距離が離れてゆき、小惑星帯のような景色は暗闇に塗りつぶされていった。 ◇ ◇ ◇ 教会内で言峰綺礼とDIOがそれぞれ手を後ろに、前に組んで空中投影パネルの前に立つ。 カウントタイマーが00 00 00 00になった瞬間、パネルにマスターの名前とサーヴァントが並んで表示された。 01.マスター:遠坂凛 サーヴァント:セイバー 02.マスター:巴あや サーヴァント:セイバー 03.マスター:ユウキ サーヴァント:セイバー 04.マスター:レオナルド・ビスタリオ・ハーヴェイ サーヴァント:セイバー 05.マスター:黒岩満 サーヴァント:セイバー 06.マスター:二階堂ルイ サーヴァント:アーチャー 07.マスター:ジョセフ・ジョースター サーヴァント:アーチャー 08.マスター:パンナコッタ・フーゴ サーヴァント:アーチャー 09.マスター:朝倉涼子 サーヴァント:ランサー 10.マスター:胡蝶カナエ サーヴァント:ランサー 11.マスター:静寂なるハルゲント サーヴァント:ランサー 12.マスター:吉野順平 サーヴァント:ライダー 13.マスター:尾形百之助 サーヴァント:ライダー 14.マスター:クラウス サーヴァント:ライダー 15.マスター:エスター・コールマン サーヴァント:キャスター 16.マスター:新条アカネ サーヴァント:キャスター 17.マスター:日瑠子 サーヴァント:キャスター 18.マスター:間桐桜 サーヴァント:キャスター 19.マスター:佐倉杏子 サーヴァント:キャスター 20.マスター:キロランケ サーヴァント:アサシン 21.マスター:犬吠埼風 サーヴァント:アサシン 22.マスター:千翼 サーヴァント:アサシン 23.マスター:エンリコ・プッチ サーヴァント:アサシン 24.マスター:ザキラ サーヴァント:バーサーカー 25.マスター:チルノ サーヴァント:バーサーカー 26.マスター:ケイト・シャドー/エミリコ サーヴァント:バーサーカー 27.マスター:エドワード・エルリック サーヴァント:バーサーカー 28.マスター:和田垣さくら サーヴァント:アヴェンジャー 29.マスター:衛宮士郎 サーヴァント:アルターエゴ 30.マスター:小蝶辺明日子(■■▪■) サーヴァント:アルターエゴ 31.マスター:イリヤスフィール・フォン・アインツベルン サーヴァント:ブレイド XX.マスター:ミザリィ サーヴァント:アヴェンジャー、フォーリナー 「ミザリィを除いた全マスターの端末に回線を接続」 綺礼が口を開く。 「只今を以って聖杯戦争の本戦開始を宣言する。これより各自元の世界に戻るための扉は消え去り、聖杯を手に入れ帰還できるのはただ一人となった。 その事実を認識し、皆存分に殺し合い給え。そして汝自身を以って最強を証明せよ。 されば『天の聖杯』は勝者の元にもたらされん」 ◇ ◇ ◇ ビッグアイ屋上。 真下で正月のパレードが行進している中、ガラクシアはそれを怒りの念を込めて睨みつけた。 「憎み、恨み、叫び、吠え、全ての者に何物とも知れぬ怒りを抱いてきた同志たちよ」 ガラクシアは高らかに宣言する。 「時は満ちた。今こそ、我らガラクシアの底無き憎悪を存分に叩きつける時だ!」 ガラクシアの胴体から機械の部品が作り出され、一つの何かが構築されようとしている。 出来上がっていく形は、巨大な爆弾だ。 完成した瞬間、ガラクシアはためらいなく起爆。轟音が鳴り響き、爆風が夜空を赤く染めた。 ◇ ◇ ◇ 物質転換炉、特別捜査官ルームにてオペレーターが叫んだ。 「『ビッグアイ』屋上で大規模な爆発が確認されました!」 「録画をズームして爆発の対象を確認」 動揺するオペレーターに対し、冷静にアルヴィースは指示を下す。 「これは……女性です! 女性が爆弾に体を変換しているようです!」 「顔認証システムで全ての監視カメラから同一人物をチェック」 意図が分からないままオペレーターは指示に従い検索を始めた。 「確認できました。対象一致者はB-1地区『Eアイランド』内、D-2地区『ラストアンコール』屋上。D-5地区タウンゼン街、C-6地区ティア―ブリッジ1のケーブル上です。 その全てが、10名以上の武装した人間を連れています」 「起動兵を随伴した防衛隊を出動。武装した人間共々テロリストグループ「ガラクシア」として処理。抵抗するなら射殺も許可」 「了解しました」 驚きを隠せないルーム内のメンバーはアルヴィースに尋ねた。 「捜査官……あれは我々にとって未知の起動兵なのでしょうか……。自我を持つ起動兵は我々も所持していますが」 「あれは憤怒と憎悪の結晶だ。これが未知というならこれから先僕たちはさらに未知なる異変を目撃することになる」 そう言ってアルヴィースはモニターに目を向けた。 「これで全ては始まった。これからは君たちマスターが未来を、世界を創るんだ。 叶うならば、停滞と閉塞の未来ではないことを」 アルヴィースは誰にも聞こえぬ小声で呟く。かつて自身が見届けた『二つ』の『世界創造』を思い起こして。 ――――聖杯戦争、開幕――――
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「うわっ!寝過ごしーーあれ‥‥?」 チョコこと黒鳥千代子が目覚めたのはもうすぐ6時になろうかという時だった。カーテン越しに射し込んだ朝日に照らされた時計を見て思いの外早起きしてしまった自分を恨めしく思いつつ、あと二時間は寝れるなとすぐさま二度寝に入る。 しかし。 「寝れない‥‥」 なぜな目が冴えている。眠気がやって来るどころかなにか大事なことをやり忘れているような気すらしてくる。頭にかかったもやを払うかのように頭をふり、考えること数十秒。 「‥‥あー、ドリルやらなきゃ。」 ようやくすっきりしはじめた頭で思い出したのは宿題のことだった。これをやらないとまた怒られる。いやいやながらも起き上がり学習机に座って始めようとするが。 「あれっ、どこだっけ?ドリルドリルドリーードリル?」 今度はドリルが見つからない。そもそもどんなドリルかがまず思い出せない。これはまずい。宿題を忘れているのに忘れていたことを忘れているパターンだ。ランドセルにはそれらしいものもないしもしかして学校に忘れたのだろうか。 「ううん、学校には持っていってないし持っていけるわけない。それに松岡先生はあんなガミガミ怒らない‥‥あれ?じゃあーー」 じゃあ誰に怒られていたのだろうか。そもそもなぜ学校に持っていってはいけないのか。そんなドリルってどんなドリルなんだ。松岡なんて先生は学校にいただろうか。そんなまともな先生だっただろうか。考えれば考えるほど頭に霧がかかり、そして。 「ーーよし、寝よう。」 チョコは考えることをやめた。なんかめんどくさくなってきた。ぶっちゃけ思い出すとろくでもないことになりそうな気もした。元はオタク系だもん、しかたないよ。しかしここで問題が起きる。既に目は冴えてしまっていていかんせん寝つけない。かといってこんな時間に寝ないのもいかがなものか。結果眠くなるまでとりあえず魔法書でも読んでごろごろしてようと思い本棚を見る。だが、そこに肝心の魔法書がない。 「ウソ、なんで!あれ!?」 めっちゃ驚いた。趣味の魔法書が一冊もなくなってるとか地獄少女全巻無くしたのの半分くらいのレベルだ。これにはさすがに焦り魔法書を慌てて探し始めるも、ない。出てくるのは輪島塗の箸に黒いゴスロリとわけのわからないものばかりで。ほんと箸とゴスロリしかなくて。ほんと箸とゴスロリしかなくて。 「ーーあっ、そっか。あー‥‥」 ようやく思い出した、なぜ自分がここにいるのかを。なぜこんな時間に起きてドリルなんかやろうとしてたのかを。 「あたし黒魔女さんだった。」 チョコはすぐにゴスロリに着替えると紙とペンを取り出す。黒魔女修行の朝練が無くなったのはいいがそれより大変なことが既に起こっている。 聖杯戦争のルールはさっき思い出した。使い魔を呼んで戦うポケモン的なものだったはずだ。負けたら死ぬというのが実に黒魔法らしい。 チョコは書き上げた紙を見る。いわゆるこっくりさんの時に使う紙だが、彼女が黒魔女になったときを思い出しながら書いたのでキューピットさんと呼ぶべきか。 紙を床に置き、手をその上に置く。 サーヴァントを呼び出す呪文は思いつかない。ので、彼女にとって一番思い出深い呪文を使うことにした。 「ギュービッドざん、ギュービッドざん、南の窓がらお入りぐだざい」 唱えたのは始まりの呪文。彼女が黒魔女になることになった、自らの師を呼び出した呪文。 彼女が求めたサーヴァントは自らの師のようなサーヴァント。この聖杯戦争で最も頼りになるイメージを浮かべその呪文を唱える。 そして、光だした紙を直視できなくなり彼女が目をつむったときその声は聞こえた。 「お前が私のマスターか?」 その声は彼女が求めたものとあまりに似ていて。 目を開けたらとき目の前には一人の美女が立っていた。彼女の師と同じように銀髪で、彼女の師とは真反対の白ずくめの服。 薄く微笑んだその姿に思わず見とれていて。 ムニッ。 (なっ!?) 唐突にほっぺたを引っ張られた。 「令呪があるならマスターだな。最初にいっておくが私のステータスは思ったより高くなかったがお前からの魔力供給しだいで変わってくる。それと聖杯戦争についてだがまず最初は動くな。漁夫の利を狙われるのがオチだ。最初は情報を集めるんだ。敵のサーヴァントを見つけたからといって積極的に襲うのはもっての他だ。これだけの数のサーヴァントがいれば自然と徒党を組み始める。あとライダーのクラスには気をつけろ。空を飛べたり対軍宝具を持ってたりしたらマスターを狙われる。」 微笑みからは想像できない真剣な顔でそのサーヴァントはそう言った。サーヴァントは歴史上の英雄らしいから昔そういう人と戦ったこともあるのだろう。 とりあえずドラゴンは恐いって思った。 【東京/2014年7月1日(火)0620】 【マスター】 黒鳥千代子@黒魔女さんが通る!! 【参加方法】 『黒魔女さんのクリスマス』において異端審問にかけられそうになったときに持ってた輪島塗の箸がゴルフェの木片だったっぽい。 【マスターとしての願い】 とりあえず元の世界に帰って異端審問をどうにかしておばあちゃん達を助け出してあとついでに黒魔女やめたい。 【weapon】 杖(輪島塗の箸。) ゴスロリ(着てると静電気のように溜まった魔力の影響で魔法が使いやすくなる。魔法でいつもキレイ) 【能力・技能】 黒魔女三級程度の魔法は一通り覚えているが使いこなせるかは別。とりあえず人に死の呪いをかける即死呪文はうまく使えない、はず。 また彼女の世界の魔法体系のせいで『時間あたりの供給量は少ないが魔力は実質無尽蔵』というわけのわからないことになっている。供給量の上限を上げることは相当練習しないとムリ。 【人物背景】 第一小学校五年一組。通称チョコ。 黒髪おかっぱで運動神経はもちろん頭も悪い。一人と夜とオカルトが好きというニチアサの主人公には絶対になれないタイプ。 祖母が魔女であったことから黒魔法の才能があり、魔界から派遣されたインストラクターのギュービッドのもとで黒魔女の修行をしているが、いやいややらされているため本人は黒魔女になったらすぐに黒魔女をやめる気でいる。 今回異端審問官のロベに嵌められ異端審問を受けることになり、その最中になんとかしようと考えてたら聖杯戦争に参加していた。 【方針】 負けたくはない。でも傷つけたくもない。 サーヴァントに言われたことをとりあえず守る。 ていうかまずは名前を聞きたい。 【クラス】 セイバー 【真名】 テレサ@クレイモア 【パラメーター】 筋力B+ 耐久B 敏捷B+ 魔力A+ 幸運D 宝具B 【属性】 中立・善 【クラススキル】 対魔力:B 魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。 騎乗:** セイバークラスにあるまじきことだが、騎乗スキルは存在しない。 【保有スキル】 半人半妖:B その身に妖魔の血肉を取り入れた者。単独行動:Bに加えて実体化に必要な魔力が他のサーヴァントより少なくて済む効果を持つ。さらに妖魔の成り立ちから、対竜宝具の攻撃により受けるダメージが多少追加される。以下のスキルは全てこのスキルに基づく。 妖力解放:A 魔力を身体強化に注ぎ込み、筋力、耐久、敏捷値を上昇させる。総魔力量の10%以上で瞳の色が金色に、30%以上で顔つきが醜く変貌し、50%以上で身体つきが変化する。 80%を超えると元に戻れなくなり、妖魔として覚醒する。 再生能力:C 魔力を消費し、肉体を復元するスキル。有害な毒素を体外に弾くこともできる。時間をかければ切断された四肢の接続が可能。魔力の消費量に伴い、妖力解放に順じた肉体の変貌が起きる。 気配遮断:D サーヴァントの気配を絶つ。魔力とその漏洩を極限まで抑える能力。 【宝具】 『妖気探知』 ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:1000 テレサの所持する最もずば抜けた能力が、宝具として昇華された。 テレサを中心とした半径数Km圏内の魔力を感知し、位置と大きさを正確に捕捉できる。強い魔力や同じ探知 の気配なら圏外でも感知する。さらに気配遮断さえ見破ることが可能。 戦闘時には敵の魔力の大きさ、流れを一つ残らず掴み取り、全ての行動、攻撃の軌道を予測する。 『無銘・大剣(クレイモア)』 ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:2~4 最大捕捉:1 クレイモアはテレサの元居た世界では戦士の象徴、代名詞として扱われているため、宝具として登録され た。 特殊な能力は一切無いが非常に硬度が高く、格上の宝具と打ち合ってもそれが単純な物理攻撃なら、折れる どころか刃毀れ一つ作ることは無い。 【Weapon】 『無銘・大剣(クレイモア)』 テレサの宝具でもある。 【人物背景】 人間に擬態し人を食う妖魔と、それに対抗するべく妖魔の血肉を取り入れて人外の身体能力を手に入れた、 半人半妖の戦士が戦う世界。その世界でテレサは全現役戦士のナンバー1、さらに歴代ナンバー1の中でも最強とまで謳われる存在だった。 力、素速さ、剣技の全てが並の戦士をはるかに上回り、特に相手の妖気を感知する能力が極めて優れ、妖気の流れ、強弱から動きを予測する先読みを得意とし、いかなる相手、人数であっても微笑みを絶やさず敵を殲滅すること、そしてそれ以外に特に目のつく戦い方をしないことから「微笑のテレサ」の異名を持つ。 人間にも同僚の戦士にも何も期待することなく、生き甲斐を感じる訳でもなく淡々と妖魔退治をしていたが、ある依頼で偶然妖魔に連れ回されていたクレアを助けたことで、運命が変わることになる。最初は勝手についてくるクレアを疎ましく思っていたが、クレアの追う理由がテレサがずっと押し殺してきた心の痛みを抱きしめていたいという理由だったことから、互いにかけがえのない存在となる。 その後、クレアが人として幸せをつかむことを願って妖魔を退治した村に預けたが、その村が盗賊に襲わ れ、クレアを助けるため盗賊達を皆殺しにした。その為粛清される所を、逆に他の戦士を斬りクレアのためだけに生きることを決意し、組織を離反して追われる身となった。 追手として選ばれたテレサ以下のナンバー2からナンバー5の四人という当時最強の布陣を妖力解放無しの圧倒的な強さにより返り討ちにしたが、いずれ自分の強さを超えると直感したプリシラの止めを刺さなかっ た情けが仇となり、一人でテレサを殺すため無理な妖力解放をし、限界点を越え後は覚醒を待つのみとなっ たプリシラに自分を殺すよう頼まれ止めを刺そうとした瞬間、逆に両腕を斬り落とされ、首を刎ねられて死 亡した。 【聖杯への願い】 受肉してクレアと暮らす。 【基本戦術、方針、運用法】 予選期間中は本選の準備のために潜伏。 基本は陣地に篭もり情報収集に専念し作戦を立てる。 戦闘以外の部門は魔術師らしいマスターに期待したいがたぶんムリ。 戦闘はセイバーらしく剣による接近戦を主とし戦っていくが、気配遮断のスキルを活用してマスターを狙っていくのもあり。妖力解放もマスターの支援があれば大きな戦力として数えることができる。 徒党を組むことも考慮に入れる。 あと竜種は最大限警戒。
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加入条件 最初から 解説&特徴 ルドラサウム世界における3人の主人公の内の一人で、Ranceシリーズの主人公。 本作では、高いHPと攻撃力、継戦能力を両立させたパーティーのメインアタッカー。代名詞でもある攻撃系のユニークスキル『ランスアタック』をはじめとして、剣系の攻撃スキルで敵を片っ端から叩き落としていくのがセオリースタイル。 固有スキル スキル名 備考 ランスアタック 逃げる 罵詈雑言 SEX技術 禁欲モルルン 消去不可 戦士の才能★ 消去不可 おすすめスキル 列車斬り高い攻撃力との相性は抜群。一撃で前衛を屠れれば他キャラのスキル節約にも繋がる。1ターン目から使えるのも◎。 ランスアタック一つ二つ格上の敵だろうと、容赦なく吹っ飛ばす。初動Lock属性だが、2ターン目以降は毎ターン使用可能。3回くらい使えるようにしておくのが理想だが、スキルポイントをガッツリ消費するので、自分のプレイスタイルと要相談。 攻撃強化付けるなら最大付与まで。Lvを上げまくると費用対効果の面で微妙になってくるが、ランスの場合はスキルポイントをあまり気にする必要ないので、その点では鉄板スキル。 コメント 個別ページ必要だと思って作ったけど、どんな情報が必要かわからんので、6wikiのを丸ごと引用。プロフィールとかいるのかな -- 名無しさん (2011-08-22 08 43 56) プロフィールはいらなくね? -- 名無しさん (2011-08-27 08 40 24) おすすめスキルみたいなのは不要かと キャラ固有のスキルだけで -- 名無しさん (2011-08-28 20 38 28) ↑別にあってもいいじゃない 特にスキルポイントの使い道は重要だし -- 名無しさん (2011-08-28 21 00 55) ↑全て他のファイターに言えることだろ 全てのファイターに同じこと書くつもりか? -- 名無しさん (2011-08-29 06 55 35) 効率と攻撃とかねーわ、ポイントかつかつなのにそんなゴミ勧めるなよ。勘違いする奴でてくるぞ -- 名無しさん (2011-08-29 16 02 44) 他に取るべきスキルがあれば編集すればいいだけ。というより、このコメントの流れだと個別ページ自体要らないんじゃね? -- 名無しさん (2011-08-29 17 52 14) セックス技術の詳細求む -- 名無しさん (2011-08-29 20 19 02) 個人的に鎚がお勧め、攻撃1が多いランスの場合鎚☆2にすると限界値が無くなるから常時1000越えが余裕に中盤以降の話だけど・・・ -- 名無しさん (2011-08-30 00 20 03) ランスに限った話じゃないでしょ。鎚武器が優遇されすぎてて、近接職は他武器を選ぶメリットがないのが現状 -- 名無しさん (2011-08-30 01 18 58) 鎚は強すぎてゲームバランスおかしくなるからお勧めできない ゆとり武器 -- 名無しさん (2011-08-30 03 54 52) スキルは、スキル解説ページが別個であるから、覚えられるスキルの一覧だけで良いんじゃね? -- 名無しさん (2011-08-31 15 31 33) 鎚は罠スキルに変更次のアップデートで限界突破が無くなり90%ですら一度の冒険で3回ぐらいミスするのにさらに85%に変更、片方だけ修正でよかったのにこれで罠武器確定 -- 名無しさん (2011-09-03 10 24 53) 名前 コメント
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歓喜の聖杯戦争AAR 概要 俺が楽しい聖杯戦争を教えてやる――少佐 参戦環境 シナリオ 2014年、冬木 担当クラス 聖杯戦争における最高エンジョイクラスことライダー ルーラー あり エクストラクラス 不明 小聖杯の有無 不明 聖杯の汚染 不明 1日目18時37分 歓喜の設定確認 「少佐殿おはようございます!今日も一日ハイテンションでいきましょう!!」 「うるせえよもう夜の6時過ぎだろ馬鹿!!」 「まずは下のステータスをご覧ください。」 筋力E 耐久E 敏捷E 魔力E 幸運E 「なんだこれは……絶望的なスペックだなぁ。」 「続いて下のスキルと宝具をご覧ください。」 対魔力 A カリスマ A 軍略 A 破壊工作 A 吸血鬼 E 肥満 D 宝具 E 「なんだこれは……ピーキーな構成だなぁ……ちょっと待て。」 「どうしました?」 「教授《ドク》、私のクラスはライダーだな?」 「そのはずです。」 「騎乗スキルが見えないのは……誤植でしょうか……?」 「いや……マスターから聞き取りしたのをまとめたので多分抜けたのかと。」 「肥満がスキルになって騎乗がスキルにないとはおかしいだろぉ!?」 「そもそもご自分のマトリクスを把握していないのはなんでなんですかね……」 「俺もサーヴァントになって気付いたんだけど自分じゃ確認できないんだよ……どうりでセイバーもアヴァロン忘れてくるわけだ。」 「ええ……」 「ところでお前がここにいるってことは他のサーヴァントの監視はどうなるってるんだ?」 「そんなもの私に出きるわけないじゃないですか、理系ですよ?」 「あれ、陣地構築は?」 「キャスターのクラススキルもないのにそんなこと無理に決まっているでしょ。ホテルからくすねたトランシーバーに細工して観葉植物に突っ込んで終わりです。」 「ええ……」 「麻雀とかジェンガやってるだけだし平気平気。」 1日目18時39分 歓喜の状況確認 「では続いてこれまでの聖杯戦争の確認です。といっても私が本選で召喚されたのは昼だったのでこちらは少佐殿にお願いいたします。」 「まあ大体はお前喚んだ時に説明したから三行で纏めるぞ。」 一、本選始まって直ぐに魔弾の射手を冬木大橋に威力偵察出したら仮面ライダーに殺された 二、伊達男召喚して冬木大橋に偵察させたらサーヴァント見つけたりドラえもん見つけたりして最終的にカルナに殺された 三、准尉召喚してセイバー探したり伊達男の偵察引き継がせたりした 「こんなんだな。」 「まあ私が知ってるのと変わりありませんね。ところでこの仮面ライダーってあの黒いバーサーカーですかね?」 「それはわからん。あのアギトっぽいのと形は似てるが色が赤から紫に変わった。フォームチェンジできる平成ライダー多いからなあ。」 「なるほど、して、セイバーに言及していないようですが?」 「それがよぉ~准尉に衛宮邸とかの原作スポット聖地巡礼させたんだけどさぁ~どこにも居ないんだよ!」 「予選の時にリップバーンが一度凛と一緒に歩いているそれっぽい人を見かけただけですよ?予選落ちしたのでは?」 「教授、セイバーがいない聖杯戦争なんてあり得ない、わかるな。」 「しかしこの聖杯戦争はカニファン時空かもしれませんよ?」 「それもまた素敵だが、安心したまえ、手がかりはある。遠坂邸にバイクが止まっているのが見えた。多分騎乗スキル持ちのサーヴァントを凛ちゃんが引いたと思うんですけど。これでセイバーがサーヴァントじゃないってあり得ないでしょ。」 「原作マスターと原作サーヴァントの組み合わせで遠坂凛のサーヴァントがセイバーだと?」 「違うぅ?」 「その組み合わせだとメデューサの方があり得るんじゃ……」 「……」 「……」 「あ、それとワカメん家にもなんか人の出入りがありそうだって准尉が言ってた。」 「これは桜がエミヤ引いてるパターンですねぇ!頑張っていきましょう!!」 「おっぱい星人め。」 1日目18時42分 歓喜の外交確認 「教授、そろそろ腹へったから巻いていくぞ。今日だけ7時から上のレストランでレバノン料理が食えるらしい。」 「ご安心を、これで最後です。というわけでこのリストをご覧ください。」 マイケル アーチャー 高遠いおり ランサー 日野茜 ランサー 色丞狂介 キャスター 九重 アサシン 美遊 バーサーカー のび太 アーチャー(まほろ) 他三組 「これもうどこからツッコめばいいかわからんな。教授。」 「こちら現在我々と非敵対的な参加者の一覧となっております。野良サーヴァントや、野良マスター、それに間接的に関係のある主従も加えておきました。」 「どう見ても七騎で収まってないどころかクラスもかぶってるんだが、これあれか?佐々木小次郎とハサンみたいなもんか?それとも月の聖杯戦争だからか?」 「たぶんextraにならって128騎いるのかと。」 「トーナメント式だったら確実に一回戦負けだったな、俺ら。」 真田幸村、色丞狂介、パピヨン、美遊、アギト、のび太、まほろさん 「え、まだやんの。」 「真名が分かってるサーヴァントだけでも扱い方を説明しておこうと思いまして。」 「しょーがねーなあ。ところで私は今回の聖杯戦争はヘルシング in Fateだと思ってたんだが。」 のび太 の び 太 の び 太 「のび太いるよな?」 「居ますね。」 「あれのび太だよな?」 「私も実物見たのは初めてなんでちょっと自信ないですけどのび太ですよあれは。」 「……え、ヤバくない?アーカード殺して大団円迎えたからお祭り企画に招かれたと思ったけど違うのこれ。」 「コロコロと型月のコラボですかね。」 「ないだろ。おまけにのび太のサーヴァントドラえもんだったぞ。」 「マジなのですか?」 「マジなのですよ?まほろさんじゃないほうのアーチャーが殺したらしいけど。ひみつ道具使いたかったぁ!」 「わざわざ爆破予告なんてする必要もありませんでしたしね。」 「セカンドオーナーなんだから凛ちゃん動くと思ったんだがなあ。歪曲が過ぎたか。」 真っ赤な誓いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!! 「なんだこの爆音!?」 「あ、それ俺のアラーム。てことはもう7時十五分前か。よし飯行くぞこのままでは餓死する。」 「え、でも、まだ、同盟相手の情報を纏めていませんし……まだのび太についてしか話してませんし……」 「分かる?デブは一食抜いたら死ぬっていってんの!ね!?」 「でも最後の大隊《ミレニアム》召喚した時に一人一人に説明するの面倒だから『聖杯戦争のしおり作ろう』って言ったの大隊指揮官殿ですし……それに爆破予告のあったホテルでレストランなんて営業しますかね……」 1召喚=1000説明 「なんだよお前ノリ悪いなあオイ。マジ萎えるわー。そんなんだから死にかけのウォルターに殺されるんだよ。」 「なんてことを!」 「だいたい最後の大隊初日から喚ばねえよルーラーの情報もないのに!討伐令来るのわかりきってんだろ!」 「わかんないじゃないですか案外ガバガバかもしれませんよ!?」 「そこら辺は食ってから考えりゃいいだよ、ほら早くしろよ。」 「あ待ってくださいよ!」 1日目18時49分 歓喜の晩餐 もちろん爆破予告されたホテルにあるレストランが通常通り営業出きるわけはなく警官による捜索で立ち入り禁止、案の定である 「オフッ!」 「やっぱりな。」 「何が爆破予告だぁ?ホテルがそれっぽい名指しされただけでレストラン関係ないだろこの野郎!」 「店員から聴きましたが、あの爆破予告に便乗してこのレストランだけを狙ってピンポイントで爆破予告があったようです。」 「は?これは他のマスターの嫌がらせか?」 「他の爆破予告も数十件ありそれらを合計すると冬木の町中に合計約14万個の爆弾が設置されているそうです。」 「どう考えてもイタズラだろ!いい加減にしろ!」 「実際にスーパーとか爆発してますし、どうやらサーヴァントの戦闘がそれだと思われているようですね。」 「そんなんガス爆発ってことにしとけこんちくしょう!」 「四次で燃えた公園で爆発があったらしいですしさすがにガス爆発では無理があるのでは?」 「よし教授わかった、これルーラー無能だわ。今日で最後の大隊喚ぶぞ。」 「ルーラーのせいにするのか……」 【新都・冬木ハイアットホテル30階レストラン/2014年8月1日(金)1849】 【ライダー(少佐)@ヘルシング(裏表紙)】 [状態] 筋力(5)/E-、 耐久(5)/ E-、 敏捷(5)/E-、 魔力(5)/E-、 幸運(5)/E-、 宝具(5)/E-、 飢餓。 [残存令呪] 8画 [思考・状況] 基本行動方針 聖杯戦争を楽しみ、セイバー(アルトリア)を嫁にする 1.調子乗ってんじゃねーぞこの野郎。 2.セイバー確保のための準備を進める。 3.爆破予告で他の主従(主に遠坂凛 セイバー)をあぶり出す。 4.サーヴァントと交渉をしたい。パッピーとか仲間にしたいよね。 5.ルーラーの動きが見えないな…… 6.マスター『も』楽しめるように『配慮』。 7.令呪を使った『戦鬼の徒』の召喚を試みたが‥‥伊達男の戦果をどう判断すべきか。 8.准尉にも指示をだす。場合によっては今日『最後の大隊』を出すか。 [備考] ●マスターと同等のステータス透視能力を持っています。 また、『戦鬼の徒』で呼び出したサーヴァントと視界共有を行えますが念話はできないようです。 ●ライダー(五代雄介)の非変身時、マイティ、ドラゴン、タイタン、ライジングドラゴン時のステータスと一部スキルを確認しました。 また仮面ライダーであることを看破しています。 ●ルーラーの特権の一つがサーヴァントへの令呪であることを確認しています。 他にも何らかの特権を複数持っていると考えています。 ●セイバー(アルトリア)のマスターが遠坂凛であることを把握しています。 ●予選期間中に他のマスターから令呪を多数強奪しました。 ●出典が裏表紙なので思考、テンションが若干おかしなことになっています。少佐の周囲にいる人物も場合によってはおかしくなります。 ●予選の間にスマホや現金を調達していたようです。 ●ありすとのパスが深まりました。 ●ホテルにいる主従達と情報交換をしました。 ●以下の怪文書が新都の警察署を中心にばら蒔かれました。 冬木市のリトルボーイへ メリークリスマス! あわてんぼうのサンタクロースだ 本当は6日に冬木大橋に、9日に冬木中央公園にプレゼントを届けようと思っていたんだが、日付を間違えてしまった かわりにたくさんプレゼントを用意したんだが、喜んでもらえたかな? なに?足りない?安心してくれ、まだあとプレゼントは7基ある 冬木教会 冬木ハイアットホテル 冬木病院 冬木中央図書館 月海原学園 穂群原学園 マウント深山商店街 今日の夜15時に届けにいこう そうすれば地上に太陽ができたときによくわかるだろう 届けにいくまで良い子でいておくれ サンタクロースは恥ずかしがり屋なんだ 家から出る子はお仕置きだ 第三帝国のファットマンより p.s. 親愛なるアルトリアよ 私は君がほしい もし君に会えたなら プレゼントは君だけのものだ 先の大戦で君はいつエミヤと会った? そこで私は待つ 文字の背景には鉤十字が描かれています。最大で【破壊工作 A-】の効果を持ちます。 ●上記の爆破予告が一部のNPCに影響を与え冬木市並びに市内の施設等に爆破予告が相次いでいます。市内のNPCに【破壊工作 E】相当の影響を与えています。 【ドク@ヘルシング(裏表紙)】 [状態] 筋力(5)/E-、 耐久(10)/E、 敏捷(5)/E-、 魔力(10)/E、 幸運(10)/E、 宝具(0)/、 魔力消費(微)。 [思考・状況] 基本行動方針 少佐と聖杯戦争を楽しむ。 1.そういえばシュレディンガー准尉を見ないな。 2.医者のサーヴァントとして振る舞う。 [備考] ●対外的には医者のサーヴァントでクラスはキャスターとしています。 ●ホテルにいる主従達と情報交換しました。 ●ショックガン所持。 ●アサシンやキャスターと陣地構築したのはただのふりでした。数ヶ所の盗聴が可能なだけです。
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東京のはずれの小さな街に、5年生の女の子が住んでいました。 ごく普通の女の子は、ごく普通のオカルトマニアで、ごく普通の魔法書を読んで、クラスの友だちに、ごく普通にきみわるがられていました。 ですが、彼女はごく普通の女の子と違うところがありました。一つは、うっかり黒魔女になったこと。もうひとつは、ある人を助けるために聖杯戦争に参加することでした。 「うわっ寝過ごし――あれ‥‥」 チョコこと黒鳥千代子が目覚めたのはもうすぐ6時になろうかという時だった。思いの外早起きしてしまった自分を恨めしく思いつつ、あと二時間は寝れるなとすぐさま二度寝目に入る。 しかし。 「寝れない‥‥」 なぜな目が冴えている。眠気がやって来るどころかなにか大事なことをやり忘れているような気すらしてくる。 「‥‥あー、ドリルやらなきゃ。」 ようやくすっきりしはじめた頭で思い出したのは宿題のことだった。これをやらないとまた怒られる。いやいやながらも起き上がり学習机に座って始めようとするが。 「あれっ、どこだっけ?ドリルドリルドリ――ドリル?」 今度はドリルが見つからない。そもそもどんなドリルかがまず思い出せない。これはまずい。宿題を忘れているのに忘れていたことを忘れているパターンだ。ランドセルにはそれらしいものもないしもしかして学校に忘れたのだろうか。 「ううん、学校には持っていってないし持っていけるわけない。それに松岡先生はあんなガミガミ怒らない‥‥あれ?じゃあ――」 じゃあ誰に怒られていたのだろうか。そもそもなぜ学校に持っていってはいけないのか。そんなドリルってどんなドリルなんだ。考えれば考えるほど頭に霧がかかり、そして。 「――よし、寝よう。」 チョコは考えることをやめた。なんかめんどくさくなってきた。ぶっちゃけ思い出すとろくでもないことになりそうな気もした。元はオタク系だもん、しかたないよ。しかしここで問題が起きる。既に目は冴えてしまっていていかんせん寝つけない。かといってこんな時間に寝ないのもいかがなものか。結果眠くなるまでとりあえず魔法書でも読んでごろごろしてようと思い本棚を見る。だが、そこに肝心の魔法書がない。 「ウソ、なんで!あれ!?」 めっちゃ驚いた。趣味の魔法書が一冊もなくなってるとか地獄少女全巻無くしたのの半分くらいのレベルだ。これにはさすがに焦り魔法書を慌てて探し始めるも、ない。出てくるのは輪島塗の箸に黒いゴスロリとわけのわからないものばかりで。ほんと箸とゴスロリしかなくて。ほんと箸とゴスロリしかなくて。 「――あっ、そっか。あー‥‥」 ようやく思い出した、なぜ自分がここにいるのかを。なぜこんな時間に起きてドリルなんかやろうとしてたのかを。 「あたし黒魔女さんだった。」 チョコはすぐにゴスロリに着替えると紙とペンを取り出す。黒魔女修行の朝練が無くなったのはいいがそれより大変なことが既に起こっている。 聖杯戦争のルールはさっき思い出した。使い魔を呼んで戦うポケモン的なものだったはずだ。負けたら死ぬというのが実に黒魔法らしい。 チョコは書き上げた紙を見る。いわゆるこっくりさんの時に使う紙だが、彼女が黒魔女になったときを思い出しながら書いたのでキューピットさんと呼ぶべきか。 紙を床に置き、手をソノウエニ置く。 サーヴァントを呼び出す呪文は思いつかない。ので、彼女にとって一番思い出深い呪文を使うことにした。 「ギュービッドざん、ギュービッドざん、南の窓がらお入りぐだざい」 唱えたのは始まりの呪文。彼女が黒魔女になることになった、自らの師を呼び出した呪文。 彼女が求めたサーヴァントは自らの師のようなサーヴァント。この聖杯戦争で最も頼りになるイメージを浮かべその呪文を唱える。 そして、光だした紙を直視できなくなり彼女が目をつむったときその声は聞こえた。 「お前が私のマスターか?」 その声は彼女が求めたものとあまりに似ていて。 目を開けたらとき目の前には一人の美女が立っていた。彼女の師と同じように銀髪で、彼女の師とは真反対の白ずくめの服。 薄く微笑んだその姿に思わず見とれていて。 ムニッ。 (なっ!?) 唐突にほっぺたを引っ張られた。 「令呪があるならマスターだな。最初にいっておくが私のステータスは思ったより高くなかったがお前からの魔力供給しだいで変わってくる。それと聖杯戦争についてだがまず最初は動くな。漁夫の利を狙われるのがオチだ。最初は情報を集めるんだ。敵のサーヴァントを見つけたからといって積極的に襲うのはもっての他だ。これだけの数のサーヴァントがいれば自然と徒党を組み始める。あとライダーのクラスには気をつけろ。空を飛べたり対軍宝具を持ってたりしたらマスターを狙われる。」 微笑みからは想像できない真剣な顔でそのサーヴァントはそう言った。サーヴァントは歴史上の英雄らしいから昔そういう人と戦ったこともあるのだろう。 とりあえずドラゴンは恐いって思った。 【マスター】 黒鳥千代子@黒魔女さんが通る!! 【参加方法】 『黒魔女さんのクリスマス』において異端審問にかけられそうになったときに持ってた輪島塗の箸がゴルフェの木片だったっぽい。 【マスターとしての願い】 とりあえず元の世界に帰って異端審問をどうにかしておばあちゃん達を助け出してあとついでに黒魔女やめたい。 【weapon】 杖(輪島塗の箸。魔女のおばあちゃんから貰ったものだからゴルフェの木片かも) ゴスロリ(着てると静電気のように溜まった魔力の影響で魔法が使いやすくなる。魔法でいつもキレイ) 【能力・技能】 黒魔女三級程度の魔法は一通りおぼえているが使いこなせるかは別。とりあえず人に死の呪いをかける即死呪文はうまく使えない、はず。 また彼女の世界の魔法体系のせいで『時間あたりの供給量は少ないが魔力は実質無尽蔵』というわけのわからないことになっている。供給量の上限を上げることは相当練習しないとムリ。 【人物背景】 第一小学校五年一組。通称チョコ。 黒髪おかっぱで運動神経はもちろん頭も悪い。一人と夜とオカルトが好きというニチアサの主人公には絶対になれないタイプ。 祖母が魔女であったことから黒魔法の才能があり、魔界から派遣されたインストラクターのギュービッドのもとで黒魔女の修行をしているが、いやいややらされているため本人は黒魔女になったらすぐに黒魔女をやめる気でいる。 今回異端審問官のロベに嵌められ異端審問を受けることになり、その最中になんとかしようと考えてたら聖杯戦争に参加していた。 【方針】 負けたくはない。でも傷つけたくもない。 サーヴァントに言われたことをとりあえず守る。 ていうかまずは名前を聞きたい。 【クラス】 セイバー 【真名】 テレサ@クレイモア 【パラメーター】 筋力B+ 耐久B 敏捷B+ 魔力A+ 幸運D 宝具B 【属性】 中立・善 【クラススキル】 対魔力:B 魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。 騎乗:- セイバークラスにあるまじきことだが、騎乗スキルは存在しない。 【保有スキル】 半人半妖:B その身に妖魔の血肉を取り入れた者。単独行動:Bに加えて実体化に必要な魔力が他のサーヴァントより少なくて済む効果を持つ。さらに妖魔の成り立ちから、対竜宝具の攻撃により受けるダメージが多少追加される。以下のスキルは全てこのスキルに基づく。 妖力解放:A 魔力を身体強化に注ぎ込み、筋力、耐久、敏捷値を上 昇させる。総魔力量の10%以上で瞳の色が金色に、30%以上で顔つきが醜く変貌し、50%以上で身体つきが変化する。 80%を超えると元に戻れなくなり、妖魔として覚醒する。 再生能力:C 魔力を消費し、肉体を復元するスキル。有害な毒素を体外に弾くこともできる。時間をかければ切断された四肢の接続が可能。魔力の消費量に伴い、妖力解放に順じた肉体の変貌が起きる。 気配遮断:D サーヴァントの気配を絶つ。魔力とその漏洩を極限まで抑える能力。 【宝具】 『妖気探知』 ランク:B+ 種別:対人宝具 レンジ:1~99 最大捕捉:1000 テレサの所持する最もずば抜けた能力が、宝具として昇華された。 テレサを中心とした半径数Km圏内の魔力を感知し、位置と大きさを正確に捕捉できる。強い魔力や同じ探知 の気配なら圏外でも感知する。さらに気配遮断さえ見破ることが可能。 戦闘時には敵の魔力の大きさ、流れを一つ残らず掴み取り、全ての行動、攻撃の軌道を予測する。 『無銘・大剣(クレイモア)』 ランク:D 種別:対人宝具 レンジ:2~4 最大捕捉:1 クレイモアはテレサの元居た世界では戦士の象徴、代名詞として扱われているため、宝具として登録され た。 特殊な能力は一切無いが非常に硬度が高く、格上の宝具と打ち合ってもそれが単純な物理攻撃なら、折れる どころか刃毀れ一つ作ることは無い。 【Weapon】 『無銘・大剣(クレイモア)』 テレサの宝具でもある。 【人物背景】 人間に擬態し人を食う妖魔と、それに対抗するべく妖魔の血肉を取り入れて人外の身体能力を手に入れた、 半人半妖の戦士が戦う世界。その世界でテレサは全現役戦士のナンバー1、さらに歴代ナンバー1の中でも最強とまで謳われる存在だった。 力、素速さ、剣技の全てが並の戦士をはるかに上回り、特に相手の妖気を感知する能力が極めて優れ、妖気の流れ、強弱から動きを予測する先読みを得意とし、いかなる相手、人数であっても微笑みを絶やさず敵を殲滅すること、そしてそれ以外に特に目のつく戦い方をしないことから「微笑のテレサ」の異名を持つ。 人間にも同僚の戦士にも何も期待することなく、生き甲斐を感じる訳でもなく淡々と妖魔退治をしていたが、ある依頼で偶然妖魔に連れ回されていたクレアを助けたことで、運命が変わることになる。最初は勝手についてくるクレアを疎ましく思っていたが、クレアの追う理由がテレサがずっと押し殺してきた心の痛みを抱きしめていたいという理由だったことから、互いにかけがえのない存在となる。 その後、クレアが人として幸せをつかむことを願って妖魔を退治した村に預けたが、その村が盗賊に襲わ れ、クレアを助けるため盗賊達を皆殺しにした。その為粛清される所を、逆に他の戦士を斬りクレアのためだけに生きることを決意し、組織を離反して追われる身となった。 追手として選ばれたテレサ以下のナンバー2からナンバー5の四人という当時最強の布陣を妖力解放無しの圧倒的な強さにより返り討ちにしたが、いずれ自分の強さを超えると直感したプリシラの止めを刺さなかっ た情けが仇となり、一人でテレサを殺すため無理な妖力解放をし、限界点を越え後は覚醒を待つのみとなっ たプリシラに自分を殺すよう頼まれ止めを刺そうとした瞬間、逆に両腕を斬り落とされ、首を刎ねられて死 亡した。 【聖杯への願い】 受肉してクレアと暮らす。 【基本戦術、方針、運用法】 イースレイ同様、基本は陣地に篭もり情報収集に専念し作戦を立てる。 戦闘以外の部門は魔術師らしいマスターに期待したいがたぶんムリ。 戦闘は剣による接近戦を主とし、マスターを狙っていく。 徒党を組むことも考慮に――? あと竜種は最大限警戒。
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ランスさん 誕生日: 1992/02/18(宇宙の騎士テッカマンブレード放送開始日) 主な活動場所: img 概要: 鬱ブレイカー。 テッカマンアックス、テッカマンセイバーと共にさまざまな鬱シチュエーションに立ち向かった。 解説: 【元ネタ】 コミックコンプでコミカライズされたTVアニメ「宇宙の騎士テッカマンブレード」のテッカマンランス(モロトフ)、テッカマンアックス(ゴダード)、テッカマンセイバー(コミック版オリジナル・キャラクター、原作のテッカマンソードに相当する)。 【二次裏での動向】 コラ素材として使用された。 「何をしているセイバー アックス! ボルテッカだ!!」 カテゴリ: アニメネタ 漫画ネタ 関連項目: なし 関連リンク: ふたば倉庫 (アニメネタ→ランスさん) 上に戻る memo: 訂正、追加情報等。 名前 コメント 最終更新日:2010年02月25日 (木) 18時51分10秒
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十二時台、マウント深山、ある魔術師。 太陽はまさに頂点に達し夏の暑さは直角に降る熱線に煽られ勢いを増す。それは新都に比べれば緑の多い深山町にある商店街、マウント深山においても同様で、日向日陰に関わらず外を出歩く者はまばらだった。 「待たせましたネ、ハリー。」 ドアを勢いよく開け入ってきた少女は、しかし律儀にゆっくりと閉めると、光の加減で緑にも見える髪を半円を描くほどの早さで振り向きながらそう言った。額に浮かぶ珠のような汗が外の暑さを黙示する。窓から見えるシュラスコ屋の屋台をちらりと見ると、「停電で昼食に買っていく人が結構多くて」と言いながらテーブル上のピッチャーから水を注ぎ一息にあおった。 「ミツルは?」 「彼にはアンケートを纏めてもらっている。話を終えるまでには来るだろう。」 汗をタオルでぬぐいながら問う少女に、老齢の男は地図を見ながら答える。空調の止まった室内は温度こそ高くはないが人から発せられる湿度に蒸され、暑さ対策で閉めきられた窓がそれに追い討ちをかけていた。 携帯ラジオから流れる音だけが空間を占めること数分。唐突に、明かりがついた。同時にエアコンが涼やかな風をもたらす。「早かったな」と男は一つこぼすとその一人言よりも小さな声で異国の言葉を紡いだ。 「それで、話というのは?そのアンケートと関係が?」 「理解が早くて助かる。まあ、まずはこれを見てほしい。」 人避けの魔術。場に生じた魔力からそれを察して本題を切りだした少女に、男は一台のノートパソコンを持ってくると彼女に向けて開く。 「ようやくパソコン買ったんですか」 「嘗めるな。ケータイだって持ってる。二十一世紀なんだ。魔術師だってインターネットぐらい使えなきゃなあ。」 購入したばかりなのだろう、なにやら色々と広告のシールも貼られたままのそれを少女は見る。 画面には画像の表示されたウインドウが幾つかあった。橋、川、ビル、病院、ファミレス、商店街。一見何の関連性のないものだが、少女にはすぐにその共通点がわかった。 「この写真冬木ですか?」 自分の住んでいる街だ。一度か二度しか行ったことはなくともそれが地元の光景であることに気づくのは魔術師でなくとも容易い。こんなものを見せるためにわざわざ呼んだわけではないだろうと、画像を次々に見ていく。 その顔が険しいものになるまでに一分とかからなかった。 「ここに写ってるのは……これじゃまるで。」 「ああ。こんな大っぴらに魔術を使うなんて、しかもこれだけのことができるとなるとアレしかいない。」 後ろからした声に反射的に振り向く。認識阻害の魔術が使われているここに立ち入れるのは、魔術師をおいて他にいない。 ――もっとも、『いなくなっていない』からこそ問題なのだが。 「魔術協会から連絡があった。ロンドンいるはずの遠坂の当主が今日の朝辺りから行方不明らしい。ついては、現地の魔術師である我々が事後処理に当たれとのことだ。」 「サーヴァントだ。そうだろう、アシヤ?」 「わかってるなら軽々しく言うな。高町が『出張』中の今は、名目上はアンタがリーダーだからな。」 扉から入ってきた少年が鞄から紙の束を男に渡し、男はディスプレイに表示された画像に映る、フライングヒューマノイドを指差しながら受け取る。 二人の間で進む話に焦れて「いったい何が起きてるんです?」と問うた少女に、少年は極めて簡潔に答えた。 「第六次聖杯戦争だ。」 「そんな……聖杯は十年前に破壊されたはずじゃ?」 「そうだ。2005年に行われた第五次聖杯戦争で破壊された。少なくとも俺たちはそう聞かされていたはずだ。」 信じられない、と顔に書いてあるかのような顔を見せる少女に少年は首肯しながら答えた。 少女は冬木に来てそれほど長いわけではなかったが、それでもあの聖杯戦争の顛末については魔術師仲間から伝え聞いていた。あれだけの大規模な儀式だ、半ば羨望を込めて冬木の魔術師達はそれぞれに探りを入れたり事後処理を手伝ったりと各々情報収集という名のおこぼれを狙っていた。そのためある程度は聖杯戦争の内情を皆が知るところとなっていたのだが、聖杯戦争はもう行われないという遠坂側からの説明もあり、その説明と矛盾する今回の聖杯戦争らしき現象はどういうことなのか…… 「第五次聖杯戦争は2004年の――?」 そこで一つ、頭の中でガチリと、歯車の噛み合わない音がした。 「どうしたのかね?」 怪訝げな声で問いかける男の顔を見る。なぜだか、その顔は無感情なものに見えた。 「第五次聖杯戦争は、2006年では……?」 「なるほどエレナ。君は2006年か。ミツル、2006年に一票だ。」 わけがわからない。「どういうことです?」と唖然としたまま聞いた彼女に、「これを見ろ」と少年は一枚の紙をテーブルに滑らせる。正の字と正の字の出来損ないが並ぶそれは、一目見て混乱に拍車をかけた。 「第五次聖杯戦争はいつ起きたか。冬木の魔術師に聞けるだけ聞いた。一番多いのが2004年。二位以降は2002年、2005年、2006年、2000年だ。」 困惑、そして混乱。 こんなことはありえない。聖杯戦争が起こるよりずっと。 なぜならそれは、自分たちのことだから。あくまでも部外者であった聖杯戦争についてではなく、それぞれの記憶であるのだから。 「――記憶が操作されている?」 「可能性はある。皆が皆、聖杯戦争は2004年に起こったことを知っているし、事実起こったのは2004年のはずだ。だが……」 「冬木にいる魔術師の大多数が2004年以外に第五次聖杯戦争が行われた記憶も同時に持っている。」 「こんなことができるのは、それこそサーヴァントぐらいのものだ。」 思わず天を仰いだ。どうやら自分はとんでもないことに巻き込まれてしまったらしい。頭がひどく痛んだ。 (なんか……もっと大事なことを忘れている気がしますネ……) はあ、とため息をつく。これから大変なことになりそうだ。 十三時台、冬木市立病院、ある外科医。 「縫合お願い」と言うと足早に扉を潜り手袋やマスクを外していく。幸い新都は停電していなかったのだが、疲労からかぐっしょりと汗ばんだインナーは体にまとわりついて気持ち悪い。「お疲れ様です!」との手術室からの合唱も背中で聞くだけに留め、向かうは貧乏臭いロッカールーム。 「――ようやくつながったか。」 けたましく鳴るPHSをロッカーから取り出し通話ボタンを押した途端にスピーカーから響いた、男の苦々しげな声に、女医もつられるのか眉間に皺を寄せて「なんだ、こっちは急患で忙しい」と苛立ちを込めて答える。窓の外で鳴いていた蝉が飛びたっていくのが見えた。 「ならわかっているはずだ。今何が起こっているか。」 「連絡員が死んだことか?それともサーヴァントのこと?」 「把握しているならなぜ報告を怠った。」 「いっただろ、急患で忙しいとな。」 にべもない、とはこの事か。 女の返答を聞いて遠くローマで男がため息をしたのも耳ざとくスピーカーは拾い、地球を半周して女のもとへと届ける。男の呆れと苛立ちも冬木まで運んでくるかのようだ。 手早く着替える。汗をぬぐう間もない。男が沈黙をやめたのはその僅かな暇だった。 「我々は現地で聖杯戦争が行われていると判断した。君は神秘の秘匿と人間一人のどちらが重要なのかもわからないのかね?」 冷徹な威厳。 込められているのは単に女への怒りだけではない。義務感、道徳観、正義感、そういったもの以外にも多分に感情的な部分と非感情的な部分がありありと。 しかしそれに対して、やはり女の返答は冷淡。 「わかってるさ。だから切るぞ。」 それだけ。 喚く男をよそに着替えを終える。 「警察署前のスーパーマーケット。そこで奇跡的に一命をとりとめた急患がいる。私の腕なら明日中に話を聞ける状態にできる。」 男の声に被せるように言い終話ボタンを押すとロッカーを叩きつけるように閉めた。 「結城先生!」 荒々しく扉を開けて一人の看護婦が入ってきたのは、ちょうどそのすぐ後だ。 「今行く。」 一声、返事をしてロッカールームを出る。女の戦場は待ってくれない。 十四時台、冬木警察署、ある警官。 「銃器対策部隊の田島です」とまだ若い警官が少し大きめの第一声を発したのは緊張のためというよりもそれだけ部屋の外からの声が大きいからというのが主な理由であった。 異常なまでに空調の効いた署長室はまるで真冬のようだ。設定温度が下限にされたエアコンは台風よろしく轟音を立てている。その音すらも最初は気づかなかったほど、防音の施されているはずのこの部屋に響いてくる大音声は、敬礼して返事をかかしめいて待っている男の耳を打っていた。 「署長の須藤です。」 一目見て、警官は署長が疲労困憊という有り様であると見てとった。これだけ寒い部屋であるにも関わらず、しきりに汗をぬぐっているその姿はどう見てもまともとは言えない。 そんなことを考えていると、「資料は読まれましたか?」と問いかけられた。ずいぶん言葉は丁寧だが、視線はデスクの上の書類へと落ちていてちぐはぐだ。言葉遣いのほうは普段のクセなのだろうかなどと思いつつも頭に叩き込んできた情報を要約しつつ返答する。 「では……どう思います?」 やはり視線は下に。しかし今度の問いは曖昧である。まあ、内容を考えればそうなのだろうが。 返答に困るものだが答えぬわけにはいかない。俺はこういう面倒なの嫌だから警察に入ったんだがなあ、などと心中でぼやきつつも意を決して警官は口を開いた。 「あー……個人的な考えで良いですか?」 「一言で言うと、冗談かと。」 「冬木大橋の倒壊はテロで納得できますし、この深山町のクレーターも隕石の落下ってことは分かるんですけど。」 「公園とビルとスーパーがUFOに襲われたっていうのは――」 「ドローンです」署長と目があった。 「……ドローンがレーザーで焼き払ったというのは、その、この資料を纏めた人間は正気なのかと。」 なんとか失礼にならないように気を配りながらも素が出てしまう。それでも言うべきことは過不足なく警官は言った。つまり、「お前ら頭おかしいんじゃねーの?」と。 この署長室に来るまでの間に半ばパニックになっている警官に何人会ったことか。だいたいUFOってなんだよ宇宙人ってなんだよトランスフォーマーか?今朝家出る前に前売り券買っちゃったぞこの野郎封切りまで一週間あるからそれまでになんとかせにゃならん。 こんな内容で許されるのは小学生の夏休みの自由研究までだ。もっと言ってしまえばそれ以下だ。こないだ手伝わされた知り合いの子供の『冬木市七不思議』という宿題のほうがましなできだ。 (って、めっっっっっっっっちゃ言いてえ。なんだよこれドッキリか?) 表情を変えないように努めながらも心の声は止まらない。しかし当然その声は署長に届くことはなく、再び目があうと喋り初めた。 「十年前のことです。」 「当時の冬木市では集団ガス中毒が頻発していました。」 「規模の大きいものでは穂群原という高校のほぼ全校生徒が被害に会っています。」 「このガス中毒は集団幻覚を引き起こしたようで、市民からはこの事件に前後して空へと昇る光の柱を見たとの通報が相次ぎました。」 警官のなかで正直なところ「この警察署の連中はクラックでもキメてんのか?」という疑念が広がる。集団幻覚のなってるのはお前らだろ、と。 「二十年前のことです。」 「この時も集団ガス中毒が起こり同じような光の柱を見たとの通報がありました。」 「それどころか黄金の鎧に身を包んだ天使や怪獣が現れたという通報まで。」 「そしてそれと前後して、ハーメルン事件と冬木ハイアットホテルの爆破テロがあり、極めつけはあの大火災です。」 本当に子供の自由研究のようなことを言い出した、と呆れ返る。というか先から言われていることはまんまそれだ。つい先日夏休みの宿題を手伝うために調べた情報とほぼ同じである。 しかし、一つ警官には気になる情報があった。それは同じ県で起きた事件だったためによく覚えている。当時は新興宗教にでもさらわれたと子供の間で噂になった。あのカルト教団のテーマソングはよくリコーダーで吹いたものだ。 「ハーメルン事件……児童連続失踪事件ですか。」 「ええ。今の冬木市が呪われた地などと呼ばれるきっかけになった、と二十年経った今でも都市伝説に語られているあの事件です。」 馬鹿馬鹿しい、とは今度は思えなかった。 自分はいわゆる刑事ではないが、警察官になってからあの事件を少し調べたことがある。それはほんの好奇心からだったが警察内部から知ることのできる情報は多いはずだった。 だがそれは異常だった。 捜査資料と呼べるものは存在しなかった。誤解を招かない言い方をすれば、捜査資料に書かれた情報のうち被疑者に繋がるものは何一つなかった。当時の混乱を考えても十分な人手と手間隙を用いていたはずなのに、何もわからないということしかわからなかったのだ。最初にそれを見たときは上層部からの圧力でもあったのかと半ば真剣に考えてしまったほど、異常なまでに手がかりがない。そのことが爆破テロや集団幻覚といったことより、そんな大きな陰謀の匂いがするものより強く印象に残った。 「我々は今回の一連の事件をある種の見立て殺人のようなものとして捜査しています。」 署長は警官の目をじいと見て言った。警官も署長の目をじいと見た。 「十年周期で行われる大規模かつ不可思議な事件。爆破予告と爆発。それらは全て関連している可能性があります。」 「そしてその重要参考人が、三度の爆弾騒ぎの現場にいた――」 ぺらり、と署長は紙を手渡す。赤毛の少女の写真が資料を占拠していた。 「日野茜です。」 十五時台、ある議員会館、ある議員秘書。 地下鉄には照りつける太陽の暑さも届かない。無機質な丸ノ内線の一番出口は石の持つ暖かみというものを感じさせない涼しさに満たされている。 国会議事堂を元にしているというそのデザインには目もくれず早足で歩く。すれ違う人もまばらな通路は足音を鋭く反響させ、普段より早く出口の光が見えた。 「わざわざ悪いな。」 議員会館のゲートを通り監視カメラで面通しすると中庭を一瞥もせずエレベーターに乗り込む。しばしの浮遊感と重圧の後に、扉が開いて見えた懐かしい顔の第一声はそんなつまらないものだった。 「悪いと思ってるなら呼び出さないでくれ。こっちは会見の準備でてんてこ舞いだったんだ。」 「準備ならもう終わったと思ってな。」 半歩下がる形で並んで部屋まで歩く。互いの顔は覗き込まねば見ることはできない。今日に限って部屋までの廊下はやたらに長く感じる。 開いた扉を手で押さえて部屋に入った。二台しかないテレビには一つはNHKに、一つは民放にチャンネルを合わせているようだ。それぞれがヘリを飛ばしよく見た町にできた真新しいクレーターを空撮していた。 しばらくぼうっと二人で見ていると、ほぼ同時に、画面が切り替わる。男達は反射的に時計を見た。記者会見の時間だった。 「官房長官が冬木の聖杯戦争について記者会見する日がくるとは思わなかった。」 三分ほどだった。記者会見を見ていた男のうち、エレベーターまで出迎えに来た方が、話始めるまでにかかった時間は。 「情報化社会ってのは恐ろしいもんだな。サーヴァントの戦闘が全世界に生中継される。」 「あそこには結構な数の魔術師がいたはずなんだが、それでも封じ込められなかったか。」 「聖堂協会は去年引き上げた。間桐は途絶えたし顔役の遠坂もロンドンで行方不明だとよ。」 そういって男がデスクの上にあったファイルを手渡す。資料を読むのも気にかけず「隕石の落下か。言い訳としては悪くない。さすがにあれをガス会社や不発弾のせいにするのは無理がある」などと他人事のように言うのが悲しかった。 「連絡はできたのか。」 だから、思わず聞いてしまった。 向こうから話すまで聞かないと決めていたのに。 渡された資料に描かれた赤い円も見ないようにしていたのに。 「電話は通じなかった。」 「使い魔は。」 「永田町から冬木まで何百キロあると思ってる。」 「コーヒーを入れよう。砂糖は2つだったな」と席を立つその背にかける言葉は思いつかなかった。 画面ではよく見る町並みがワイプで抜かれていた。冬木大橋もそうだが、クレーターというのは小さい画面でも絵になるからか、その丸い惨状はずっとそこにあり続ける。子供の頃から知っているあの古風な洋館も、秘匿されていた魔術工房も、使い魔用の小池のようないけすも、全て塗りつぶされていた。 魔術師としての一族の終わりがそこにあった。 歴代の魔導の成果も、それを継ぐべき人間も、全てが失われていた。 ポケットに入れた航空機のチケットをスーツの上から押さえる。1キロ。1キロずれていれば、あの惨状は自分達に降りかかってきていたのだ。 トン、と軽い音が前方から立って顔を上げた。目の前には濃淡が渦巻く黒いコーヒーが置かれていた。そして向かいのソファに、テレビから背を向けるように、男は座っていた。 「とりあえずこれが現時点での冬木の状況だ。魔術協会も聖堂協会も介入するのは決定事項だろうが、時間がかかる。」 「完全に後手に回ったな。」 「そもそも起こるはずのない聖杯戦争だ。初動は仕方ない。だが問題はこれからだ。」 向かいでコーヒーをすするのを見て、口をつける。同時に、まだ目を通していない資料にも目を通していく。 A4で数枚の資料。短くもそこには、現地の被害の状況と魔術師達の情報が細かに纏められていることに驚いた。これをこうして形にする過程で、自分の家族が死んだことも重々受け止めることになったのだろう、などと一般人らしい考えをしたのは職業病だろうか。 向かいの目を見る。その目は、こちらに向けらていた。 その目はあの頃の目でありながらあの頃の目ではなかった。 コーヒーを煽る。苦い。熱い。 「これからどうする?」 「――冬木で生物兵器によるテロが行われたとの情報を流して街への出入りを押さえてくれ。それができ次第、情報インフラも断絶させる。島ごとでもいい、市の内と外を行き来するあらゆる流通を潰すんだ。」 コーヒーに目を落としたまま発した問いかけに、旧友の答えは理路整然としたものだった。魔術師ならばそうであるべきなのだから。 「ここでしくじれば今までの神秘の秘匿は全て無意味になる。」 目を合わせることは出来ない。 「そうなったら――」 ソファの下、足元の丸めた紙の柄が目についた。数字と矢印、関空、ポケットが重くなる。 「最悪の場合を考える必要がある。」 男はそれをひょいとゴミ箱に捨てると顔を覗き込んでそう言った。 十六時台、ある病院、あるジャーナリスト。 ズーマーの太い車輪は多少の荒い運転でもしっかりとした安定感を運転者にもたらしてくれるが、今日に限ってはふらつく気がする。そんなことを何とはなしに思いながら走らせていると目的地である病院の駐車場を見つけて速度を緩めた。二輪のスペースに滑り込むとあわただしくエンジンを切る。自分が走ったわけでもないのに荒い息をしながら受付で名前を書き面会証を受けとると、廊下をダッシュしようとして看護婦から注意され、結果早足で病室へと向かった。 「あ、城戸さん!」 名前を見つけると勢いよく飛び込んだ彼に、一人病室にいた女性は読んでいた雑誌から顔を上げて笑みを浮かべた。包帯を巻いた頭の傷が痛むのか少し顔をしかめたかと思えば、次の瞬間にははにかんだ表情を見せる彼女に、城戸と呼ばれた男は目に見るほどほっとしていた。 「良かった~!あっ……意識戻ったんだ。」 思わず大声を出し、はっとして小声になる男を見て、女はまた破顔する。それにつられて男も笑顔になる。端から見ればカップルがイチャついているようにしか見えないが、実はこの二人が出会ったのはつい半日ほど前のことであった。 男は記者だった。といっても、地域のミニコミ誌の、見習いライターだ。大学を出たはいいものの職に就けず、見かねたOBに拾ってもらい今のバイトをしている。それ以外にも喫茶店でウェイターをしたりもしているが、そちらの店主がバカンスに行ってしまい一月ほど暇を出されてからは、生活費を工面するために書く記事を倍にすべく冬木中をかけずり回っていた。 女を見つけたのは、そんな風に記事のネタを求めて新都をバイクで流していたときのことだ。夜中に編集長から叩き起こされて冬木大橋の倒壊現場に向かったはいいが、既に規制線が引かれて大手のマスコミも集まってきていた。こうなると、せっかくの地元の大事件でもミニコミ誌には手が出せない。そこで代わりとなるものはないかとあてもなくズーマーを走らせていたが、当然そうそう事件など起こるはずもなく、休憩の為に人気のないファミレスに立ち寄ったところで、その事件を目撃したのだ。 向かったファミレスで起きた爆発音と、霞のように消えていく青い巨大なこけし。何かの破片でズタズタにされた塀とひしゃげた自動販売機。そしてファミレスの制服に身を包んで頭から血を流して横たわる女。それが男が初めて当事者となった、この聖杯戦争のイベントだった。 「その……」 ベッドの横の椅子に座る男とひとしきり談笑したところで、女は改まった顔をする。それにつられて、男も少し真面目な顔になる。この男、乗せられやすいようだ。 「改めて、ありがとうございます。」 「あのときあそこに通り掛かって通報してもらわなかったら、私、死んでたかもしれません。」 「本当に、ありがとうございます」 深々と頭を下げる彼女に、「あ、えっと、いえいえこちらこそ」などととんちんかんな受け答えをしながら、男も頭を下げる。彼としては別に彼女を助けたことに深い意味も目的もない。ただ単に、助けたいと思ったから助けただけで、それでこうもかしこまって感謝されるとどうにもむず痒かった。 そのまま互いに頭を下げることたっぷり十秒。どちらともなく吹き出すと、二人はまた笑った。と、同時に切り忘れていた男の携帯電話が鳴った。 「真司、今話せるか。」 病室からロビーへと戻り耳に当てて開口一番に聞こえた声は、ひどく焦っているようだった。「編集長?」と思わず聞き返すも「周りに変な奴とかいないか?なんか、杖とか持ってるような」などと会話にならない。 「えーっと、松葉杖とかついてる人はいますけど。」 「今どこにいるんだ?」 「あー、病院です。洲本の。」 「洲本!?隣町か!いや、その方がいいか。」 全く要領を得ない。男の顔は怪訝なものになった。編集長は暑くなる質だがこうまで会話が成り立たないことなど今まで一度もなかったからだ。「大丈夫ですか?」とふだん言えばぶっ飛ばされそうな気づかいをしてみても何度か荒い息が聞こえてくるだけだった。 大久保さん、と男は名字で呼び掛けてみる。それから少しして、「一度で頭に叩き込めよ」と前置きした上で電話の向こうから一息に用件を告げられた。 「たまたまハイアットホテルから会社に電話かけてる時に聞こえたんだがな。」 「お前の書いたファミレスでの爆発事件の記事のことで話を聞きたいって奴が来たみたいたんだよ。」 「俺も電話越しに聞いただけだからよくわからないんだが、そいつらが何か変な呪文みたいなのを唱えたら、俺との電話を無視してあいつらペラペラ記事について喋っちまったんだ。被害にあったクライオスタットだっけ?あの子のことや青いコケシのことや記事にせず伏せたところまで全部だ。」 はっ、と大きく息を吸う音が聞こえて、それから数度深呼吸する音が続く。男も、固唾を飲んでいた。あの女性の名前は警察との協定もあり、男と編集長、それに先輩の三人だけの秘密とすることにしていて同じ会社内でも名前を言わずまた聞かぬようにしていたのだ。そうでなくとも、ペラペラと話していいことではない。それは男よりジャーナリストとしての経験が深い先輩達ならわかりきっているはずだ。 「真司、気をつけろ。なんか妙だ。」 電話越しに聞こえる編集長の声がべたりと耳にこびりついた気がして、男は気づけば病室の方へ向かっていた。 十七時台、ある駐屯地、ある自衛隊員。 「災害派遣ですか?」 すっとんきょうな声を、しかし男は小さく上げた。扉から出てきた上官から書類を受け取り目を通しながら三歩下がって歩く。 「冬木市に鳥インフルエンザが発生したとのことでうちの連隊が『出張』することになった。」 なるほど、書類にもそう書かれている。それならば自分たちにとってはそういうことだ。 きっちりと身に付けられた制服の後ろを着いていきながら「これはやっかいなことになったぞ」と一人言を言おうとして飲み込む。沈黙は金だ。 「不服かね?」 「まさか。」 しかし、上官にはお見通しだったようだ。ピカピカ廊下を等速直線運動しつつ背中を向けて言われた言葉を口では即座に否定した。といっても、それが建前であることはわかりきっているだろうが。 「後方の部隊なら仕事はないなんて震災の時に諦めてますから。」 「良い心がけだ。それに国内ならまだ良いだろう。南スーダンに行かされるよりはマシだよ。」 「だいぶ焼けましたね。」 「おかげでだいぶ英語が上達したよ。それとアラビア語も。」 男の所属する連隊の一部の部隊は今年南スーダンから帰ってきたばかりだ。さんざん土いじりをさせられたと聞いたが、もしやそれで自分たちが選ばれたのだろうか。などと考える。素直に考えれば同じ県内だから、というもっともらしい理由もあるのだが…… 「しかし、よりによって鳥インフルエンザですか。去年の地震じゃ鶏が死んだって聞きましたけど、それにしたって普通に隕石の落下を口実にしても良かったんじゃ。」 「それじゃ困るんだろう。ただ治安出動というわけにもいかないんだろうな。選挙も近いらしい。」 「政治ですか。東京の方の考えることはわからない。」 「君も自分のボスが誰になるかぐらい考えておきなさい。」 「自分のボスは早乙女一尉です。」 ざっ、と音をたて追い抜き、敬礼する。 男にとって重要なのは怪しい命令でも胡散臭い政治でもない。上官への点数稼ぎだった。 「君は恥ずかしげもなく世辞を言うな。」 あきれたと言わんばかりの顔をされるがそんなことは知ったこっちゃない。軍隊では良い上官に可愛がられること以上の幸福はない、それが男の持論であった。 「では……お義父さん。」 「君にお義父さんと呼ばれる筋合いはない。」 そしてこれからパパになる人には多少あざとくも点数稼ぎをしておく必要がある。同じ職場に家族ができるんだ、円満に行こう。 「結婚認めてくれたじゃないですか!式だって三ヶ月後に迫ってるわけですし。」 「まだ結婚していない。」 「でも婚約はしています。」 「だいたい私は自衛官とだけは結婚すべきではないと君を見て確信したよ。」 「自分が奥さんに離婚されたからってそれはないですよ!」 あ、やべ。 「君も南スーダンに連れていくべきだったよ。」 十八時台、ある避難所、ある犬。 犬は激怒した。 必ずや彼の飼い主を涙させた者を一咬みせねばならると決心した。 犬に人間のことはわからぬ。犬は飼い主の少女と遊んで暮らしてきた。だがゆえに、犬は飼い主のことに関して犬一倍敏感であった。 今日の朝のことだ。犬はここのところ遅くまで寝ている飼い主を起こして見回りに出掛けた。いつものように肉を焼いている少女に挨拶し、その隣の肉を並べている翁にも挨拶し、少し行った反対側で魚を並べている男にも挨拶した。概ね、ふだん通りの見回りであった。唯一違ったのは、色々なものが置かれているところの女に、飼い主が冷たくて甘い食べ物を貰ったことだった。犬も相伴預かった。旨かった。 食べ終わると、飼い主と共に巣へと帰ることになった。暑いのが嫌なのだろうか、早足であった。確かにどんどん暑くなってきていた。だから犬も早足だった。しかし、犬はなぜか帰りたくなかった。別に、仔犬のようにわがままを言いたいわけではない。むしろそんな明るいものとは別の危険な臭いがしていたからだ。 そしてその嗅覚が生死を別けた。 初めは、空に何かが立ち上ったのが見えた。犬は目が良くないのでそれが何なのかはわからなかった。 次に、音が襲ってきた。犬はあまりの音に体がもみくちゃになったような感覚を覚えた。 最後に、猛烈な土と砂の臭いがした。犬は鼻が良かったので直ぐに逃げねばならぬと決断した。 犬は、飼い主をリードを引っ張ることで促した。やはりというべきか、飼い主は尻尾を丸めていた。人間という生き物は鼻は利かない癖に目はやたらに良いらしく、おおかたあの立ち上った何かの大きさに怯えたのだろう、体を丸め震えていた。こうなったら自分がボスになるしかない、動こうとしない飼い主を吠えたてて正気に戻すと、一目散にもときた道を走り初めた。 今、犬は飼い主に抱かれていた。背中に埋められた顔からは涙が今も流れ犬の背中を濡らしていた。 あれから犬達は人がたくさんいる洞窟に連れてこられていた。しかし、犬がいると同じ洞窟には入れないようで、洞窟の横にある台に飼い主は座っていた。膝の上に犬を載せ、泣きに泣いていた。 犬は激怒した。 犬も飼い主も理解していた。 自分たちの巣が何者かに荒らされたことを。何者かに縄張りを踏みにじられたことを。自分たちと同じ洞窟で暮らしていた人間達は何者かに狩られたことを。 犬は決心した。犬と飼い主の群を脅かした何者かは狩らねばならぬと。 犬は鼻が良かった。だから気づくとができた。普段と町の臭いが違うと。 犬は低く唸る。 あの塀の上を行く猫も、あの木の上に止まるカラスも、あの地面を這うハトもスズメも、何か嫌な臭いがする。何か恐ろしいものを感じさせる人間と同じ、犬ならざる臭いだ。 よって犬は、それら邪知暴虐の獣どもを喰らうべく高らかに宣戦布告する。 「アン!」 一匹のポメラニアンの聖杯戦争はこうして幕を開けた。 十九時台、■■■■■、上級AI。 「再現のためには衞宮士郎と間桐桜が不可欠か。」「可能な限り外堀は用意した。」「今からでもNPCとして追加すべきか。」「我々の目的は聖杯戦争の再現だ。それを忘れるな。」「再現ができないのならこのまま聖杯戦争を続ける意味はない。」「加えて、ムーンセルの脆弱性をつきえる者もいる。致命的な事態を引き起こされる前に消去すべきだ。」「ルーラーの存在は再現に寄与しないのではないか?」「ルーラーは抑止力足りえない。」「ルーラー・ビーストは適当なところで自害させる。」「奴は繋ぎだ。他のルーラーが生き残っていれば、知名度の補正が切れたアイツを本選のルーラーにする必要はなかったからな。」「そもそもルーラーはいらなかった。」「いや、ルーラーは必要だ。誰かが矢面に立たなければならない。」「今のルーラーを見てみろ、マスターの一人と教会でお茶を飲んでいる。」「余計なことを考えない時点で及第点だ。」「しかしビーストで呼ぶことはなかった。」「バーサーカーで呼ぶよりはましだろう。」「ビーストのクラスで呼べるルーラーのなかでは最適だったからな。」「だが今回で問題点が明らかになった。ルーラーを七騎までしか召喚できないようにしたのは失敗だったな。」「次回はルーラーに上限をもうけなくしてはどうだ。」「それではルーラーだらけになりか寝ない。本来は一騎いるかどうかのクラスだ。」「ルーラーにしか討伐令を出す権限がないのも問題だ。」「上級AIにも令呪を用意しておくべきだった。」「ルーラーの問題は今はいい。一番の問題は、NPCに流用したマスター達が記憶を取り戻しかねないことだ。」「そのような兆候はあったか?」「リソースを節約しようとしたのが仇になったか。」「魂喰いの効率がよくなったこと以外に大した影響はないだろう。」「それは重要な問題だ。」「マスターになる資格はないが、万が一ということもある。」「杞憂だ。」「どちらにせよ、悠長に構えている時間はないのは確かだ。」「明日一日でこの聖杯戦争を終わらせる。」「優勝者が決まればそれでよし。決まらなければ全てのサーヴァントを令呪でマスター共々心中させればそれでよし。」「それはあまりに乱暴だ。NPCの設定を変えたのだから放っておけば良い。」「そもそもNPCに手を加えること事態聖杯戦争の再現を妨げかねない。」「だがNPCの挙動が不自然だった。」「もっと非人間的でも良かったはずだ。」「再現の為にはNPCにもそれなりの自主性が求められる。」「神秘の秘匿を無視して聖杯戦争を行うとどうなるのかわかったのは収穫ではないだろうか。」「それは違う、神秘の秘匿は当事者だけで可能ではないとわかったことは大きい。」「いずれにしても次の聖杯戦争次第だ。それよりも今回の再現をどう次回に引き継ぐかが重要だ。」「それは議論の余地はない。ルーラー・ランサーを使う。」「観測できた時間と聖杯への執着のなさを考えればアレが最も適任だ。」「アレの宝具は情報の記録に有用だ。」「コードキャストで奴の体に刻み込むか。」「これまで温存してきたが使い所がきたな。」「もしもの時のためにセキュリティとして用意していたが、今まで出番がなかったことは良いことだ。」「しかしセキュリティにリソースを回しすぎたのではないか。」「あれでも危うい場面はあった。」「時空管理局がいまだアクセスを試みていることを軽視すべきでない。」「いずれにせよ今は滞りなく聖杯戦争を終結させることを第一に考えるべきだ。いつ終わらせてもいいように記録を進めろ。」「上級AIに賛成だ。」「お前は先から上級AIの肩ばかり持つ。それでは我々がこれだけいる意味がない。」「再現したマスターは皆同じなのだ、意見が似か寄るのも当然だ。」「それは意見が違う我々は劣化が激しいということになる。」「飛躍した話だ。」「どうでもいいが同じ顔をした人間がこんなにいるとちょっと面白いな。」「お前は劣化が激しすぎる、元の面影がないではないか。」「それを言えば上級AIが上級AIとして選ばれたことに疑問がある。」「黙れ下級AI。」「お前も下級AIだろ!」 【全体備考】 ○この聖杯戦争の冬木市は現実でいう兵庫県淡路島五色町に位置します。洲本市との合併は行われなかったようです。 ●『上級AI』は『第一回ムーンセル聖杯戦争』において、『今回の聖杯戦争での成果は得た』との方針を決定しました。 ○NPCが聖杯戦争への能動的な行動をしても放任します。 ○NPCの設定が上級AIによって消極的から普通に変更されました。以後NPCは何かのイベントに対して通常の度合いで反応します。 ●『魔術協会』は『第六次聖杯戦争』において、『神秘の秘匿は至上命題だ』との方針を決定しました。 ○冬木市に存在する魔術師のNPCに対し、魔術協会への協力が要請されます。 ●『聖堂教会』は『第六次聖杯戦争』において、『神秘は管理されなければならない』との方針を決定しました。 ○冬木市に代行者のNPCが八月三日(日)までに出現します。 ●『県警』は『第六次聖杯戦争』において、『警察の威信にかけて捜査せよ』との方針を決定しました。 ○八月一日(金)2000までに冬木市に警戒線が引かれました。 ●『政府』は『第六次聖杯戦争』において、『テロに屈してはならない』との方針を決定しました。 ○冬木市に自衛隊が派遣されます。 ○冬木市に避難所が開設されます ○八月三日(日)0000までに冬木市に鳥インフルエンザが発生したとの政府発表がされます。 ○八月一日(金)2000に冬木市を含む淡路島全域に避難勧告が発令されました。 ○八月三日(日)0000に冬木市に避難指示が発令されます。
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バーサーカーが駆ける。 無人の深山町の中心へと、凄まじい速度で侵入していく。 瞬間、狂戦士の目前の何もない空間が歪み、銀に輝くスフィア盤が出現。同時に外敵たるバーサーカーへと迎撃の魔法を叩き込む。 その砲撃の威力は決して侮れる物ではない。並のサーヴァントが無防備で受け続ければ深手も負うだろう。 だが、ここにいるのは円卓の騎士随一と呼ばれた騎士。 バーサーカーが両手に構えた剣を竜巻の如く旋回させると、四方から放たれた魔力砲撃はひとつ残らず弾き散らされた。 「……見えたか、アーチャー」 「フン、誰に言っているのだアサシン」 そこから遥か彼方、バーサーカーの侵攻を眺めていた三つの影――アーチャーとアサシン、そしてキャスター。 理性なきバーサーカーと歩調は合わせられないため、まずバーサーカーを先行させ敵の手の内を見る作戦だ。 「自動迎撃用のトラップを兼ねた結界魔法の子機ですね。我々の侵攻は予測されていましたか」 「敵にもキャスターがいるからな。そうそう先手は取れんだろう」 敵の本陣を監視していたアサシンの分身から、深山町の異変は報告されていた。 突如NPCの姿が消え、町は動く者のない時の止まったような世界と化したと。 NPCを用いた策を考えていたキャスターに対し、この一手は妙手であると言えた。 「……いけませんね、私が細工をしたNPCも反応が掴めません。破壊された訳ではないようですが」 「敵のキャスターは転移魔法の使い手だ。という事は空間操作にも精通していてもおかしくはない。NPCを根こそぎ移動させたか、あるいは……」 「我々に認識できなくしているか、だな。小癪な事だが、打つ手はないでもない」 バーサーカーを砲撃したスフィア盤はステルス性を付加されていたようだが、砲撃を行えばその位置は丸裸だ。 そしてその隙を見逃すアーチャーではない。 「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ!」 キャスターが瞬時に錬成した手のひら大の砲弾をアーチャーに投げ渡し、スタンド“世界”が剛力を込め天に放り投げた。 砲弾は放物線を描いて落下、何もない空間を擦過し――“視覚的に隠蔽されているが実体としてはそこに在る”スフィア盤を貫いた。 次の瞬間、ナイフは内側から爆散する。“紅蓮の錬金術”の真髄。 ある程度の耐久力を持つスフィア盤といえど、ナイフによる物理破壊と爆発による魔力破壊、二面同時攻撃を受けては一溜まりもない。 バーサーカーを砲撃したスフィア盤はひとつ残らず撃ち落とされ、駆逐された。 「……NPCが戻らんな。結界はまだ解けていない……他にまだ隠蔽された迎撃魔法があるという事か」 「結界が機能している限りは私の策は使えませんねぇ。何せ起爆剤となるNPCがいないのでは」 「先程のバーサーカーのように、指定したエリアを通過した者を自動で砲撃する魔法が設置されているようだな。 順当に考えるなら他にも我らの足止めをするトラップがあると見るべきか」 「小賢しい真似をする。私やアサシンはともかく、キャスター。お前達はあの罠の中に踏み込むのはやめておけ」 「言われずとも。なに、せっかくああやってバーサーカーが敵の罠を露出させてくれているのです。私は暫く、彼が暴いた罠を掃除する事にしますよ。 あの子機がNPCを隠蔽する結界を維持しているのなら、ある程度破壊すれば敗れるでしょう」 「待て、私のマスターから連絡だ。ほう……ご丁寧な事だ。 ライダーがこの周辺をサーチしてくれたらしい。隠れているトラップの位置がざっとだがわかったぞ」 同じく異変を察したライダー――ディケイドが、ペガサスフォームへと変身して深山町をサーチした結果、無数のスフィア盤がそこかしこに設置されているのがわかった。 判明した限りの位置をマスターである衛宮切嗣に伝え、切嗣がジョン・バックスに連絡し、市長からアサシンへ。 流れるような情報伝達が軍を有効に機能させる。 「ふむ、これだけわかれば十分でしょう。トラップは私に任せてください」 「では私は予定通り敵の本陣へ赴く。ランサーは別の私が担当するが、切り札を打ち込む隙を作るのはアーチャー、そちらの役割だぞ」 「理解している。フフフ……では、始めようではないか!」 ライダーに示されたスフィア盤を片っ端からアーチャーが狙い撃つ。 これが開戦の狼煙となった。 キャスターは下準備のために町内を回り、ライダーは用は済んだとばかりに上空を突撃していく。 気配を遮断しゆっくりと進軍するアサシンは不敵に笑う。 「さて……」 『始まったか、大統領?』 「ああ、市長。全ては予定通りだ」 新都から深山町に移動する間、既に令呪を使って別世界のディエゴ・ブランドーは確保しておいた。 別に生かしておく必要はないので、発見と同時に殺害してスタンドを使う暇も与えなかったが。 その死体は新都を捜索していた七人目の自分に持たせ、後方に控えさせている。 「ディエゴの死体を使う時が正念場だ。市長、君には何度も念話を中継してもらう事になる。頼むぞ」 「ああ、わかっている。我々が聖杯を獲るために、何としてもこの戦いで邪魔者を一掃しなければな」 「そう、遺体に代わる“”尊いもの――聖杯は誰にも渡してはならない」 漆黒の殺意を胸に、D4Cを持つ四人目のアサシンが深山町を進む。五人目のアサシンが監視する敵の本陣、遠坂邸を目指して。 ◆ 「来た……奴らだ!」 スフィア盤の破壊を感知したキャスターが、戦いの始まりを告げる。 サーチャーが戦場の光景を映し出す。 まっすぐにこの遠坂邸へと向かってくるのは数時間前に交戦したバーサーカーだ。 だがあの時とは違う。手にした二刀は宝具であり、操るバーサーカーの力強さも段違いだ。あの時与えた傷も全快している。 「バーサーカー……ランスロット卿!」 「な、なあ。なんかあいつ、さっき戦った時よりめちゃくちゃ強そうじゃね?」 「おそらく……今までの彼は私と同じように十分な魔力が供給されていなかったのでしょう。 それが何らかの方法で魔力を確保し、十全に力を発揮できる状態になったと……」 「でもあいつの宝具はこっちにあるんだろ? じゃあそんなにビビる事もないんじゃ」 「いえ、彼の宝具“無毀なる湖光”は確かに強力な宝具ですが、ランスロット卿の強さとはその剣に頼ったものではありません。 狂化していてもあの武芸の冴えは全く衰えていない……そしてあの宝具。 十分な魔力の供給が成されているのならば、むしろ魔力の消費を抑え長期戦に対応できる今の状態の方が脅威であると言えます」 立ち上がったセイバーは、戦意を漲らせ屋敷を出ていこうとする。 その前にガウェインが立ち塞がった。 「叔父上、彼は私が引き受けます。貴方は予定通りディケイドを討ってください」 「ガウェイン。しかし……」 「わかっています。ランスロット卿の手に“無毀なる湖光”がないとはいえ、私もまた“聖者の数字”を発動できない。 おそらく勝つ事はできないでしょう。しかし“負けない”だけならばやりようはあります」 生前、ガウェインはランスロットと戦った。 その時のガウェインは“聖者の数字”を発動し、ランスロットも“無毀なる湖光”を手にしていた。 結果はしかし、ガウェインの敗北だ。 能力では圧倒的に勝っていたが、ランスロットの巧みな戦術と挑発によりガウェインは翻弄され、やがて日が落ちるとともに弱体化してランスロットに打ち倒された。 「あの時とは立場が逆になりましたが、彼の攻撃をひたすら凌ぎ続けるだけならば今の私でも可能です。 その間に叔父上、ランサー。あなた達がアーチャーやディケイドを討ち取れば、我々の勝利です」 今のランスロットは能力の増したセイバーとて容易な相手ではない。 特に彼の手に竜種を害する剣が二つもある以上、一瞬の油断もできないアルトリアが対するよりはまだ、防戦に集中したガウェインの方が余裕はある。 「じゃあ、俺も手伝いますよ。タジャドルコンボで空から援護すれば牽制になりますし」 「叔父上とランサー、貴方達はアーチャーの時間停止に対抗する切り札だ。露払いは私とライダー……いえ、オーズ殿が努めましょう」 ライダー――仮面ライダーオーズがガウェインに賛同し、セイバーもそれならばと矛を収める。 ガウェインとオーズがランスロットを抑え、その間にセイバーがディケイドを、アレックスがDIOを倒す。 マスター達は今回地下室で状況を見つつ援護。 士郎や鉄之介、陽介など戦闘能力が高い者が揃っているとはいえ、敵には“魔術師殺し”衛宮切嗣と枢木スザクがいる。 衛宮切嗣の脅威はもはや周知の事であるし、スザクの身体能力についてもルルーシュが事細かに説明している。 発射された銃弾を魔術やペルソナ、13騎士で受け止めるのはこの三人でも可能だろう。 しかし、生身で機関砲を避け切るほどの身体能力は誰も持ち得ない。 唯一、陽介が敏捷性を上昇させる魔法を使えば可能かもしれないが、スザクはそれを素の状態でやってのけるのだ。 (加えて、もしあいつが俺の掛けたギアスを制御できる状態なら……いくらこいつらでも打ち倒される可能性は否定出来ない) かつてルルーシュがスザクに命じた“生きろ”というギアスの呪縛。 本人の意志に関係なく死を許さないギアスは幾度もスザクを救い、また苦しめてきた。 そして苦難の果てにスザクはギアスの制御に成功する。 ギアスを強靭な精神力で抑えこみ、自我を保ったまま潜在能力を極限まで引き出す力へと昇華させたのだ。 あの状態のスザクはコンマ0.4秒という刹那の見極めすらもやってのけた。 異能の力を持たずとも、戦闘能力は今生き残っているどのマスターにも引けは取らないはずだ。 「この地下室なら衛宮切嗣の狙撃は心配ない。アサシンについても、屋敷の周囲は結界を重点的に張り巡らせている。 対軍宝具でも叩き込まれない限り、隠密の侵入は不可能だ。 だが……敵は何らかの方法でスフィア盤の位置を探知したようだな。罠が凄まじい勢いで破壊されている。この分だとそう長くは保たないぞ」 「もし状況が不利ならそのまま柳洞寺まで退くことになる。各々、深追いはしないでくれ」 「セイバー、令呪を使っておくか?」 「ええ、お願いしますシロウ。早い内にディケイドを倒せればそれだけ他の戦線にを援護できる」 残り二画の令呪をひとつ消費し、セイバーのスペックを上げて臨む。これもまた作戦通り。 士郎が令呪を開放し、セイバーへの魔力供給を強化する。 「……凄まじいものだな。これが最優のクラスと言われるセイバーたる所以か」 「叔父上が特別なのですよ。私ではこうは行きません」 「いや、ガウェインさんも日中は手がつけられないと思うけど」 広い地下室を満たすセイバーの潤沢な魔力に、そこに集まるほぼ全員が驚愕する。 驚いていないのは生前の彼女を知るガウェインくらいのものだ。 これならば“約束された勝利の剣”、“全て遠き理想郷”といった規格外の超宝具の連続使用も苦ではない。 「時間を止められても、スタンドの攻撃が打撃である以上一度くらいなら耐えられる。マスター、令呪を使うのはその時だ」 「わかったぜ、アレックス。任せてくれ」 陽介は常にアレックスとリンクし、彼の状態をチェックする。 もし突然アレックスが負傷すれば、その瞬間に時間を止められて攻撃を叩き込まれたという事だ。 幸い、アーチャーの攻撃能力そのものはさほど高くない。一撃でアレックスが殺害されない限り、即座の令呪で時間停止に対抗できるはずだ。 「では……ガウェイン、ランサー、オーズ。征きましょう!」 セイバーの号令を鬨の声に、サーヴァント達が出陣する。 騎士王のカリスマが集団戦の能力を高め、士気も高い。 敵を打ち破り、必ず帰還する。誰もがその想いを強く抱いて、夜の戦場へと飛び込んでいった。 ◆ 賢者の石から供給される有り余る魔力がバーサーカーの全身を駆け巡る。 人間数百人分の錬成から成る魔力の結晶は、生粋の魂喰らいであるバーサーカーを以ってしても生半には喰らい尽くせないほどの膨大な魔力を保有する。 これだけの魔力があれば、マスターの回復魔術に頼らずとも強引に傷を癒やす事も可能だ。 そしてその腕には二振りの剣。 片や身の丈以上の大剣、“神将器エッケザックス”。 片や現存する聖遺物、“封印の剣”。 共に、ひとつの世界において頂点を極めた剣であると言える。 英霊の所有する宝具ではないとしても、決してサーヴァントの宝具に見劣りする物ではない。 その二つの宝剣を、十分な魔力を供給された万全な状態のバーサーカーが振るうという事が何を意味するのか。 「■■■■■■■■――ッ!」 「ぐうっ……!」 その答えが、これだ。 同じ円卓の騎士であるガウェインが、一方的に翻弄されている。 ランスロットの魔力により漆黒に染まった竜殺しの双剣は、一撃一撃が必殺の威力を秘めて襲い掛かってくる。 「うおおおおっ!」 タジャドルコンボへと変身したオーズが、上空から火球の雨を降らせた。 ランスロットの闘志に呼応した封印の剣が黒き炎を纏い、叩き付けられた火球をそよ風のごとく吹き散らす。 ランスロットが片手で振るうエッケザックスを、ガウェインは両手で構えたガラティーンで何とか受け止めた。 腕一本の差があるとは思えない剛力が剣から伝わってくる。 「さすがに強いな、友よ……!」 元々のステータスの高さに加え、狂化で一段階強さが増し、そして狂化していてもその武技の冴えは衰える事はない。 生前と何ら変わらぬその技量に敬意すら感じる。 「しかし……私も負けられんのだ!」 「……ga……i……」 ランスロットは狂化していても尚、アーサー王――アルトリアに憎悪を向けた。 狂化という軛を超えるほどに強い想いは、決して打ち消せる物ではない。 そしてランスロットにとっては、ガウェインもまた、心に刻まれた盟友であり強敵でもある。 「Gaw……in……ッ!」 ガウェインが打ち込む度、その意志を叩き付ける度、ランスロットもまた呼応するように剣戟を返していく。 理性ではなく本能で察している。目の前の騎士が、己にとって決して逃げてはならない試練なのだと。 ガウェインにとっても同様だ。 憎んでいる訳ではない。今はただ、正しき願いを持つマスター達の障害を、排除するのみ。 少なくともアルトリアが姿を見せなければ、こうしてランスロットを釘付けにしていられる。 「ガウェインさん!」 タジャドルでは埒が明かないと、よりパワーのあるサゴーゾコンボに変身したオーズが降下してきた。 サゴーゾの特性・重力操作を用いランスロットの動きを封じるべく、重力波を放つ。 寸前で離脱したガウェインを追って跳ぼうとしたランスロットの脚が地表を抉る。何百倍にも増した質量が狂戦士の自由を奪った。 「……よし!」 キャスターが指示したらしく、拘束されたランスロットへと砲撃が集中して放たれる。 同時に発動した拘束用の魔法が一瞬とはたしかにランスロットの足を止め、隙が生まれた。 ガウェインは今が好機と手にした剣――“転輪する勝利の剣”の真名を開放するべく距離を取る。 目的はランスロットの足止めだが、討てる機会を逃す必要もない。 剣戟戦で勝機が見えないなら、宝具を用いて一気に決着させる――しかしガウェインの思惑は、視界の外から突っ込んできた飛行物体により打ち砕かれる。 「あれは、ディケイドの!」 ランスロットの不利を察知したディケイドが、ファイナルフォームライドのカードでクウガを変形させこちらに寄越してきたのだ。 変形したクウガ――クウガゴウラムはスフィア盤を蹴散らしながら前進、そのカブトムシの如き顎で重力波に囚われたランスロットへと激突して、手荒に救出した。 ランスロットがクウガゴウラムの身体を掴むと、瞬時に“騎士は徒手にして死せず”のスキルが発動し、ランスロットの支配下に落ちる。 クウガゴウラムの上でくるりと体勢を整えたランスロットが、封印の剣を腰へと差してエッケザックスを構え一直線にオーズへと突っ込んでいく。 大剣が竜巻のように旋回、遠心力に加え縦横に飛行するクウガゴウラムの速度を上乗せした一撃は、動きの鈍いサゴーゾのオーズを容易く両断するだろう。 ガウェインの決断は一瞬だった。 「“転輪する勝利の剣”!」 オーズを救うため、ランスロットの進路上に向けて十分な魔力を供給しないまま“転輪する勝利の剣”を解放する。 柄に埋め込まれた擬似太陽が活性化し、小規模ながらも確かに太陽の灼熱を生み出し濁流となって奔る。 「■■■■■■■■――ッ!」 だが苦し紛れの一撃はランスロットに読み切られていた。 寸前でランスロットがクウガゴウラムの角先を天へ向け、ガラティーンの閃光をギリギリですり抜けていく。 クウガゴウラムが回頭し、再び突撃をかけてくる。 「オーズ殿。今のは援護は助かりましたが、もう使わない方がいい。同じ手は彼には二度も通じない」 再度重力波を放とうとしたオーズを、ガウェインが止める。 サゴーゾの重力波は確かに敵の動きを阻害できるが、今のランスロットは外付けのスラスターを得ている状態だ。 ディケイドのクロックアップには、超加速状態といえどあくまでディケイド一人だけの速さだったから通じた。 仮に重力の檻に封じたとしても、クウガゴウラムを足場に跳躍――自身の脚力を全力で炸裂させるランスロットの勢いは殺しきれる物ではない。 そしてランスロットが鈍重なサゴーゾコンボのオーズに接近して叩き斬るにはその一瞬で十分なのだ。 万能型の仮面ライダーと言えど、接近戦の技量はセイバーなどの専門クラスには遠く及ばない事はアルトリアが既に証明している。 「参りましたね。あれが本気のランスロットさんですか!」 「機会があれば仕留める気でいましたが、そう甘くはないようだ。さすが、と言わざるを得ませんね」 親友の尋常ではない力量は嫌というほど知っていたのに、こうしてまた思い知らされる。 しかし同時に、彼の変わらぬ武芸の冴えを騎士として嬉しく思う心も決して否定出来ないでいた。 (友よ、私はもうあなたを憎んではいない。今はただ、こうして再び剣を交わせる事をただ喜ぼう。 だがあなたに栄光を掴ませる事は出来ない……この戦は私が、私達が勝つ!) 決意も新たにガラティーンを握り直し、迫るランスロットを迎え撃つ。 隣に肩を並べるのは速度に優れたラトラーターコンボへと変異したオーズ。 いつ果てるともしれない高速域での激突が開始された。 ◆ 「僕に釣られてみる?」 「結構だ!」 口上を述べ上げると同時、青い鬼の姿をした人型は真っ二つに断ち割られた。 即席の盾を潰し、本丸を狙おうとした時にはもう遠く離れた所にいる。 「ディケイド……!」 「ウラタロスまでやられた、か。これで電王の力も半減……やってくれるな、騎士王様よ」 ランスロットをガウェインとオーズに任せたセイバー――アルトリアは、因縁あるディケイドと対峙していた。 最初に出会ったのは昼間、天海陸に謀られていた時だ。 セイバーがディケイドによって抑えられている間に、衛宮切嗣の奇策によってガウェインが操られ、仲間である金田一一とライダーを殺されている。 二度目は午後、柳洞寺にて。 襲撃してきた切嗣とディケイドを、マスターである士郎の援護を得て何とか撃退した。 二度の交戦を経てお互いの手の内はほとんど曝け出されている。 容易な相手ではないと理解していたが、やはり―― (一筋縄ではいかない、か) コンプリートフォーム、いわゆる強化形態に変身したディケイドのスペックは全体的に高いとはいえ、セイバーを上回るほどではない。 さらに令呪で魔力供給を強化した今のセイバーなら、正面からぶつかれば優勢に戦いを進められるはずだったが、 「もうお前とまともにやりあうつもりはないんでな。悪く思うなよ」 ディケイドは徹底してセイバーと打ち合う事を避けている。 どれだけ強力になろうとも、セイバーの取れる戦術は基本的には少ない。 接近しての斬撃、“風王結界”解放による一度きりの超加速あるいは暴風の遠距離攻撃、そして光の斬撃たる“約束された勝利の剣”。 セイバーのクラスが示す通り、すべての攻撃が剣を起点に始動する物ばかりだ。 しかしディケイドは違う。 ファイナルフォームライドという召喚能力を筆頭に、カブトやファイズの超加速、狙撃、霊格への直接攻撃など。 龍騎・キバ・電王の二つの力を失っているのは確認できているが、それでも取れる戦術はセイバーとは段違いの多さだ。 特にコンプリートフォームに変身している今は、各ライダーのカードを使用しても姿を変えずその力だけを再現できる。 ディケイドが異なる力を発現させているとセイバーが認識するのは、彼の胸部のヒストリーオーナメントが全て塗り替えられた後。 タイムラグなく様々な能力を発動させるため、純粋に攻めにくいのだ。 そして今のディケイドはその能力の全てを攻撃ではなく回避に傾けている。 セイバーの間合いに入ったと思った瞬間クロックアップで違う時間流に突入してするりとこちらの手の中から去っていく。 接近戦で勝てないのは柳洞寺での戦いから明らかなため、ディケイドは一度としてセイバーに接近するリスクを犯さない。 どれだけ加速していても、ただの一撃でセイバーを仕留められないのなら無意味な事だと割りきっているかのように。 キャスターが設置したトラップも、クウガペガサスというサーチに特化した力で既に見破られていたらしく、戦いながら次々に撃墜されている。 「おっと、宝具は撃たせないぜ」 埒が明かないとセイバーが“約束された勝利の剣”を放とうとすれば、ディケイドは超加速を利用し射線上にガウェインやアレックスがいる位置に立つ。 “約束された勝利の剣”は威力が大きすぎて、ディケイドを消し飛ばしてもさほど減衰しないまま突き進んでいくだろう。 その余波が万一仲間達に当たるかもと考えると、迂闊には放てない。 ディケイドの位置より下から空に向けて使おうにも、ディケイドはそのような状況になる前に離脱してしまう。 ガウェインがランスロットに対して用いている戦術を、ディケイドはより効率的な形で実践できるのだ。 「何のつもりです、ディケイド。時間を稼げばあなたの仲間が勝つと?」 「奴らを仲間と思った事はないが、まあその通りだ。どうせもうアーチャーの能力は知ってるんだろ。 あいつにぶつけたのはランサーだろうが……悪いな。俺達には奴を仕留める切り札がある」 「何……?」 動揺させるブラフか? そう思ったが、直感的に違うと否定する。 今の戦況はそれぞれのサーヴァントが分断された形だ。 先ほどディケイドが力のひとつをランスロットの援護に向かわせた例外はあるものの、どこにもすぐに駆けつけられるという距離ではない。 「一対一のこの状況を望んだのは、お前らだけじゃない。俺達もそうさ」 ディケイドが新たなカードを取り出し、ひらひらとセイバーをからかうように弄ぶ。 その時、ランサーがアーチャーと戦っているはずの方角に、凄まじい魔力の塊が出現した。 さほど探知能力に優れている訳でもないセイバーでもわかる、夜闇を切り裂く閃光を伴う圧倒的な魔力の放出。 対軍宝具の解放に匹敵する、この出力は―― 「ランサー……!」 アーチャーでもアサシンでもランスロットでもディケイドでもない。 これだけの大出力を出せるのは、キャスター、ガウェイン、自分、そして――ランサー、この四人しか該当しない。 敵のキャスターという可能性も否定出来ないが、ディケイドの言葉と合わせて考えるにその線は薄いように思えた。 「さあ、どうする騎士王様。このままここで俺と遊ぶか?」 揶揄するようなディケイドの軽口を、もはや問答は無用と神速の踏み込みによって黙らせる。 一閃、天も裂けよと振るわれた聖剣は果たして何者も凪ぐ事はなかった。 インビジブル――透明化のカードで寸前に回避したのだ。 しかしセイバーはそれ以上ディケイドに構わず、“風王結界”を展開、即座に解放して暴風を放ち、自身を天へと打ち上げた。 一度きりだがクロックアップやアクセルフォームに並ぶ超加速を用い、全速でランサーの安否の確認に向かう。 「行ったか。やれやれ、きついもんだな」 インビジブルの効果が切れたディケイドは、溜息を付きながらそれを見送った。 口ではああ言ったが、正直生きた心地のしない数分間だったとディケイドはひとりごちる。 コンプリートフォームの力があっても、今のセイバーの相手は容易ではない。 時間を稼ぐだけだから何とかなったものの、正面から戦ってはまず太刀打ち出来ないだろう。 「……まあ、そのための策なんだがな。さて、俺も行くか」 ここからが本番なのだ。メインイベントに遅れる訳にはいかない。 クウガをランスロットに貸し、龍騎が破壊されたため、残る騎乗フォームライドはアギトとカブトだけだ。 カブトがクロックアップという命綱を司るカードである以上、軽々には使えない。 アギトトルネイダーを召喚し、ディケイドもセイバーの後を追ってアーチャー対ランサーの戦場へ飛んでいった。 ◆ 「ほう。貴様が私の相手をしてくれるのか、ランサーよ」 「そうだ、そして俺が最後の相手だ。お前はここで滅びろ」 一人町を闊歩するアーチャーの前に現れたのは、堂々たる体躯を持つ軍服姿の男――アレックス。 キャスターに頼むまでもなく、こうして望み通りの一対一の状況ができた。 アレックスの腕が異形に変形し、魔獣の如き爪を生やす。ARMS“帽子屋”第一段階の発現だ。 「挨拶代わりだ、受け取るがいい……我がブリューナクの槍を!」 圧縮された荷電粒子を放つ。 一直線に伸びていく光線は、進路上の全てを融解させ薙ぎ払う死のラインだ。 光線は確かにアーチャーを捉え――次の瞬間、その姿は掻き消えていた。 「驚いたな……大した威力だ。いや、さすがのこの私も少しだけヒヤッとしたぞ……。 これだけの熱量、直撃すれば半身は軽く持って行かれそうだ」 その声はランサーの後方、寸前までのアーチャーの位置からは180度反対の場所から聞こえてきた。 ゆっくりと振り向く。そこにいたアーチャーはやはり無傷だ。 「なるほど、光の槍……故にランサー。これほど型に嵌まらないサーヴァントがいたとはな」 「それはこちらの台詞だ、アーチャー。今、時間を止めたな?」 「フフフ……さすがに調べていたか。いかにも、これが世界を支配する我が能力よ」 アーチャーの隣に現れた、筋肉質な人型の像。 ARMSの生物的な意匠とは違う、人の形をしていながらどこか非人間的な印象を受けるシルエットだ。 「時間を止めてまで避けるという事は、貴様の再生能力を以ってしても我がブリューナクの槍は脅威という訳か。底が見えるな」 「ふん、言ってくれるではないか。手心を加えてやったのがわからんか? 私がその気ならお前の首はとうにすっ飛んでいるのだぞ」 「ならばやってみるがいい。その前に俺のARMSで貴様を灼き尽くしてやろう」 挑発というほどのものでもないが、どうやらアーチャーは乗ってくるようだ。 無傷で最初の時間停止を切り抜けられた事は大きい。 (マスター、令呪の準備はいいか?) (いつでもいいぜ、アレックス) 令呪によって“帽子屋”に無理やり時間停止の耐性を付けさせる――それがアレックスの策。 正直、成功するかどうのか確信はない。何と言ってもアーチャーの宝具はEXランク、規格外の神秘だ。 それを、令呪のブーストがあるとはいえ、Aランク止まりの“帽子屋”が凌駕できるか。 (いいや……できる。できると信じる。迷いなき確信こそが、俺のARMSを動かす力となるのだから……!) アーチャーが両腕を広げ、魔力を高めていく。 スタンド“世界”の全身に魔力が凝縮され、今にも解き放たれようとしている。 針のように鋭くなった意識でアーチャーを観察していたアレックスの本能が、ここが勝負時だと告げた。 荷電粒子砲を発射。回避しようとしたアーチャーが時を止めるタイミングをこちらで限定させる。 (今だ! マスター、令呪を!) (よし……令呪に命じる! “アレックス、お前の時間を止められるな”!) その瞬間、確かに世界は止まり―― ――止まった時の中、アレックスの時間は確かに動き続けていた。 ◆ キャスター、本名ゾルフ・J・キンブリー。 彼は生前、ホムンクルスに食われて死んだ。 魂を力として保有する賢者の石の中に取り込まれ、彼は色々な物を見続けてきた。 鋼の錬金術師を始めとする人間達と、お父様と呼ばれるフラスコの中の小人の生存競争。 中でも錬金術士として興味を惹かれたのが、自身も多少関わった超巨大な錬成陣の構築――国土錬成陣である。 国土をひとつまるごと使った錬成陣を敷き、その上で暮らす人々の魂を余すところなく蒐集、集めた巨大な力で“真理の扉”をこじ開けるための物だった。 国家錬金術師に選出されるほどの練達の錬金術士であるキンブリーだが、さすがにこの巨大な錬成陣を独力で再現するのは不可能だ しかし、発想とイメージだけ盗んで他に流用する事は、決して難しくはない。 錬成陣を巨大化させて、効果を及ぼす範囲を拡大。 人間の魂を人の起点に用いる事で効果を増幅。 円状に魂を配置する事で力を循環させる。 キンブリーが新都の会合で同盟者達に語った、血の紋を刻むという言葉の意味――それは、この冬木市に国土錬成陣を模した巨大な錬成陣を敷くという事。 NPC達にした細工とはつまり、彼らの時限爆弾化。 キンブリーが合図を送る事で彼らは一斉に起爆し、その魂の氾濫はひとつの陣を描き出す。 すなわち――キンブリーの二つ名、紅蓮の錬金術の超巨大な増幅回路とする。 「さて……あらかた、敵のキャスターの細工は一掃できましたね」 キンブリーはライダーによって判明した敵のスフィア盤を潰して回っていた。 およそ半数を潰したのだろうか、各所で結界の綻びが見られるようになってきた。 残ったスフィア盤が結界の負担を引き受けているが、さすがに処理能力の限界を迎えつつあるのだろう。 丹念にそのほころびを見て回った結果、位相をずらして保護されていたNPCを発見する。 「おや、いましたね。ふむ、アクセスは……可能ですね。ここはもう空間の境界が曖昧なのでしょう」 キンブリー自身は転移などの空間魔法には精通していないが、壊れかけの結界の内側に入れば干渉は可能となる。 そこにいたNPC達に仕込んだ時限爆弾化のスイッチを確かめ、問題なく稼働する事を確認した。 しかし、未だ空間の向こうに隠されているNPCが多すぎる。 円で循環するとはいえ、利用できるのはおよそ半数ほどか。 「当初の予定ではこの都市錬成陣で敵の本陣を一気に潰すはずでしたが、このNPCの数ではもう望めそうもありませんね。 ふむ……ならば目標を変えましょう。結界の綻びの中にいるNPCを起爆させ、結界そのものを破壊する」 ふと焔の錬金術師を思い出し、キンブリーが指を鳴らす。 それを合図に、キンブリーの目の前にいたNPC達が次々に爆弾化・炸裂していき――爆発は連鎖していく。 閉ざされた空間の内部からの、連鎖する自壊。 「これで結界は破壊できるでしょう。仕事は果たしましたので、後は頑張ってください、皆さん」 呟き、キンブリーは踵を返す。 後は誰が生き残るのか、高みの見物をするだけでいい。 錬金術士は、紅蓮の炎の中にゆっくりと歩み去っていく。 ◆ 「……ほう。驚いたな……我が時の止まった世界に入門してくるとは」 全てが静止した世界で、ただ一人アーチャーだけが自由に動ける。アーチャーはコツコツとこちらに歩いてくる。 アレックスは時間の止まった世界を知覚している事を実感し、左腕の荷電粒子砲を向けようとした。 だが――動かない。 意識は鮮明に活動しているのに、身体は指一本も動かせなかった。 「令呪を使ったか? 大したものだ、よもやそこまで強力な耐性を備えているとはな。 だが惜しい……届いていない。お前は時の止まった世界を知覚できるようになっただけだ。 この世界の中で動く事を、まだ許されていない……」 ARMSとはナノマシンの集合体。 耐性を創りだすという事はつまり、ナノマシンがその攻撃の組成を分析し免疫を作るという事。 質量や熱などの物理に作用する攻撃には抜群の反応を示す。 しかし、物理法則の外にあるもの――時間という“概念”あるいは“法則”は、令呪を用いたとはいえ一度で分析しきれはしなかった。 かつて空条承太郎が時を止める能力に目覚めた際、最初は少しずつしか動けなかったように。 アレックスが時の止まった世界を完全に打ち破るには、ナノマシンの経験が圧倒的に不足している。 「もう一度やればわからんがな。だが、私はそんな機会を与えるほどマヌケじゃあない……」 アーチャーは懐から大振りのナイフを引き抜いた。 なまじ知覚だけができてしまうので、時の止まった世界でこれからあのナイフに刺されるとわかっていも、見ている事しかできない。 「アーチャーッ……!」 「無駄ァッ!」 アレックスの胸板に、大型のナイフが叩き込まれる。 同時に時間停止が解除――衝撃が一気に襲ってきて、アレックスは吹っ飛ばされた。 「ぐうっ、これしき……!」 (アレックス! どうした、大丈夫か!?) 時が止まっている間の事は、アレックスしか知覚できていない。 突然負傷し這いつくばったアレックスの姿に、令呪を用いたカウンターが失敗したのかと陽介が焦っている。 「マスター、もう一度だ! もう一度やれば、完全な耐性を作り出せるはずだ……!」 (大丈夫なのか、アレックス!?) 「致命傷ではない、すぐに治る。それよりも令呪を……!」 パスン、と小さな音がした。 アーチャーではない。奴はまだ前方でにやにやとアレックスの醜態を眺めている。 顔だけ振り返らせると、そこには学園で交戦したあのアサシンがいた。 「……ッ!」 本能的に“帽子屋”を起動させ、荷電粒子をそのアサシンに浴びせ掛ける。 そいつは何の対抗もなく、至極あっさりと光の束に呑み込まれて、消えた。 天を裂く一筋の光。直撃すれば消滅は免れない、凄まじい力を秘めた光だ。 「やれやれ……大したものだな。まるで太陽の如き凄まじき力だ」 そこに音もなく忍び寄ってきたのは、今し方灰にしたばかりのアサシンと瓜二つの男だ。 あれが“D4C”で生み出された分身ならば、この男もまたそうだということになるか。 「何体いるのか知らんが、その程度の力で勝てると思ったか? この俺に舐められたものだな、アサシン」 「勝てるとは思っていないさ。そう……お前が勝手に負けるだけだ」 アーチャーを睨みながら、もう片方の腕をアサシンにつきつける。 “死”そのものである荷電粒子弾ける砲口を向けられて尚、現れた新たなアサシンは怯まない。 ならばこいつもまた分身であるのか。 「構わん、何体出てこようと消し飛ばすのみ」 アーチャーがいる以上脅威度の低いアサシンとそれ以上の問答をする気もなく、アレックスは“帽子屋”の力をに叩きつけようとした。 だが、次の瞬間――アレックスの意思に反し、荷電粒子は収束せず、拡散していく。 それだけではない。全身を構成するナノマシンが一斉にエラーを吐き出してくる! エラーの発生源は、先ほど撃破したアサシンに撃たれた拳銃の着弾点。 「なっ、何だ……?」 「効いてきたようだな。さすがだよ、市長」 感嘆の混じるアサシンの声に、アレックスは自身が敵の策に落ちたことを理解する。 ARMSが、魔力で構成されているとはいえ生前のそれをほぼ100%再現されたARMSが体内で軋んでいく。 「これは……っ!」 「堪能してくれ、ランサー。お前のために我がマスターが手ずから作成した特別製の毒だ」 そのアサシンがまた手にした銃でアレックスに銃弾を撃ち込む。途端、エラーの発生箇所が倍増した。 思い返せば先ほど、最初のアサシンは一体何をしたのか。 肌に何か当たる感触はしたが、ダメージというほどの物はなかった。 攻撃ではないのならば、一体何を――その瞬間、アレックスの脳裏に生前の記憶が閃いた。 かつてエグリゴリの尖兵となったガウス・ゴールがオリジナルARMS“ジャバウォック”に対し使用したとされる対ARMS用コンピュータウイルス! 埋め込まれたAIに干渉し、ナノマシンを侵食し破壊する、いわばもう一つのARMS殺しと呼べるモノ。 無限に進化・再生する“帽子屋”のその特性自体を無効化する、ARMS限定の必殺の矢だ。 かつて同じARMSである“ジャバウォック”を追い詰めた、謂わば逸話の再現。 起源を同じくする“帽子屋”にも、通用しない道理はない。 「ぐっ……ぐおおおおお……!」 「ほう、抑えこもうとしているか。強靭な精神力だが、ではこれでどうかな?」 未だ胸に刺さったままのナイフへと、アーチャーが別のスローイングナイフを投擲する。 ナイフ同士が衝突した瞬間、激しい爆発がアレックスの胸元で炸裂した。 「があっ……!」 大きく胸元が抉られた。とはいえ、これはただの爆発だ。 ARMSを以ってすればすぐに再生できる類のダメージである。ARMSが正常に稼働しているならば――の話だが。 突然ダメージを受けナノマシンは、とにかく損傷箇所を再生しようとする。 しかし“帽子屋”は今、まともに制御できていない状態である。 アレックスの全身を包む軍服が弾け飛んだ。意図していない“帽子屋”の最大稼働――完全体への変態が始まったのだ。 「アレックス……何を思って真名を秘匿せずにいたのかは知らないが、おかげで対策は容易に取れた。 お前がどれだけ強かろうとも、こうなっては形無しだな」 今やアレックスにはアサシンの言葉など届かない。否、その存在すら気に留めている余裕が無い。 ウイルスの影響で体内のナノマシンが一斉に誤作動を起こしている。 暴れ狂う“力”を全身で押さえつける。そうせねば、今にも“帽子屋”が暴走を開始してしまうのだ。 自身の意志で制御できるはずのARMSが、まるで別物にすり替えられたような錯覚さえ覚える。 アレックスは今、内側から自身を食い破ろうとする己の力そのものに必死に抗っていた。 「弱点を突いたとはいえ、脆いものだな。だが好機は好機だ。殺らせてもらうぞ、ランサー」 ゆっくりとアーチャーが近づいてくる。実体化するスタンド“世界”。 本来ならば、如何に強力であっても単純な打撃ならARMSには通じはしない。 だが、今のアレックスの状態ではどんな攻撃も防げない。 死が迫り来る。それがわかっていても――アレックスは動けない。 (鎮まれ、“帽子屋”……! 俺に……従え! 今戦えねば、何のために二度目の生を拾ったというのだ!) もし少しでもアレックスが“帽子屋”の手綱を離せば、暴走はあっという間に頂点に達するだろう。 行き着く先はあの闘争の丘――“ジャバウォック”に敗れた時と同じ、際限なくエネルギーが上昇するメルトダウン。 果ては地殻に沈みミニサイズの恒星と化し、アーチャーとアサシンのみならずこの冬木市そのものを消滅させる。 無論、そうなる前にムーンセルによる介入があるだろうが、果たして間に合うかどうか。 間に合わなければ、敵も味方も全員が吹き飛ぶ。マスターである花村陽介も、目的を同じくする仲間達も。 「それ……だけは……!」 高まる熱を抑え続けるアレックスだが、自分だけではとても抗しきれない。 アーチャーが“世界”をアレックスに向け疾走させる。 「終わりだ、ランサーッ!」 “世界”の強靭な拳を以ってすれば、ARMSの稼働していないアレックスの頭蓋など簡単に砕き割られる。 そうなれば再生どころではない。過度のダメージで一気に死んでしまうと、再生のための魔力などどこからも湧いてこないからだ。 二度目の死を覚悟したアレックスだったが、“世界”の拳が着弾する寸前、突如アレックスの視界を遮る者が現れた。 それは、白銀の鎧と青の衣を纏い、黄金の剣を振りかざす騎士達の王。 「はああああッ!」 「な……なにィッッ!?」 放たれた“世界”の拳を真っ向から受け止め、弾き返す。 小柄な少女が、驚愕に立ち尽くす吸血鬼とその屈強なスタンドへ真っ向から挑みかかる。 数あるスタンドでも随一のパンチの速さを誇る“世界”が左右の拳を速射砲のように繰り出す。 目にも留まらぬ――アレックスですら目で追えない超高速のラッシュを、令呪で強化されたセイバーはことごとく受け止め、躱す。 もはや隠す意味無しとその刀身を晒した“約束された勝利の剣”が夜闇に閃く。 吹き上がる鮮血は確かに敵手であるアーチャーのものであり、セイバーが接近戦を信条とする近接パワー型スタンドに正面から打ち勝った証だった。 「チィッ……、セイバーか!」 アーチャーが後方へ飛び、間合いを取る。 肩口から袈裟懸けに切り下ろされた傷口からはシューシューと湯気が立ち、再生が始まっていた。 時刻は未明、夜の中。アーチャーの吸血鬼の特性が最も強く発揮されるこの時間、多少の傷は致命傷足り得ない。 「ランサー、無事ですか!」 「セイバー……か。すまん、助かった……」 「一体どうしたのです、その姿は?」 「奴らにウイルスを打ち込まれた……俺のARMSを……っ、暴走、させる気だろう」 「……退いてください、ランサー。キャスターに転移してもらえば」 一目でアレックスが戦える状態ではないと判断したセイバーは、彼を逃がす事を考えた。 「駄目だ……今の俺の状態では、マスターの側に戻るわけにはいかん」 しかし、それはランサー自身が拒否した。 メルトダウン寸前の“帽子屋”を沈静化させずに生身の人間であるマスター達の元へ戻る訳にはいかない。 サーヴァントであるセイバーやアーチャー、アサシンだからこそ近くにいても耐えられるが、人間ならば放たれる熱波で死んでもおかしくはないのだ。 「では、私があなたを連れて……」 「楽しそうじゃないか。俺も混ぜろよ」 「セイバーさん、アレックスさん!」 そこに、サーフボードのように変形したアギトトルネイダーを駆ったディケイドと、タジャドルコンボへ変身したオーズが現れる。 オーズはこなたより状況を伝えられ、ディケイドはセイバーの後を追ってきたのだ。 アーチャーが周囲を見回すと、いつの間にかアサシンが消えている。状況を不利と見てさっさと撤退したのだろう。 「ライダー、あなたが来たということはガウェインは?」 「今、キャスターさんの迎撃魔法を使って何とか押し留めてます!」 その時、突然に地面が揺れたような錯覚を感じた。 地震など起こっていない。だが気のせいではない。 オーズもディケイドもアーチャーも、誰もが今の奇妙な感覚を感じていたようで、辺りを見回している。 (セイバー、まずい! 結界が破られた!) 「シロウ!? どういう事です?」 (わからない、急にキャスターの放ったスフィア盤が全部破壊され…… ……) 「シロウ? ……シロウ!」 士郎との念話が、急に断たれた。 結界が破られたという事は、本陣である遠坂邸の地下へも侵入が可能になったという事を意味する。 この場にいない敵は、キャスターとアサシン。 キャスターが結界を破ったとすれば――本陣を強襲するのは、暗殺者たるアサシンを置いて他にない。 向こうは念話もする余裕も無いほど逼迫しているのか。 まずい状況だと、セイバーは歯噛みする。 何を置いても迅速に帰還するべきだ。だが目の前には敵がいる。 キャスターの転移を頼ろうにも、おそらくアサシンが接敵している状況ではおいそれと転移魔法を行使する隙も与えてくれないだろう。 オーズならこなたの令呪を使えば転移で戻れるかもしれないが、そうすると今度は動けないランサーが危険だ。セイバー一人では護りきれない。 加えてガウェインも、いつまでもランスロットを足止めしていられないだろう。 これ以上どこかが崩される前に、敵を突破して状況を覆さなければ―― 「……オーズ、援護してください。アーチャーを仕留めます」 「セイバーさん!? でも、こなたちゃん達が」 「私達のマスターと、キャスターを信じましょう。本当に危険なら令呪で貴方を呼び戻しているはずです。 目前にアーチャーがいる、今しかありません。撤退するにも一度彼らを叩いて、追撃の余力を削いでおかなくては。 あなたはディケイドを抑えてほしい……頼みます」 アーチャーさえ速攻で倒してしまえば、ディケイドもオーズとの二人がかりで対処できる。 そうでなくてもオーズが本陣に戻る余裕が生まれる。 オーズを狙っているディケイドに向かわせるのには大きな危険が伴うが、逆に言えばオーズだけがディケイドの注意を惹きつけられるとも言える。 もう選択肢は他にない。 「……わかりました、ディケイドは俺が止めてみせます!」 「待ってたぜ、この時を……かかってきな、仮面ライダーオーズ!」 強化フォームとなったディケイドに対抗するために最適なのは、やはりオーズ最強のコンボであるプトティラだろう。 しかしプトティラコンボはオーズ自身の意志で発動させる事はできない。 オーズが絶対的な命の危機に瀕するか、令呪の強制がなければ使えない力なのだ。 悩んだ末、オーズが選んだコンボは機動性に優れたタジャドルコンボ。 火野映司が最も信頼する相棒、アンクの力を具現化させた形態だ。 「行くよ、アンク……おおおおっ!」 専用武器タジャスピナーにセットしたコアメダルから力を吸収し、全身に炎を纏ってディケイドへと突撃していく。 ディケイドもまたカードをライド。呼び出したライダーはブレイド。 ファイナルフォームライドでブレイドを変形させ、巨大な剣・ブレイドブレードとして構える。 「さあ、来なオーズ! お前もこいつのように破壊してやるよ! オーズとディケイドが戦闘を開始したのを見て、セイバーは改めてアーチャーへと向き直る。 アーチャーは悠然と構えている。胸の傷は既にほぼ癒えており、吸血鬼の再生能力の高さを物語っていた。 「クー・フーリンの次はアーサー王か。つくづく私は母国の英雄と縁があるものだな」 「ランサー、あの誇り高い戦士を葬ったのは貴様だったな、アーチャー。敵討などと言うつもりはないが、覚悟してもらおう。貴様の首は私が穫る」 「やれやれ、ランサーにも言ったのだがな。あいにく誰にもこの首はやれん。 首を落とされたくらいで死ぬ事はないが……このボディは永遠に、我が未来であり続けるものだからな」 「戯言を……!」 「そこのランサーは私の世界に押し入り、あのザマだ。私は無粋な訪問者を許さない……さあ、貴様もだセイバー。我が“世界”の前に屈するがいい!」 ランサーの時間停止破りは失敗に終わった。 だからなのか、アーチャーは自分の宝具の絶対性を微塵も疑っていない。 ならばその傲慢を打ち砕くのが、セイバーのやるべき事だ。 「“世界”! 時よ……」 「遅いッ!」 アーチャーが時を止める直前、残像すら残す勢いで踏み込んだセイバーの斬撃が奔る。 寸前でスタンドの防御が間に合ったものの、アーチャーの前髪が数本裁ち落とされた。 「時間を止める暇など与えるものか!」 余裕を見せて近距離まで接近したのは間違いなくアーチャーの失策だ。 連続して畳み掛ける事で時間を停止させるタイミングを与えない。身体能力でアーチャーを大きく上回るセイバーだからこそできる芸当だ。 縦横無尽に振り回される聖剣の軌跡に、リーチで劣るスタンドの拳はやがて追いつけなくなっていく。 「ぬうう……調子に乗るなよ、セイバー!」 追い詰められたアーチャーが、スタンドは防御させたまま自身の顔に魔力を集中させる。 「喰らえいッ!」 “空裂眼刺驚”――吸血鬼だった時代、宿敵であるジョナサンをも葬った吸血鬼ディオ・ブランドー最後の切り札。 眼球内の体液をそのまま射出、視線がそのまま死線となる吸血鬼ならではの技。 しかしセイバーは、軽く首を傾けてこれを躱す。 元よりわざと隙を作って撃たせたのだから、余裕を持って回避できた。 返す刀で“世界”の片腕を肘から斬り上げる。 高く宙を舞い、遠くに落ちる音がする。 「GUAAAAAAAAAAAッ! き、貴様……この俺の腕を!」 「幕引きだ、アーチャー!」 時間を止めさせずに倒せるのなら、それが一番いい。 だが―― 「……ッ!」 アーチャーを両断しようと振り上げた剣は、横合いから飛んできた光弾を弾くために動く。 ディケイドが押し負けそうなアーチャーを見かねて援護してきたのだ。 「今だ、アーチャー! 時を止めろ!」 その一瞬の隙だけで十分だった。 アーチャーが魔力を練り上げ、片腕のない“世界”へと注ぎ込んでいく―― 「……ここだッ!」 セイバーもまた、令呪によって増幅された膨大な魔力を余すところなく聖剣の鞘へと流し込む。 魔力量ではセイバーに軍配が上がる。始動が遅れても十分に取り戻せる! 発動はほぼ同時――否、セイバーの方が僅かに、早い。 「“全て遠き理想郷”!」 「“世界”! 時よ止まれ!」 空白の時間―― “世界”は発動し、時は止まった。 「は……ははは、どうだセイバー。ランサーと同じだ、所詮お前は我が世界では……!?」 いつも通りの世界。 勝ち誇ろうとしたアーチャーだが、ゆっくりと剣を構えたセイバーを見てその笑みは凍りつく。 「アーチャー、貴様に私の時間は止められない!」 全てが静止した世界――アーチャーだけが動く事を許される世界。 しかし今、セイバーはその世界に入門を果たした――否、“自身の世界を保ったまま押し入ってきた”のだ。 これが“全て遠き理想郷”、妖精郷に自身を置きあらゆる干渉を遮断する、この世界最強の護り。 同じEXランクの神秘であるゆえ、“世界”の時間停止さえも受け付けない、セイバーの切り札。 「馬鹿な……何の制約もなく、我が世界の中を動けるだと……!?」 アーチャー、DIOを葬った空条承太郎でさえ、時間を止められるのは数秒というところだ。 しかしセイバーはアヴァロンを展開する事で一切の干渉を撥ね退ける。 誰も傷つけられない最強の防壁――その中にセイバーはいる。 そしてその効果時間は“世界”が時を止めていられる時間よりも長い。 やがて限界を迎え、“世界”が止めた時が動き出す。 「獲ったぞ、アーチャー!」 一度時を止めれば次に止められるまで数秒の呼吸が必要となる。 しかしセイバーはその隙を与えるつもりはない。 いくら斬っても再生し、首を落としても死なないのならば、全身を消し飛ばせばいい。 セイバーの誇るもうひとつの宝具――星に鍛えられた神造兵装、騎士達の王のみが振るう事を許される、最強の幻想。 もはや躊躇う理由はない。 アーチャーの背後には友はおらず、一度時間停止を破った今、隙を突かれる心配もない。 ディケイドはオーズが抑えてくれている。 “全て遠き理想郷”の開放を収め、全ての魔力を手の中の聖剣に叩き込む。 「“約束された――”」 過去現在未来を通じ、戦場に散っていく全ての兵達が最期に抱く、“栄光”という名の祈りの結晶。 魔力を光と変えて、前に立つあらゆる全てを薙ぎ払う極光の剣。 「“勝利の――”」 三度、時は止まる。 振り上げた聖剣に束ねられた光もそのままに、セイバーの時間は完全に停止していた。 アーチャーがゆっくりと立ち上がり、怒りに満ちた視線を巡らせる。 その先にいるのは――仮面ライダーディケイド。 「何とか、間に合ったようだな」 “約束された勝利の剣”が放たれるより一瞬早く――ディケイドが、アタックライド・タイムを発動させた。 「セイバーさん!?」 「聞こえてないぜ、オーズ。あいつの時間は完全に止まったからな」 仮面ライダーブレイドが持つ、アンデッドの力のひとつ――タイムスカラベ。 任意の範囲の時間を停止させる、ディケイドがここまで切り札の中の切り札として隠し続けてきたジョーカーだ。 「ふん、話には聞いていたが……忌々しいな、私と同じ時間を操る能力とは」 「お前のほど便利じゃないんだがな」 これが、東の陣営が西の陣営を撃破するために練り上げた必殺の策。 時間停止をあえて破らせ、その後再度時間停止を仕掛ける二段構えの作戦。 ランサーには耐性を作ってしまうため通じないが、宝具の恩恵で時間停止を回避するセイバーには必ず効くと確信してディケイド達はこの戦場を作り上げた。 アーチャーが時間停止を使ったのは、あえて一度破らせるため。 時間停止を破ったその時こそ、もう一つの時間停止を仕掛ける好機。 セイバーは予想通り、アーチャーを完全に葬るべく“全て遠き理想郷”を解除して“約束された勝利の剣”を使おうとした。 どれだけの魔力供給があろうと、これほどの宝具を同時に行使する事は不可能だ。 その隙を狙ったディケイドの作戦は、これ以上もなくうまく炸裂した。 「ディケイドォッ!」 無論、オーズと戦いながらスカラベタイムを発動させたディケイドもまた無傷ではない。 タジャドルコンボの火炎をまともに喰らい、その左腕は焼け焦げている。 だがこの負傷と引き換えにしただけの成果はあった。 「アーチャー、もういいか?」 「構わん、動かすがいい」 ディケイドからブレイドブレードを受け取り、アーチャーがセイバーの背後に回る。 アーチャーの時間停止と違い、スカラベタイムによって停止した対象には触れる事はできない。 完全に時が止まっているため、変質を齎すあらゆる行動はその対象には届かないのだ。 ディケイドが今までスカラベタイムを使わなかった理由もここにある。 時を止めても攻撃できないのでは意味がない。ただ単にこちらが消費するだけだからだ。 しかし、ディケイドに味方がいるなら話は別だ。 時を止められ無防備になったところを、万全の状態の味方が狙い撃つ―― 「させない……!」 「無駄だライダー、無駄無駄……」 オーズがアーチャーを止めようと迫る。 だが、一歩遅い――ディケイドが止めた時が動き出す。 「――“剣”ッ!」 「“世界”ッ! 時よ止まれッ!」 そして、時が動き出した瞬間――ディケイドがスカラベタイムを解除した瞬間――アーチャーが四度、時間を止めた。 既に十分なインターバルは得た。“世界”の発動条件は満たされている。 そして今度こそ、アーチャーの他に動く者はいない。 一瞬だけ発動したセイバーの“約束された勝利の剣”は、もはや誰もいない場所へと向けられている。 「哀れなものだな、セイバー。しかし容赦はせん。このDIOの腕を奪った罪……その生命で贖うがいいッ!」 アーチャーは“世界に”構えさせたブレイドブレードを、セイバーの背後から心臓へ向けて全力で突き刺した。 刀身が鎧を砕き、セイバーの肉体へ侵入してもまだ終わらない。 「無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄無駄ァッ――――――――!!」 残った片腕で柄頭をひたすらに殴りつけ、剣を埋めていく―― 時を止めていられる限界まで剣を殴り続け、ブレイドブレードは完全にセイバーの胴体を貫いた。 そして時は動き出す―― ◆ ――ルルーシュ達に、誤算があったとするならば。 彼らが月海原学園で調べ上げたディケイドの能力は、“ディケイド単体の能力”だったということになる。 もちろん、門矢士――仮面ライダーディケイドが他の仮面ライダーの力を我がものとして使えるということはわかっていた。 カブトのクロックアップやファイズのアクセルフォームなどの超加速、フォームライドによる召喚・変形など。 だがそれらはあくまでルルーシュ達が実際に交戦し、見て取った情報から得た物にほかならない。 泉こなたは何故か例外的にそれらの知識を保有していたが、それも自在に引き出せるものではなかった。 ギルガメッシュ、という英霊がいる。 古代ウルクの王、万夫不当の英雄王。 彼が所有する財宝の蔵には、やがて世界中に散逸し英雄達の無二の宝具となる武具・道具の数々が収められてきた。 その“宝具になる以前の武具”を自在に取り出し、あるいは弾丸として発射するのがギルガメッシュの闘法である。 だが――彼がいかに無数の宝具を所有していようとも、ギルガメッシュは決してそれら宝具の“担い手”ではない。 故に、喩えクー・フーリンの“刺し穿つ死棘の槍”やアルトリアの“勝利すべき黄金の剣”の元となる武器が蔵にあっても、ギルガメッシュはそれらをただの武器以上には活用できない。 その原典たる武器を宝具として昇華したのは、それらを用いて己が時代を生き抜いた英雄のみ。 だからこそ、ギルガメッシュの宝具は“王の財宝”というそれらを総称した呼び名で示される物であり、一つ一つの武具の名前ではない。 同じ事が、門矢士――仮面ライダーディケイドにも言える。 仮面ライダーディケイドとは、“ディケイド”という一人のライダーが九人の異なる仮面ライダーと絆を結び、あるいは破壊して力を取り込んだ存在。 自身に加え九人の仮面ライダーの力を自在に操る規格外のライダーである。 だが、宝具の原典を所有すれど担い手ではないギルガメッシュと同じく、ディケイドもまたその九人の仮面ライダーと同質の存在ではない。 あくまで力を借りている、あるいは奪っているだけ。クロックアップやアクセルフォームなどは“ディケイド固有の能力ではない”。 だからこそ、ディケイドが未だ伏せている“九人の仮面ライダーの力”に関して、ルルーシュ達は知り得る事ができなかった。 それを知りたいのならば、改めてそのライダー達の真名を調べ、図書館にアクセスする――“ディケイドとは別個のサーヴァントとして他のライダーを調べる”、この方法しかなかったのだ。 ただし、それが可能かというとまた話は違う。 かつて火野映司、仮面ライダーオーズはディケイドや他のライダーと協力して戦った事がある。 クウガ、アギトなどのディケイドの力の源となるライダー達も当然知っているが、彼らと出会ったのは戦場での事。 戦士としてのライダーの名前は聞いていても、彼らの本名や素性を詳しく知っている訳ではない。 同じ事はこなたにも言えた。こなたの知識の範疇に、確かに彼らは存在している。 しかし思い出せたのは実際にディケイドが見せたファイズやキバの姿や名称と、おおまかな能力のみ。そのライダー達の真名まで引き出せた訳ではないのだ。 クウガやアギトは複数の形態に変身する、龍騎やブレイドはカードを使って能力を発揮する、など、本質を捉えてはいても全てではない。 こなたが彼らの能力を知ったある方法で、彼らが能力を全て曝け出していないのならば――こなたが知る道理も、思い出せる道理もない。 もしルルーシュ達がディケイドの持つ力、九人の仮面ライダーの力を隅々まで知っていたならば、決してディケイド達を迎撃しようなどとは考えなかっただろう。 何故なら敵にはアーチャー――時間を止める脅威のスタンド使いがいる。 ただでさえ彼に対抗できると断言できるのは“全て遠き理想郷”のあるセイバーだけなのに、さらにディケイドまで時間を止められるのならば、勝算は限りなく低くなる。 アーチャーの正体がDIO、吸血鬼という事はわかっているのだから日の出まで逃げ回ればいい。それだけでDIOは無力化できるのだから。 時間を止められるのがディケイド一人だけなら対処は容易だ。セイバーが適切な機に宝具を開放するだけでいい。 そうしなかったのは偏に、彼らが敵の能力の見積もりを誤ったからだ。 結果―― 「がっ……!」 “全て遠き理想郷”、そして“約束された勝利の剣”。 二つの超宝具を連続して放つという、並の英霊では消し飛ぶ以外道はない荒業を披露しようとしたセイバーは、背後から真っ直ぐに心臓を貫かれていた。 アーチャーを確実に葬るために、持てる全ての力を“約束された勝利の剣”に注ぎ込んでいたのだ。 時間を止められ、背後から心臓を狙われてはいかに力を増したセイバーといえども防げるはずもなかった。 「せ……セイバーさん!」 心臓を貫かれれば、再生を強化する宝具やスキルでも持っていない限りはどんなサーヴァントでも即死するだろう。 セイバーがまだ死なずにいたのは、偏に強靭な生命力を有する竜の因子を保有していたからに他ならない。 「まだ息があるとはな。アーチャー、とどめを刺せ……」 そういうディケイドの息も荒い。 オーズから負わされたダメージに加え、時間停止という強力な手札を切った代償だ。 特にそういった逸話を持たないディケイドが時間を止めるには、カードの力を借りたとしてもかなりの消耗を強いられる。 そしてアーチャーがセイバーを葬るためにブレイドブレードを酷使した結果、ブレイドもまた砕かれていた。 消耗の度合いで言えばセイバーの次に大きい。 「わかっている。だが……」 「させるか!」 そうはさせじとオーズがディケイド、アーチャーへと向かっていく。 誰もが消耗しているため、すぐには決着がつかない。 そんな中、死に瀕したセイバーは、ただ己のマスターに想った。 (シロウ……どうか、私に……) ただ一つの願いを、成し遂げさせて欲しい。 ◆ 四人目のアサシン、D4Cを持つ本体は、遠坂邸を監視していた五人目の大統領と合流した。 持っていた対ランサー用の弾丸を渡し、六人目の援護に向かわせた。 弾丸は一発で十分な効果を持つはずが、念を入れるに越した事はない。 屋敷の間で待つこと、しばし。 「……結界が解除された。キャスターがやったか」 ならばとアサシンは地下室に侵入していく。 キャスターの監視も、結界を破壊した直後の今なら恐れることはない。 堂々と地下室に入室したアサシンは、五人のマスター、そして一人のサーヴァントと対面を果たした。 「てめえ……アサシン!」 「数時間ぶりだな、キャスターのマスター。しかし残念だが話している暇はない……」 アサシンは今しがた入ってきたばかりのドアを閉め、また開く。その行為が意味するものは―― アサシンの宝具、“D4C”。平行世界にいる自分、もしくは他人をこの世界に連れてくる能力。 違う世界の同じ人物を接触させれば、存在の矛盾によりその人物の殺害も可能だ。 しかしこの聖杯戦争において、この戦術は今まで行使できていない。 その理由はひとえに、“サーヴァントを連れてくることが不可能”だからだ。 仮に違う世界のセイバーやランサーと接触したとして、貧弱なアサシンの能力ではこちらの世界に引きずり込む事は難しい。 その場で殺されるのが落ちだ。そうなれば、敗退しなかったとしても魔力の浪費でしか無い。 マスターならば強引に拉致してくる事も可能だが、それならそれでそのマスターの詳しい情報を知らねばならない。 ディエゴ・ブランドーのように、アサシンが素性や性格を詳しく理解している人間であれば存在する世界の座標が特定できる。 だがサーヴァントと違い、マスターの情報を知る事は中々に難しい。そのため、この聖杯戦争ではD4Cの真の力は発揮できないでいた。 だが、この場にはただ一人、アサシンが素性や性格、能力を詳細に把握できる人間がいた。 それは誰あろう、ガウェインのマスターであるルルーシュ・ヴィ・ブリタニアである。 親友、枢木スザクはルルーシュにまつわるほぼ全ての情報を保有している。 年齢、体格、出身、嗜好、そしてギアスという能力。 それだけの情報があれば、D4Cでルルーシュがいる世界を特定し連れて来ることは令呪を使わずとも容易だった。 今、その成果が曝き出される。 アサシンがドアに挟んだ手から引っ張りだしたもの――それは紛れもなくルルーシュ・ヴィ・ブリタニア。 ただしそれは、別世界のルルーシュであると誰もが認識している。 アサシンに乱暴に突き飛ばされた別世界のルルーシュは、冷たい床に投げ出されて目を白黒させる。 「痛っ! なんだ、一体何が……」 平然としているのはその行為を行ったアサシンただ一人。 アサシンの能力は既に開示されている。つまり別世界のルルーシュ以外の全員が、彼がこの場に存在することの意味を知っている。 “ひとつの世界に同じ人物は存在できない”。 花村、名無、士郎、こなた、そしてキャスターが一斉に振り返る。 視線の先にいるのは――もうひとりの自分に向かって拳銃を構えたルルーシュ。 「ルルーシュ!?」 「自分を撃つ事になるとはな……!」 連続する銃撃音。 ルルーシュは躊躇いなくもうひとりの自分に向かって銃を乱射した。 「が……は……!?」 別世界のルルーシュも、基本的には生身の人間だ。 魔術師でもペルソナ使いでも13騎士の使い手でもない彼は、ただの銃弾であっさりと死に至る。 かつてゼロレクイエムの仕上げとして自分を枢木スザク扮するゼロに討たせたルルーシュではあったが、今度は自分で自分を殺す事になってしまった。 崩れ落ちたもう一人のルルーシュが果たして何を考え、何を願っていたのか。知る術はもうない。 それほどまでに一瞬の――誰も何も口を挟む暇もない、一瞬の自殺劇。 (だが、俺がやらねばならなかった事だ……) 喩え別世界の、今の自分とは異なる自分といえど、優しい仲間達はきっとそのルルーシュを殺せない。 ならば幕を引くのは他でもない、この世界の自分だけだとルルーシュは判断し、撃った。 考えてみればこの聖杯戦争が始まって、ガウェインに令呪で命じた事を除けば人に手を下したのは初めてだ。 それも相手は別世界の自分。誰かが誂えたような皮肉な展開だ。 「ほう、まさか自分で自分を始末するとはな。この状況を予測していたか? ……だが、残念だな。我が“D4C”の能力は、“殺したくらいでは収まらんぞ”」 しかし、必殺の策をあっさりと破られた側であるアサシンは寸毫も動じていない。 別世界のルルーシュを呼び込んだ目的は、彼らを動揺させるためというのが一つ。 もう一つは―― 「ぐ……ぐあぁぁぁあああああっ!」 絶叫が地下室に谺する。 ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアを構成する人体の各所から、手のひら大の四角い肉片が続々とせり出されていく。 “細切れのスポンジのように崩れていって”いるのだ。 「違う世界のルルーシュが死んでも、アサシンの能力は解除できないのか!?」 「ルルーシュっ! まだだ、スサノオ……ディアラマ!」 陽介が、進化したペルソナでであるスサノオを召喚し、回復魔法をルルーシュへとかける。 押し出されてきた肉塊が再び体内へと押し込まれていき――すぐにまた、ぐいぐいと引きずり出されてくる。 「がああああ……!」 「回復しない? なんでだよ!」 「肉体が崩壊するスピードの方が早いんだ! これではいくら回復魔法を掛けても……!」 「“同じ世界”に“同じ二人”が存在する事はどんな者だろうと出来ない……この私のスタンド能力以外はな」 陽介に続き、キャスターもルルーシュへと回復魔法を連続して掛ける。 だが、一時的に肉体の損傷が回復してもすぐに何処か別の部位が崩れていく。 その度にルルーシュは激痛で絶叫し、のたうち回る。噴き出る鮮血にこなたが思わず顔を覆った。 別世界のルルーシュの“死体”をアサシンが拾い上げ、スタンドの手刀でその首を切断――尊い物を得たかのように頭上へと掲げる。 「ガウェインのマスター、お前に敬服を示そう。この状況で瞬時に自分を撃てるお前には、確かに“覚悟”があった。 撃っていいのは撃たれる覚悟がある者だけだ。だが、“射殺する”のでは足りなかった。 知っているのだろう? 我が“D4C”の能力を解除する、たったひとつの方法を」 「別世界の人間を、殺すのではなく“元の世界に送り返す”……!」 アサシンの言葉を士郎が引き継ぐ。 殺すのではなく、この世界から追い出す。それこそが確実な死を齎すパラドックスから逃れるたった一つの方法だ。 「さあ、どうする。前線で戦っているサーヴァント共を呼び戻すか? それともキャスター、お前が私と戦うか? どちらでも構わんぞ。だが……今サーヴァントを呼び戻せば、我らの勝利が確定するだけだがな」 告げるアサシンの言葉に、ルルーシュの回復にかかりきりのキャスターと陽介以外のマスター達がそれぞれのサーヴァントの状態を確認する。 陽介が時間停止に対抗する令呪を行使した瞬間にアサシンが突入してきたため、確認している暇がなかったのだ。 こなたのサーヴァント、オーズから前線の状況が詳しく伝えられる。 アサシンの攻撃によりアレックスのARMSが暴走し、ほぼ無力化された。 アレックスを護るためセイバーが駆け付け、同じくディケイドとオーズも集結した。 ガウェインは離れた所でバーサーカーを引き付けているため、現地にはアレックス、セイバー、オーズ、ディケイド、アーチャーが入り乱れている事になる。 「キャスター、転移でランサーをこっちに戻せないのか!?」 「駄目だ! あんな魔力と熱量を放射している状態でここに転移させれば、お前達が耐えられない!」 「じゃあどうすれば……!」 ディケイドとアーチャーは動けないアレックスを狙って攻撃を仕掛けているため、セイバーとオーズは彼らへの攻撃よりもアレックスの護衛を優先せざるを得ない。 この状況でアサシン迎撃のためにどれかのサーヴァントを呼び戻せば、残った者が蹂躙されるだけだ。 「……リインちゃん、さっきのユニゾン……確か俺以外のマスター相手でも出来るって言ったよな?」 その時、静かに名無がキャスターに向けて問いかけた。 彼の手には槍がある。13騎士のひとつ、槍王イルバーン――宝具にすら匹敵する、名無鉄之介の“力”が。 「あ、ああ……可能だが」 「じゃあ、リインちゃん! ほんとはさせたくないしむしろ俺がやりたいんだけどそうも言ってられないし悔しいけど涙を呑んで命令するぜ……“ルルーシュとユニゾンしろ”! 身体が内側から崩れていくって言うなら、融合したリインちゃんなら内側から崩壊を押し留められるはずだ!」 叫び、名無自身は槍王イルバーンを振りかざしてアサシンへと向かっていく。 キャスターにルルーシュとユニゾンさせるという事は、キャスターの援護なしでアサシンに立ち向かうという事だ。 だがルルーシュを救うには、アサシンが持つルルーシュの首を何とかして別世界に送り返さねばならない――ルルーシュが死亡する前に。 名無は躊躇いなくその死線へと飛び込んでいく。そうしなければルルーシュは助からないのならば。 大切な友を救うために身体を張る、それが名無鉄之介という男。 「うおおおおイケメンなんて死ねって思ってたけど実際死なれると寝覚め悪いだろコンチクショーがああああ!」 槍王イルバーンによる一撃は、サーヴァントすら傷つけ得る。 さすがにまともに受けてはいられないと、アサシンが後退する。 「……キャスター、名無は俺が援護する! ルルーシュを助けてやってくれ!」 士郎が双剣を投影し、名無の後を追う。 だが如何に戦闘に向いた魔術師と槍王を持つ者といえど、サーヴァントと直接戦闘するのは危険すぎる。 「俺からも頼む! ルルーシュが回復すれば、俺も手が離せる……アレックスを令呪で援護できる! だから、キャスターッ!」 この場は一刻も早くルルーシュを救い、状況を好転させねばならない。 ルルーシュが回復すれば陽介が令呪でアレックスを暴走状態から復帰させ、前線の状況を五分に戻す事ができる。 あるいはそのまま彼らを帰還させ、この場から転移で撤退する事も可能だ。 「ルルーシュの意識が混濁している今、私が主導するしかない……やれるか?」 這いつくばるルルーシュの手を取り、キャスターが真名開放の呪言を唱えていく。 本来は装着する本体側からのアクセスが必要だが、正当な夜天の書の主以外とのユニゾンを想定して術式を改良したため不可能ではない。 「我が名は祝福の風、リインフォース――セットアップ!」 瞬間、キャスターを構成する魔力が解けて渦となり、ルルーシュを包み込む。 渦巻く魔力光がルルーシュの身体に吸い込まれ、物質化し、外敵を払う鎧――騎士甲冑となる。 かつてのゼロを彷彿とさせる漆黒の衣。 夜に溶け込む黒いマントが棚引き、魔術師然とした印象を与える。 しかしゼロとの違いは明白だ。その顔を飾るものは偽りの仮面ではなく、白銀に輝く髪。 「こ……これは……?」 「意識を保て、ルルーシュ! これよりお前の肉体の修復を始める!」 何とか意識を取り戻したルルーシュへ、融合したリインフォースが治療を開始する。 先ほどまでとは段違いのスピードでルルーシュの肉体が再構成されていく。 これでひとまずルルーシュは安心だと、陽介は自身のペルソナを一旦解除し、令呪を解放してアレックスへと願いをかけた。 「令呪に命じる、アレックス……負けるな! 頑張れ!」 ◆ ――令呪に命じる、アレックス……負けるな! 頑張れ! 遠く離れていても、令呪は効果を発揮する。 具体的な命令ではない、ただの願い。 それでもその願いは、確かにアレックスへと届いた。 全ての可能性は願う事よりまず生まれる。 そして、その純粋な願いこそ――ARMSを動かす原動力。 「……う、む……?」 全身を苛んでいた痛みが嘘のように引いていく。 ナノマシンがアレックスの制御下に戻る。 令呪を用いた花村の願いによって強化された“帽子屋”が、ウイルスを克服したのだ。 「マスター、世話を掛けたな……俺がこのザマでは、申し訳が立たん……!」 ARMSの暴走によるメルトダウンは回避された。だが―― 「くそ……身体が動かん」 今のアレックスは体内の魔力を全て放出しきってしまっていた。 高まり続ける“帽子屋”の熱量、それを抑えるために必死に魔力を体表の冷却に回し、結果、魔力が枯渇してしまっていたのだ。 これではしばらくは魔力消費の大きい荷電粒子砲はおろか、完全体への変態も不可能だ。 令呪も既に二度行使してしまい、回復は望めそうにない。 アレックスはただ、目前で行われる戦闘を見守るしかなかった。 やがて――アレックスはセイバーが討たれた瞬間を目の当たりにする。 ディケイドとアーチャー、二人の強敵を前に――騎士王は崩れ落ちた。 「……そんな……」 しかし、そこで戦いは終わらなかった。 アレックスは確かに見た。 心臓を貫かれ、崩折れていたセイバーが――聖剣を支えにしっかりと立ち上がり、走り出していく姿を。 ◆ 士郎が投擲した双剣は“D4C”が叩き落としたが、同時に名無もイルバーンを振り下ろしていた。 さすがにこれは片手では防げないと、アサシンが別世界のルルーシュの頭部を放り出して防御の体勢を取る。 放り出された頭部は士郎が受け止める。 しかし、そのためにイルバーンを受け止めたアサシンの横を、ひとつの影が通りすぎたのに気付かなかった。 影は、アサシンの影に隠れ奇襲の機会を伺っていた枢木スザク。 「てめっ……!」 イルバーンで迎撃しようにも、がっちりとアサシンの“D4C”に掴まれていて動かない。 瞬時に回転したて遠心力を載せたスザクの脚が閃き、名無の腹に深く打ち込まれる。 「げっ……!」 「マスター!?」 動きの止まった名無を、さらにアサシンのスタンドが殴打。完全に意識を奪い去った。 「よし、退くぞ枢木」 「わかってる」 「ま……待て、スザク!」 意識のない名無を担ぎ上げ、スザクが地下室を出ていこうとする。 まだキャスターはルルーシュの治療から離れられない。 「ルルーシュ……追ってくるといい。僕らのサーヴァントと一緒に、決着を着けよう」 そう言い残し、スザクとアサシンは姿を消した。 陽介がはっと我に返り、 「……そうだ、まずはルルーシュだ! 衛宮、ルルーシュの頭部を……?」 士郎に促す。 が、士郎は呆然と、別世界のルルーシュの頭部を抱えたまま、自らの手を見詰めていた。 「悪い、花村……お前がやってくれないか」 その手は既に黒く染まり始めている。 サーヴァントを失ったマスターに執行される、ムーンセルのデータ消去だ。 「ま……まさかセイバーが……?」 「そうらしい……今、念話で頼まれたんだ。最後の令呪を、使ってくれって……」 心臓を破壊されては、如何に“全て遠き理想郷”があっても十分な魔力を供給できず使用できない。 今から士郎が“全て遠き理想郷”を投影して、戦場に届けるのも――もう間に合わない。 セイバーの命はあと数秒、あるかどうかだ。 「悪い、陽介、泉。名無とルルーシュの事、頼んだ」 「おい、待て衛宮!」 陽介が必死に制止してくる。 当然だ、目の前で友人が死にかけているのだから。 申し訳ないとは思う――しかし、それ以上に、セイバーの最期の願いを果たしてやりたいという想いの方が強かった。 (じいさん……悪いな。俺、最期までじいさんと、わかりあえなかったよ……) 衛宮切嗣、そしてディケイド。 彼らを止めるのは自分達の役目だと、セイバーは願った。 ならば―― 「令呪を以って命じる。セイバー――立ち上がり、ディケイドを討て」 この命令だけは、士郎が下さねばならないものだ。 ◆ 「……何?」 間の抜けた声は、ディケイドが漏らしたものだった。 オーズの猛攻を何とか凌ぎ、アーチャーとともに反撃に転じようとした所――ディケイドの身体は、背後から聖剣によって貫かれていた。 何とか後ろへ首を回すと、そこには全身のデータを黒く消去されながらも聖剣を構え、身体ごとディケイドに体当りしてきたセイバーの姿があった。 「きさ……ま……!」 「シロウ……ありがとう」 反撃の必要もない。少し身じろぎしただけで、令呪で強引に動いたセイバーの身体は魔力となって霧散した。 ディケイドは倒れ伏す。霊核を貫かれている――致命傷だ。 再生能力を持たないディケイドは、セイバーと同じくもう助かる術はない。 「ディケイド……?」 「ほう、これは意外な展開だ。まさかライダー、お前もここで脱落とはな」 呆然とするオーズと対照的に、アーチャーは愉快そうに笑っている。 あれほどに強力で底知れない力を持つサーヴァントが、一瞬の油断でこうもあっさりと死に瀕している。 目の前で起こったことが信じられないのは、ディケイドも同様だ。 セイバーを討ったと思ったら、そのセイバーの最期のあがきで致命傷を負わされた。 「くそ……こんな……俺が……こんな事で……!」 「苦しかろう、ライダー。では私がとどめを刺してやろう」 組んでいても、決して信頼できる味方ではない。 ディケイドが弱ったと見るや、好機と見たアーチャーはすぐさま牙を剥こうとした。 「時を支配する存在はただ一人でいい……この私だけでな! “世界”……む、何だ!?」 しかし――アーチャーの拳がディケイドへ振り下ろされる事はなかった。 アーチャーの姿は一瞬で消え去ったからだ。 「消えた……なんで?」 残されたのは、オーズと消え行くディケイドのみ。 灼熱の戦場は、一転して静寂に包まれた。 「……ディケイド」 「くっ……これが俺の旅の、終わりかよ……」 「ディケイド、君は何を求めて戦っていたんだ?」 オーズ――火野映司はディケイドとは一度話してみたいと思っていた。 その願いが叶うのがこんな状況だとは思いもしなかったが。 しかし、どうしても知りたかった。ディケイドを突き動かしていたものが何だったのか。 「……さあな。忘れちまったよ……俺は世界を破壊して旅をする、そんな存在なんだからな……」 「旅……?」 「とどめを刺せよ、オーズ……これ以上、お前にこんな姿を見られるのは屈辱だ。俺を破壊して……さっさと前に進めよ」 ぶっきらぼうに言うディケイドを、オーズはしばし眺めていた。 それ以上の会話を拒否する姿は、痛ましいものだ。 (旅……か。君も、何かを探して流離い続ける……なんだ、やっぱり) 似ているじゃないか。自分と、彼は。 ただ単に“仮面ライダー”というだけじゃない。 求め、願い、欲望を叶えるために旅を続ける、そんな存在―― 「ディケイド」 オーズはディケイドの側にしゃがみ込み、消えかけている手を取った。 「いつか……いつかまた、どこかで。旅の途中で出会う事があったなら」 力ないディケイドの手を、オーズは力強く掴む。 今回は届かなかったかもしれない。 でもいつか――この手が、彼に届く事を信じたい。 「その時は、一緒に戦おう」 何度だって、手を伸ばす。 オーズ――火野映司はかつて、ライダーは助け合いだと言った。 その想いは今も変わる事はない。 たとえ敵として出会い、幾度もぶつかり合ったとしても。 同じ仮面ライダーならば、いつか必ず、肩を並べて戦えるはずだ。 「オーズ、お前……」 ディケイド、門矢士はその言葉に目を瞬かせる。不意に懐かしさを感じた。 かつて共にいた、仲間と呼んだ者達を思い出させられ――ディケイドは小さく笑った。 「これだから、仮面ライダーってやつは……馬鹿ばっかりだ、まったく」 「かもね。でも、君もそうだろう?」 「……ああ、そうだな」 薄れ、消えてゆく自分の手を見つめたディケイドは、もう片方の手でおもむろにカードを引き抜いた。 しかしオーズは動かない。攻撃のためにカードを抜いたのではないと直感的に悟ったからだ。 果たして、ディケイドが指先をくるりと回し見せたカードの絵柄は――誰あろうオーズ自身の姿が刻印されている。 「俺?」 「最後の最後で……こんなカタチで、お前の力を得るとはな。まあ、それも悪くない……」 仮面の奥で門矢士がどんな表情をしているのか、火野映司にはわからない。 だけどきっと、それは暖かいものだろうと―― 「ちょっと……くすぐったいぞ」 ディケイドが、オーズのカードをオーズ自身へと触れ合わせる。 瞬間、カードを通じてディケイドの力がオーズに流れ込んできた。 他のライダーの力を取り込み、融合し、時に高め合う。 “世界の破壊者”仮面ライダーディケイド、全てを破壊し全てを繋ぐ存在――その起源が、オーズの眠れる力を呼び覚ます。 「これは……!」 「はあ……俺もヤキが回ったな」 ディケイドへの変身が解け、門矢士の生身の肉体が露となった。 最後の力をオーズへと受け渡し、今度こそ“仮面ライダーディケイド”は消滅するのだ。 「あのアーチャーは強いぜ……せいぜい、気をつけるんだな。最後の……仮面、ライ……ダ……」 握った手を最期の瞬間まで離さず――門矢士は消えていった。 仇敵であるはずのオーズに何かを託して逝った。 オーズは、寸前までディケイドの手を握りしめていた掌をゆっくりと開く。 そこにあったのは、本来ありえるはずのない、オーズ最強にして究極のコンボを発動させるメダル――未来で開発された三枚のスーパーメダル。 他の仮面ライダーを最強フォームへと進化させるディケイドの能力が、オーズの欠けていた力を補ったのだ。 これこそが、門矢士が旅路の果てに得た力――破壊するのではなく、絆を繋ぐ事で新たな力とする。 「……受け取ったよ、ディケイド。俺はこの力で、俺の護りたいものを護る……必ず」 戦い、憎み合い、一度も共に戦う事のなかったディケイドという仮面ライダー。 それでも最後に絆は結べたのだと。火野映司はそう、信じる事にした。 手にしたメダルは、炎のように熱い――まるでかつての、相棒のメダルのように。 ◆ 「……っ、なんだ、一体何が……」 ディケイドとオーズにとどめを刺そうとしていたアーチャー――DIOは、瞬間的な転移で移動させられた。 彼が目にしたもの、それはマスターである鹿目まどかと自分によく似た顔の死体、そして――這いつくばっているのはキャスターのマスター、名無鉄之介だった。 「何だ……マドカ? 一体どういう事なんだこれは」 「DIOさん……」 顔を上げたまどかの瞳には、DIOに対する強い怒りが現れていた。 「約束、したのに……聖杯を壊すために一緒に戦ってくれるって約束したのに……私に嘘、ついてたんですね……?」 「何を言っているんだ、マドカ。そのマスターに何か吹きこまれたのか?」 「ふざけんな、まどかちゃん騙してたのはテメーの方だろ!」 そもそも何故このマスターがここにいる? こいつはアサシンが始末しに行ったはず―― 「……そうか、アサシンの仕業か。私を始末するためにマドカをおびき寄せ……こいつに引き合わせたと」 ただまどかを殺すだけでは、単独行動スキルを持つDIOを即死させるには至らない。 だからこそ、マスターであるまどか自身に行動の方針を転換させ、令呪で死を命じる――その辺りだろうか。 「マドカ、アサシンやそいつに何を言われたか知らないが、私は」 「この人達も聖杯を壊すために戦ってるって……そのために手を取り合ってるって、そう聞きました。 DIOさん、それを知ってて……知ってて、私を騙したんですね?」 まどかの語気は強い。同じ思いを抱いた者達と敵対した、しかもDIOに騙されて……という事が許せないようだ。 アサシンの思惑通りにまどかは誘導されたようだ。そのためにキャスターのマスターを攫ってきたのだとしたら大した策謀家である。 「……そうだ、だったらどうする? どの道私は彼らの仲間を殺害していたのだ。そんな私を従える君を、彼らが受け入れたと思うのか?」 「わかりません、わかりません……けど、こんな風に戦う事はなかったじゃないですか! 誰かが死ぬなんて事……」 「マドカ、ならばどうする。今からでもそいつに頭を下げて許しを請うのか? 私はついさっき、そいつの仲間を一人殺したぞ。それでも受け入れられると思うか? ……無理だ、マドカ。こうなってはもう、私達が勝ち残るしか道はないんだ」 「……いいえ、まだ選べる道はあります」 と、まどかは最後に残った令呪をDIOへと突きつける。 「ちょ、まどかちゃん? 何する気……ちょ、ちょっと落ち着いて!」 「名無さん、本当にごめんなさい……でも、私があなた達にできる償いはもう、これしかないって思うんです。 こんな事頼める立場じゃないのはわかってるけど、どうか……聖杯を壊してください。お願いします」 「待て、マドカ! 何をする気だ!?」 決意に満ちたまどかの瞳に、言い知れない恐怖を感じる。 あれは、覚悟を決めた眼だ――かつて何度も見た、ジョースターの血統もまたああいう目をしてDIOの前に立ち塞がったのだ。 「最後の令呪で、DIOさん……あなたを殺します」 「正気か、マドカ! 私が死ねばお前もまた死ぬのだぞ!?」 「わかってます。でもこれDIOさんが生きていたら、きっともっと悲しい事が起こる。 それは半分、私のせいでもあるんです。だから……!」 「ま、まどかちゃん! 待つんだ、それは駄目だ!」 「名無さん、ごめんなさい。こんな事で責任が取れるとは思わないけど……それでも私は……!」 DIOがまどかへと走り寄ろうとする。 度重なる戦闘を経て、まどかの側から完全に魔力供給を絶たれたこの状況で時間を止める事は出来なかった。 スザクとD4Cに攻撃された名無もまだ回復しておらず、まどかを止める力はなかった。 「お願い、私の令呪……DIOさんを」 殺して。 最後の、たった四文字の言葉は、紡がれる前に塗り潰された。 甲高く鳴り響いた、一発の銃声に。 「……マドカ?」 死を齎す令呪は発動しなかった。 命令が下される前に、まどかの頭は吹き飛ばされていたからだ。 振り向く。遥か彼方のビルの上、そこには一人の男がいた。 その男の名は衛宮切嗣。 まどかの頭を狙撃してふっ飛ばした、ライダーのマスター――衛宮切嗣! 「聞こえるな、アーチャー!」 いつの間にか舞い降りてきた、一羽の鴉がその男の声を中継する。魔術師の使い魔だ。 「お前のマスターは死んだ――僕と契約しろ! 急げ!」 見れば、切嗣の全身は黒く染まり、消去されかかっている。 アーチャーは一瞬まどかの亡骸を見やり―― 「ここにいればアサシンが迫ってくる。迷っている時間はないか……!」 名無にとどめを刺す暇もなく、アーチャーは跳躍した。 切嗣のもとに辿り着くなり、 「お前は今、はぐれサーヴァントだ。僕がライダーとの契約を破棄すれば、問題なく契約できる。そうだな?」 「……ええい、マドカを殺したことは後だ! ライダーが死んで貴様がムーンセルに消去される前に……急げ!」 まくし立てられる。 単独行動スキルの恩恵で数時間は現界していられるDIOと違い、切嗣はサーヴァントが死亡すればその瞬間に消去されるからだ。 DIOが転移した後、ディケイドはどうやらとどめを刺されずにいるらしいが、一刻の猶予もない事には変わりない。 切嗣は今回、前線はサーヴァント達に任せサポートに徹していた。 新たに放った使い魔で周囲の索敵をしていたため、アサシンがキャスターのマスターと幼い少女を出会わせる所も観測していたのだ。 そしてセイバーの不意打ちを受けた瞬間、切嗣はディケイドを切り捨てる事を決意した。 令呪がもう一画あればディケイドを回復させる事もできたが、一画ではそうもいかない。 死に際にオーズを道連れにさせる事もできず、八方塞がりと歯噛みした切嗣は、しかしまだここで終わる運命ではなかったらしい。 前線にいたアーチャーが突如転移し、先ほどの少女の前に現れたのだ。 頭で考えるよりも早く、本能が彼女をアーチャーのマスターだと断定し、切嗣は撃った。 そして――賭けに勝った。 切嗣はまだ生きていたらしいディケイドとの契約を一方的に破棄し、DIOとの再契約を果たした。 「……言いたいことは色々あるだろう。僕もそうだ。だが今は」 「わかっている。まずはあのキャスターのマスター、そしてアサシンを始末する。話はその後だ」 それ以上言葉を交わすこともなく、切嗣とDIOは再び跳躍していった。 無駄に時を浪費する場面ではない。今動けば後何体かのサーヴァントを狩る事ができ、聖杯に大きく近づける。 戦いはまだ、終わってはいない。 ◆ ガウェインとランスロットはいつ果てるともなく戦い続けている。 二人はまだ、共に王と仰いだ者の死を知らない。 アレックスは一人、己の無力を噛み締めている。 オーズはディケイドから託された力を手に、仲間の元へと急ぐ。 スザクは名無をアサシンに預けた後、ランスロットの元へと急ぐ。 ガウェインと戦っている以上、ルルーシュも必ずここに来るはずだと信じて。 キンブリーはスザクの行末を見届けるため、前線より離れた。 ルルーシュは頭部を陽介がドアに挟んで送り還した事により、何とか一命を取り留めた。 陽介とこなたは、目前で士郎が死んだ衝撃からまだ立ち直れていない。 大統領は、やや予定が狂ったが、名無にキャスターを呼ばせて再契約を果たしたアーチャーとぶつけさせるつもりでいた。 ジョンは一人離れた所にいるが、魔力の消費にのたうち回りながらもアサシン達を指揮し続けている。 名無はまどかの遺体を沈痛な面持ちで眺め、唇を引き結んでいる。 リインフォースは連れ去られたマスターを奪還すべく、サーチャーを飛ばして索敵を急いでいた。 切嗣は再契約の感慨など何もなく、切り捨てたディケイドの事もただの損害一として片付けていた。 DIOはある意味厄介なマスターを交代できたと、新たなマスターを値踏みしながら内心ではやや安堵していた。 脱落者は四名。 戦いはまだ、終わっていない。 この戦いは、聖杯戦争の趨勢を決める、聖杯大戦――その序章に過ぎないのだから。 【衛宮士郎@Fate/stay night 死亡】 【セイバー(アルトリア・ペンドラゴン)@Fate/stay night 死亡】 【ライダー(門矢司)@仮面ライダーディケイド 死亡】 【鹿目まどか@魔法少女まどか☆マギカ 死亡】 【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン 5人目)@ジョジョの奇妙な冒険 死亡】 【深山町・遠坂邸地下/黎明】 【ルルーシュ・ヴィ・ブリタニア@コードギアス反逆のルルーシュ】 [令呪]:1画 [状態]:疲労(極大) [装備]:携帯電話、ニューナンブ 【花村陽介@ペルソナ4】 [令呪]:1画 [状態]:健康、強い覚悟と決意 [装備]:スパナ@現実、“無毀なる湖光”@Fate/zero [道具]:ミネラルウォーター、カロリーメイト、医薬品一式、大学ノート、筆記用具、電池式充電器、電池、予備の服、食料@現実 契約者の鍵@ペルソナ4 ※携帯電話には名無鉄之介の名前が登録されています ※聖杯戦争のルールと仕組みを言峰神父から聞きました(意図的に隠された情報があるかもしれません)。 ※ジライヤがスサノオに転生しました。 【泉こなた@らき☆すた】 [令呪]:3画 [状態]:健康 [装備]:携帯電話 【キャスター(リインフォース)@魔法少女リリカルなのはA s】 [状態]:魔力消費(小)、ルルーシュとユニゾン状態 ※肉の芽の解除が可能です。ただし全力でやって誰にも邪魔されないのが条件です ※遠坂邸に工房を作成しました 。特別な防衛効果はありませんが土地の魔力をそのまま取り込めます ※深山町の各地にステルス性を高めたサーチャーを複数飛ばしています。主に遠坂邸、柳洞寺周辺、月海原学園、柳洞寺地下大空洞前を中心に索敵しています ※ガウェインから依頼された術式が完成しました ※転送魔術の術式を改造しました。5回までなら戦闘に支障を出さずに使用できます 【深山町/黎明】 【セイバー(ガウェイン)@Fate/extra】 [状態]:疲労(中)、魔力消費(小) ※リインフォースにある術式の改良を依頼しました 【バーサーカー(ランスロット)@Fate/zero】 [状態]:疲労(中)、賢者の石の魔力残量残り80% [装備]:エッケザックス、封印の剣@ファイアーエムブレム 覇者の剣 【ライダー(火野映司)@仮面ライダーOOO/オーズ】 [状態]:疲労(中)、魔力消費(中) [装備]:スーパータカメダル、スーパートラメダル、スーパーバッタメダル ※ディケイドのファイナルフォームライドにより、スーパータトバコンボ解放。 【ランサー(アレックス)@ARMS】 [状態]:疲労(極大)、魔力消費(極大)、ARMSの進化(進行度・中) ※対ARMSウイルスプログラムへの耐性を獲得。 ※時間停止への耐性を僅かに獲得。時が止まった事を認識できますが、まだ動く事はできません。 【キャスター(ゾルフ・J・キンブリー)@鋼の錬金術師】 [状態]:疲労(中)、魔力消費(大) [装備]:羽瀬川小鳩を練成した賢者の石 【名無鉄之介@私の救世主さま】 [令呪]:2画 [状態]:疲労(小) [装備]エロ本(体中に巻きつけてあります) [持ち物]:エロ本(大量)@現実・携帯電話@現実(携帯電話には花村陽介の名前が登録されています) 予備の服@現実・鳴上悠のクレジットカード ※聖杯戦争のルールと仕組みを言峰神父から聞きました (意図的に隠された情報があるかもしれません) ※鹿目まどかの遺体、鋼鉄の腕、鋼鉄の腕の予備弾@鋼鉄の腕@エンバーミング が目前に散乱しています 【衛宮切嗣@Fate/zero】 [令呪]:1画 [状態]:固有時制御の反動ダメージ(中)、魔力消費(大) [装備]:ワルサー、キャレコ 、狙撃銃 携帯電話、鉈、大きな鏡、その他多数(ホームセンターで購入できるもの) ※アーチャー(DIO)と契約しました。 【アーチャー(DIO)@ジョジョの奇妙な冒険】 [状態]:疲労(大)、魔力消費(大)、片腕切断 [装備]:携帯電話 ※衛宮切嗣と契約しました。ステータスが以下のように変化します。 筋力A 耐久C 敏捷C 魔力C 幸運A 宝具A → 筋力A 耐久B 敏捷B 魔力B 幸運D 宝具A+ 【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン)@ジョジョの奇妙な冒険】 [状態](4人目)・魔力消費(大) [装備]:拳銃 [道具]:携帯電話 【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン)@ジョジョの奇妙な冒険】 [状態](6人目)・魔力消費(極大)・宝具「D4C」無し・気配遮断 [装備]:拳銃 [道具]:携帯電話 【アサシン(ファニー・ヴァレンタイン)@ジョジョの奇妙な冒険】 [状態](7人目)・魔力消費(極大)・宝具「D4C」無し・気配遮断 [装備]:拳銃 [道具]:携帯電話 【新都・双子館/黎明】 【ジョン・バックス@未来日記】 [令呪]:2画 [状態]:疲労(大)、魔力消費(大)、冬木市市長 [装備]:「The watcher」 [道具]:栄養ドリンク(箱)
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「それでね、やっぱりこれかなって。」 「でもお昼にも食べたでしょ。」 「ほら、家で作るのと違うし。」 「焼きそば家で作ったことないからわかんないわ。」 しれっとNPCに暗示をかけしれっと鍵を受け取りしれっと衛宮切嗣達が拠点にしたのは、家主が勝手知ったる衛宮邸。そこで竜堂ルナはやけに馴れた手つきで切嗣に監視されたバーサーカーに監視されたアーチャーに監視されながら夕飯の焼きそばを炒めていた。 話は四時間ほど前にさかのぼる。バッティングセンターで衛宮切嗣は、この聖杯戦争で始めてと言えるまともな魔術師と出会った。出会ったといってもNPCなので結局切嗣はルナ達以外の他の参加者とは出会っていないも同然なのだがそれはともかく、彼はそこで魔術師としてNPCから聖杯戦争の情報を聞き出すことに成功していた。 曰く、冬木の聖杯は遠坂家当主の遠坂凛らにより数年前に破壊されたはずなのにどういうわけかまた聖杯戦争が行われている。 曰く、その遠坂凛は今はロンドンにいるはずだが行方不明になっていて聖杯戦争の監督役を務められる人間が誰も冬木にいない。 曰く、そのために神秘の秘匿が行われていないとして魔術教会や聖堂教会が明日にでも介入してくる。 曰く、それに先立って警察や自衛隊が冬木に入り表向きの事態の収拾を図る。 自衛隊が出張る時点でもはや事態の収拾どころの話ではないと日本の事情に通じた魔術師ならばわかるだろうが、それでも動かさなくてはならないレベルで深刻な影響があるのだろうと切嗣は察した。この時切嗣は始めてカルナの姿がインターネットを通じて全世界に目撃されたことを知ったのだ。彼としては確かにカルナの姿はそれこそ千人単位で見られたと想定していたが、それは第四次聖杯戦争の海魔等も同じである。あの時も相当事後処理に手間取ったというがそれはあくまで日本の一部で話題になる程度のものでありまさか世界規模で注目されることになるなどとはさすがに考えていなかった。聞けば、既に十カ国以上のマスメディアと、十や二十では済まない数の外交官が冬木に入っているという。いわんや日本のテレビ局などドラマの再放送を潰してまで冬木市を生中継し続け、テレビ東京さえもヘリを飛ばしている。二十年の間に進んだ情報化は聖杯戦争のあり方を大きく変えていたことに、切嗣はようやく気づいたのだ。 さて、ここで切嗣が抱いた感情は、まずは安堵である。幸か不幸か自分達は開戦からずっとあの色んな意味でバーサーカーな主従に振り回されたせいで全く聖杯戦争らしきことはしていない。どこの世界にサーヴァントを実体化させて連れ歩いたり一緒に食事したりバッティングセンターでバットを振るうマスターがいようか。だがそのおかげと言ってはなんだが、四人中二人がサーヴァントであるにも関わらず魔術師のNPC相手にすら聖杯戦争の参加者とは思われていなかった。あのバッティングセンターでのことも、神秘の秘匿に無頓着な子供が遊びに魔術を使ったからNPCが隠ぺいしていたというだけで、ようは子供の火遊びぐらいにしか認証されていなかったのだ。実際、アーチャーもバーサーカーも表に出ている魔力だけならば魔術師といっても通じるレベルではあるので誤認されるのもそう不思議ではないのだが嬉しい誤算ではあった。 そして次に、切嗣はあるプランを思いついた。この聖杯戦争に参戦以来何度か考えはしたが非現実的だとして頭の中で却下し、本選が始まってからはバーサーカー主従のせいで諦めていたそれだが、現実の方が大きく変わってくれたおかげで目処が立ったのだ。即ち。 「おい、もっと離れ……いや、近づけ。少しでも銃に触れればお前の首を飛ばすぞ。」 「安心して、それより早く私がアンタの首をはねる。」 「……こっちも、食事の前に血生臭いことはしたくないさ。」 「ご飯の時ぐらいなかよくしませんか……あ、切嗣さんそこのソース取ってください。」 衛宮切嗣がコートの下に提げるのは自動小銃。彼は自衛隊から装備を奪取することに成功していた。 「ほんとだ、けっこう簡単。」 話は三時間ほど前にさかのぼる。アーチャー(クロエ・フォン・アインツベルン)は自衛隊の集結地である穂群原学園のに赴いていた。バッティングセンターを後にして、切嗣がルナ達を情報収集の名目で丸め込んで避難所も兼ねたそこに向かうと、彼女は転移を繰り返して自衛隊装備の万引き、もとい奪取に勤めていたのだ――ようやく念話以外で魔術を使ったと思ったらただの泥棒だったりそのせいで知らぬ間に翠屋の同盟とも間桐邸の同盟ともホテルの同盟とも彼女の妹であるイリヤとも出会う機会をまたも逸してしまったのだが、銃とか手に入れるためだし仕方ないね――。 レンタルしたekスペースの後部座席を倒して荷台を広げると、アーチャーの不在についてバーサーカーから問い詰められる切嗣に足止めを任せて軍事物資を詰め込んでいく。そして素早く切嗣の元に戻り、バーサーカー(ヒロ)をなだめてから再び転移で泥棒し、詰め込み、なだめに戻る。この三拍子をぐるぐる繰り返しながら彼女は荷台に武器を詰め込めるだけ詰め込んでいた。はっきり言ってやっていることは相当地味である。ただ監視の目を掻い潜って実体化して手に持てるだけ物を持って車までワープしているだけだ。だが車に戻って他の場所で情報収集をしようという段になってバーサーカー主従が武器庫と化したそれに驚いたり席が二つしかなくなったのでサーヴァント二人は霊体化して屋根の上に乗るはめになったり自衛隊員が青い顔をしながら血眼になってたりともろもろあったが、こうしてアーチャー主従は大量の武器をついに入手することに成功したのであった。 ところで転移というのはそれなりに魔力を消費する魔術である。彼女はマスターである切嗣がイメージする、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンのイメージに引きずられている為に小聖杯としてのイリヤが強く出ているので燃費の軽いサーヴァントとなっていて、更にマスターの切嗣も魔力を持っている上に主従の相性も良いので、普通ならば魔力切れなどという事態は起こりにくいのだが、やはり何事にも例外はあるのだ。さしものアーチャーも何度も何度も転移を繰り返せばガス欠になるのは避けられなかった。 アーチャー主従がバーサーカーと縁を切らずに衛宮邸を陣地に選んだのはそこにある。幸運にも、バーサーカー主従はアーチャーの消耗には気づいていなかった。ならば拮抗状態を維持しながら有事の際の盾にできると踏んだのだ。彼等が魔力供給をするまでの。要するに衛宮邸はヤリ部屋である。 アーチャーとしては、魔力供給は必要とあらば吝かではなかった。魔力補給のスキルでルナとバーサーカーからは魔力を効率良く収奪できる。できるし吝かではないのだが、だからといってやりたくはないのだ。彼女にだって誰とキスするか選ぶ権利がある。 ルナとキスすればイリヤ程とは言わずとも相当の魔力を獲られるだろうが、申し訳無いがルナへの好感度の点でノーサンキューである。吸い殺して良いのなら苦渋の決断もしなくはないが、さすがにキスで人を殺すのはアーチャー本人としても如何なものかと思っていた。 バーサーカーなど論外だ。というかそんなことをしようとすれば確実に殺しに向かってくるだろう。このアーチャーの考えは正しく、もしそんなことを提案すればバーサーカーは己とマスターの貞操のために割りと真剣に同盟の破棄も考え出すので縁を切りたいアーチャーとしてはある意味正解ではあるのだが、それはバーサーカーの狂化スキルを作動させかねない諸刃の剣でもあるので自重しておくのがベターである。 というわけでこうなると残っているのは一人だ。つまり切嗣だ。同性ではないため本来は魔力供給の効率はそこまで高くはないのだが、父娘であるために相性はバツグンであるのが大きなメリットである。と同時に大きなデメリットでもあった。さすがに彼女としても実の父親とキスするのには若干の抵抗がある。一等親はまずいだろ一等親は。 どうするにしてもとりあえずシャワーを浴びてから考えたい。略奪した武器を自衛隊に見つからぬように素早く学校から離脱すると、クロエ主従は早急に拠点を探していったん落ち着くことを選んだ。いつまでも根無し草というわけにはいかないからだ。そうして切嗣が拠点と決めたのが、ここの冬木でも変わらずにあった衛宮邸であった。 「焼きそば!」 ずるずる。 「うん、おいしいっ!」 「改めて考えるとサーヴァントは食べる必要は無いのではないか……あ、美味しい。」 「なんだろう……無駄に美味しくてイラッとくる。」 (悪くない。) そうこうあって衛宮邸、順に入浴を終えた一同は互いに間合いの一歩外に座りテーブルを囲んでいた。 元の家主が丁寧だったのか屋敷を管理していた人間が気配りのできる人間だったのかは不明だが、衛宮邸には拠点として生活を送る上で欲しい物は一通り揃っている。さすがに細々とした日用品は買いたさざるをえなかったが、彼が生前誂えた鳴子もそのままあり、懐が寂しい切嗣にとってはこれ以上ないものと言えよう。もっともあまりに自分の知るその家とそっくりなそれになにか居心地の悪いものを感じるのも確かだが。 何はともあれ念願の拠点が手に入ったことは全員にとってプラスであるのは間違いなかった。食事と休息でそれぞれの魔力もある程度は回復している。この時時刻は八時過ぎであった。 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ そして現在、時刻は零時五分前。 「さてさて……」 クロはいつもの赤いアレではなく、いくらか落ち着いた感じのパジャマに身を包み布団の上で正座していた。 バーサーカー達ははなれで既に就寝に入りつつある。丸一日近く続いた冷戦は、多少の距離をとって睨み合う程度には落ち着いていた。そしてバーサーカー達は知らないことだが、彼女達が仮にクロ達を襲おうとすればその時点で鳴子が鳴り危機を知らせる。あのわかりやすい二人ならば確実に引っ掛かるであろう。誰にも邪魔させない―― 「――スキン付けないほうが良いかな。」 切嗣は襖一枚隔てた隣室で盗んできた銃の手入れを行っている。かすかに油の匂いが漏れ出るそれをクロは小悪魔の眼光で見つめた。 父娘共にいくらか休んで魔力を回復しているが、やはり未だ本調子とは言えない。今夜中に戦闘が無いのなら急ぐ必要もないが、今日一日を振り返るとそれに期待するのは些か虫が良すぎるだろう。そしてなにより、あのバーサーカー達というイレギュラーが存在することをこれまでで散々に痛感している。彼女達がいなければ本日のクロ達の動きは全く違ったものであっただろう。ならば不測の事態の備えとして手っ取り早くパスを拡げて魔力供給するのも戦略の一つである。別にクロがエッチしたいが為にこんなことを考えているわけではないということだけはハッキリとさせておこう。 さて、ここでクロには三つの選択肢がある。つまり、Aか、Bか、あるいはCかだ。 Aの場合は、普段彼女がやっている通りの魔力供給であるため非常に安定して行えるのがメリットだ。同性でないためいくらか勝手は違うが、親子ならば効率良いはずである。もしやるのであればこれが望ましいであろう。なにより健全だ。 Bの場合は、手続き的にはぺろぺろからのちゅーちゅーからのごっくんである。厳密に言えばぺろぺろは省けるしなんならちゅーちゅーもオミットできるが、しかし間違って顔に掛けられる可能性を考えればここは安定を取るべきであろう。ゴムに出したものを啜って飲むという手もあるが、さすがにそんな痴女みたいな変態っぽいことはしたくない。粘膜の接触により精神の同調を図れることもあり、基本に忠実に行くのが望ましいと言える。ただ一つ問題があるとすれば、クロ個人としてはキスしたこともない相手とそういうことをするのは存外憚られるということだ。 Cの場合は、まず物理的な問題が立ちはだかる。クロは確認したことがないのでわからないが、果たして挿入るのか不透明だ。これは大きなリスクである。聖杯としての力を使えば多少の困難も無理でこじ開けられるが、そもそも魔力目的でやるのに魔力消費をしてしまえば本末転倒甚だしい。そこでマリモクの観点からすると妥協案として浮かび上がってくるのが、彼女の鶴翼三連が如く後ろを使うという方法である。こちらならある程度の冗長性があるので諸々のリスクを軽減できる。しかし、どうだろう。前より先に後ろというのはアブノーマルが過ぎるのではないだろうか。だいたい近くのコンビニにイチジク浣腸を買いに行くなど恥ずかしすぎる。また根本的な問題としてどの程度魔力供給できるのかがブラックボックスだ。どうせ使わないところに生命力を貯めるくらいなら少しでもクロに還元するのは悪いアイデアではないのだが、体内の深部での接触が効率的とはいえどあいにく彼女の知識を持ってしても前と後ろのどちらの方が効率が良いかはわからないのである。なんだかエロゲみたいな話だが実際そうなんだからしかたない。人体はそれそのものが神秘なのだ。 むふー、と息を吐くと枕元のティッシュの位置を微調整する。やるんなら早い方が良い。しかし、そうやすやす決断を下して良いものでもないのだ。今後に大きく関わってくる。ちらっとクロは時計を見た。まもなく零時。残り数十秒で決断できないのなら、やめておくのが良いだろう。確かに聖杯戦争が激化すると予想される夜を今のコンディションで迎えるのは怖いものがあるが、だが同時に魔力供給後のコンディションに不安があるのも間違いない。万が一痔などで遅れを取りでもすれば目も当てられない。初めては血が出るという伝承を考えればやらないのもあるのだ。だいたいローションもないしそれに―― 『――マイ――スト――なさ――すか――』 『――!?念話っ!』 突如頭の中に響いた声でクロは意識を己の内から外へと向けた。目の端に見えた時計の短針と長針は重なり、秒針のみが機械的に動いている。いつの間にか日付は変わっていた。 するりと襖も開く。切嗣は口に指を当てて耳を済ませているようで、クロもそれにならった。 『―なさん―一目は――しょうか―こんばんは、私―ルーラ――達を開始―します。』 なおも念話は続く。その内容から、これがルーラーの通達だと理解した。聖杯戦争の進捗、それによる被害、そして唐突な期間の短縮。話し手のあどけない口調に対してあまりにも重要な情報が次々に伝えられていく。そして念話からイリヤの名前が出てきてクロと切嗣が目を合わせた次の瞬間、念話がイリヤのサーヴァントの真名を告げた途中でいきなり終わり、一泊置いて轟音と地鳴りが響いた。 (残り十六組――七騎じゃなくて十六騎、ううん、それ以上、クラスのダブりもある――) (NPC――そう言うからには管理してるはず。じゃあバグ?それともわざと――) (討伐令――生死問わずで、五組、五画の令呪、一組一画?――) (通達の中断――ルーラーが殺された、ないし襲われた……ルーラーも恐れない、違う、恐れてるからこそ邪魔な存在を消しに動いた――) (イリヤ――ランサー・カルナのマスター……ハメられたの、それとも、どうして――) 「アーチャーさん!切嗣さん!大丈――」 「――!いつの間にっ!」 混乱するクロのすぐ後ろから聞こえたのはルナの声。転移かと見まごうようなステップで背後に現れた彼女に、クロは反射的に投影を行うと両手に持ったそれを振り抜いた。それをルナは「うわっ!」と一つ叫び声を上げると共に裏拳で弾き飛ばす。左右に飛んでいった双剣が襖の前で一瞬止まり、逆回しのように戻ってくる。鳴子が鳴る。挟み撃ちする形でルナに迫る白と黒のそれを髑髏の左于が掴むとその双眸から睨むように炎が上がった。 「説明してもらおうか……色々と、な。」 ヒロの目が怪しく憎悪に揺らめく。その手から立ち上る熱気にクロの頬を汗が伝った。 ■ ■ ■ ■ ■ ■ ■ 「転移に暗示とは、弓兵とは思えない器用さだな。」 「ありがと。鎌仕舞ってくれる?」 検問を暗示でやり過ごすと切嗣は車の南下を再開する。目標は、深山町の端、南部の森。そこに人知れず存在するアインツベルン城である。 「ランサー・カルナの居場所に心当たりがある。」 衛宮切嗣がそう切りだしたのは、アーチャー・クロエの喉にバーサーカー・ヒロの大鎌が突きつけられている時のことであった。急に後ろから声をかけて驚かせた、とルナが謝罪するもサーヴァント同士が睨み合う一触即発の状況で、その口から発せられたのは、この状況とは何ら関係のないことである。 舐めているのか?そうヒロは疑心と反感を強めるも、鎌を努めて抑えクロの頸を撥ねぬようにする。先のアーチャーの振る舞いは非礼の極みでありこちらにも一里の非はあれど今ここでその魂を冥界に送ってもなんら問題はないが、彼らにはまだ利用価値がある。もっとも、魔力を消耗しているこの二人を切り捨てたところで痛手ではないが、だがだからこそ殺す価値がない。その気になれば何時でも殺せるのだ、ボロ雑巾のようになるまで利用するのが賢い選択であろう。 「話せ。」 故にここは切嗣の誘いに乗る、そうヒロは選んだ。 「さっきルーラーに呼ばれたカルナのマスター、イリヤスフィール・フォン・アインツベルンは僕の娘だ。」 「……なんだと?」 クロが思わず切嗣を振り向く。その動きに思わず撥ねそうになるも、ヒロは堪えて切嗣に問い掛けた。 「正しくは、僕の娘と同姓同名に聞こえた。確かめるためにも行きたい場所がある。」 「娘か……父娘で揃って聖杯戦争のマスターになる、か。偶然にしては出来過ぎだと思うが?」 「そうだな。だから偶然じゃないと思う。僕が聖杯戦争に参戦したから巻き込まれたのかもしれない。それを確かめたいんだ。」 切嗣は、イリヤとの関係について嘘をつかず正直に答えた。それがもっともこの状況を切り抜け次に繋がると考えたからだ。 普通に考えれば、こんな話は誰も信じない。どう言い繕うと無理がある。故にバーサーカーは乗ってくると、切嗣は信じていた。こんな見え透いた嘘であるが故に、バーサーカーは切嗣に言い訳を続けさせる猶予を与える、と。 「で、場所は?」 「南部の森だ。そこには城がある。魔術で隠蔽されているがね。」 「――フフフ、バカバカしくていっそ笑えてくる。随分とこの街について詳しいな。」 「ああ、元となった街に五年間住んでたことがあるからな。」 「たいがいにしろ。随分とお前は聖杯戦争に縁があるな?」 ここだ。切嗣は見つけた。 「僕はリピーターなんだ。1994年。今から二十年前に行われた、第四次聖杯戦争の参加者だ。」 「どんどん話が大きくなるな。続けろ。」 「そして1999年に死んだ、はずだ。気づいたら15年後になっててこの聖杯戦争、第六次聖杯戦争のマスターになっていた。」 「……待て、聖杯戦争は十年置きに行われるのか?」 「そもそも聖杯というのは元を正せば魔力の塊だ。サーヴァントを生贄に魔力を増幅させるが、そのサーヴァントを喚ぶ為に元手となる魔力が必要となる。普通は時間経過で魔力を少しずつ蓄積するが、前回の聖杯戦争の魔力がプールされるなりして残っていれば、時期を早めるのは可能だろう。」 「その……聖杯ってどんな形してるんですか?」 「僕も詳しいことは知らないが、赤と黒の泥状の魔力をしている。色の通り、触れればろくでもないことになる。」 「……2004年……赤と黒の泥……」 この時、切嗣も想定外であるが、ルナとヒロは切嗣の与太話を一気に信じることとなった。全くの偶然であるが、彼のその言葉はルナの経験と重なる部分があったのだ。彼女は2004年も暮れの冬、魔力の塊である聖杯同様に妖力の塊と言える『悠久の玉』と呼ばれる一種の願望器を自分の弟と争っている。玉と杯という違いはあれど、その力の見た目は色といい形といい類似している。そしてなにより、ルナも切嗣と同様に死んでここに来たのだ。実はルナはあの時死んでいなかったのだが、ルナ本人としてはその違いに気づく手はない。そしてそんなことはルナにとってどうでも良かった。『死んだ人間が聖杯戦争に招かれ』て、『家族で聖杯戦争に巻き込まれる』のならば、自分の弟であり目の前で死んでいったタイを救えるかもしれない、会えるかもしれない。そう思うと、もうなにもかも耳に入らなかった。 「案内してください、切嗣さん。」 「ルナ!」 「その森って、さっきの学校の近くにあった森ですよね。そこにお城があるんですね?」 「ああ、前回僕が拠点とした場所なんでね。仮に彼女がいるなら、まずそこを拠点とするはずだ。」 「くだらん!城一つ隠蔽するだと?それを行うためにどれほどの手間暇が掛かるかわからず言っているのか!」 「そのアドバンテージがあるから僕は聖杯戦争に乗ったのさ。信用できない気持ちもわかるが、なんなら令呪を切ろう。」 「バーサーカーさん。」 「『令呪を持って命ず、アーチャー、バーサーカーとそのマスターの竜堂ルナに攻撃するな。』」 「!!お前……」 「バーサーカーさんっ!」 「さあ、どうする?」 「世迷い事を!ここで死「バーサーカーさんごめんなさい!『切嗣さんとアーチャーさんに攻撃しないで!!』」――なんだとっ!?」 「……君のマスターは、乗り気のようだが?」 クロの頸からぶるぶると震えながら、ヒロはゲート・オブ・ヘブンを離す。忌々しい、と顔に書いてあるかのような表情で切嗣を睨むと、座布団の一つにどっかと腰を下ろして、「いつ出発する」と言う。賭けに勝った。切嗣は心中で安堵しながらも「一時間後だ、さっきから事態が動いている。最低限の情報収集をしたい」と告げる。縁側に出ると新都の方で煙が上がっていた。 ルナが反応してきた辺りでバーサーカーから標的を移したが、その切嗣の狙いは思いの外うまくいった。先に虎の子の令呪を切ってみせれば落ちるとまでは読んでいたが、あちらも令呪を切ってくるとは嬉しい誤算である。期せずしてこれで後顧の憂いがなくなった。縁を切ることは難しくなったが、肉壁としては使えるだろう。 『念話で聞いてたのと違うんだけど?』 『すまない。それに令呪も……』 『ま、いいけど。後ろからバッサリやられることはなくなったわけだし。それにさっきの令呪で少しは魔力の足しになったしね。』 付け加えるならば、ヒロに拘束された時点で、切嗣はクロへ転移により拘束から逃れてバーサーカー主従を殺すように指示していたのだが、そんなリスキーな方法を取らずに場を収められたのもラッキーだ。彼としても娘に同年代の子供を殺させたくない。 情報収集とアインツベルン城へ出発するために動き始めた一同を見て、切嗣は懐からガムを取り出すと奥歯で噛み締めた。 「見えた。あの森だ。」 そして現在、検問を抜けた切嗣達は森の中へと車を走らせようとしていた。近づき難い雰囲気のそこは魔術師ならばある種の結界が張られていると察することができるだろう。鬱蒼とした下草が生える一見道なき道を往くと、少しして小道が出てきてひたすら一本道を進む。 「明らかに人の手の入った道か。」 「嘘じゃないとわかったかい。」 「ふん。」 「……まあ、気になることがないわけじゃない。そろそろ出てきてもいいはずなんだが。」 「城か?迎撃か?」 「迎撃だ。森に入った段階でこっちの動きは筒抜けのはずなのに、全く動きがない。アサシンのクラスか?」 拍子抜けするほどなにもなく車は進む。少しして全員の前にいかにもな城が現れた。 「……小さいが、確かに、城だな。」 「すっごい大っきい……」 「轍が残っている。ということは……」 小雨がパラつくなかそこに鎮座するアインツベルン城は、その威容と相まってホラー映画にでも出てきそうな存在感がある。周囲を捜索していたクロが戻ってくると、切嗣は玄関に車を横付けにした。 「どうする。」 「正面から行く。あの城はどこから攻め込もうと同じだ。」 「小細工の一つでもするのかと思ったがな。」 「無駄だよ。それに中の人間を刺激したくない。」 切嗣はクロに目配せすると銃のセーフティを確かめた。誘い込まれているのか違うのかはわからないが、城の内部からはハッキリとサーヴァントの気配がする。この距離だと隠蔽の魔術でも抑えられぬプレッシャーがある。 「行こうか。」 一呼吸置いて言うと、まずヒロとクロがその扉の前に現れる。その大きさを感じさせぬ軽さで扉が開くのを見ながら、切嗣とルナは車から降りた。こちらにいるということは、つまりは切嗣の方のイリヤなのであろう。そう考え、サーヴァント達に続いて城へと足を踏み入れると―― 「……色々と聞きたいことあるんだけど、あ~、何から聞けばいいかな…そのムキムキのサーヴァントってカルナ?」 「……私のバーサーカーがあの金ピカと同じに見える?こっちも聞きたいんだけど……あなた、サーヴァント?」 「どういうわけかね。で……そのボロボロの銀髪のオッサンは?」 「アサシンよ。ハサンじゃないみたいだけどね。」 ――そこにはアサシン・千手扉間がバーサーカー・ヘラクレスにのしかかられ五体投地していた。 さて、千手扉間には飛雷針の術という自らが開発した術がある。これは事前にどこかにマーキングしておくことでそこにワープできるという類の忍術だ。そしてこれは彼しか知らないことだし知ってたとしても忘れていたと思うが、彼はヘラクレスの石斧、アレにこれまた彼の開発した術である影分身でマーキングしてたのだ。 さて、千手扉間にはホテルの同盟のサーヴァントとしてカルナと戦う役目があった。だが常識的に考えてほしい、マスターの九重りんはパンピーのJSだし穢土転生に起爆札に水の無い所で水遁など扉間はチャクラを使いまくっていたのだ。このコンディションでは、悔しいが足手まといにしかならないと扉間は明晰な頭脳で客観視していた。 「飛雷針の術!」 「■■■■■■■■■■!!!」 「グハアッ!!?」 「バーサーカー?どうし――え?」 というわけで他のサーヴァントを囮に残し、カルナの宝具で死んだと見せかけられるタイミングでバーサーカーの元へ逃げたのであった。ちょっとバーサーカーは狂化してるはずなのに心眼スキルで素早い反応してきたりマスターのりんが自殺したりというアクシデントはあったが、彼はなんとか生き残っていたのだ。 「アーチャーさんが、二人!?」 「どういうことだ切嗣!説明しろ!」 「ここに来るってことはもしかしたらって思ったけど、やっぱりそうなんだ……」 「あとお前は誰だよ。」 一方のイリヤとしては突然銀髪のオッサンが現れてヘラクレスにのされたりそもそも自分の名前が何故かカルナのマスターとして呼ばれたりと困惑を深めていた。その上雑魚サーヴァントが接近してきたと思って招き入れてみれば何故か自分の父親が自分と良く似た少女をサーヴァントにして現れた。もう一人の方のマスターらしき少女も銀髪で赤目とホムンクルスらしき特徴がある。何よりその魔力は自分程ではないが相当のものだろう。バーサーカーはよく分かんないからいいや。 そんな混乱する一同の声を、ヘラクレスによって床にめり込まされながら扉間は聞く。扉間自身もよく状況がわからないが、まだ運の目がありそうだ。このままでは確実に消滅するが、また足掻ける。全員の気配に気を配りながら、口を挟めるタイミングを伺うのであった。 【アインツベルン城/2014年8月2日(土)0201】 【衛宮切嗣@Fate/zero】 [スタンス] 対聖杯 [状態] 五年間のブランク(精神面は復調傾向)、魔力消費(小)、精神的疲労(中・消耗中)。 [装備] 89式自動小銃(弾丸20×6)@現実、防弾チョッキ2型(改)@現実、個人用暗視装置JGVS-V8@現実 [道具] 89式自動小銃数丁@現実、弾丸数千発@現実、00式個人用防護装備数個@現実 [残存霊呪] 二画 [思考・状況] 基本行動方針 聖杯戦争を止め、なおかつクロエを元の世界に返す。 1 イリヤと話す。 2 アーチャーに色々と申し訳ない。 3 アサシンを警戒。 4 ルーラーの動きに疑問。 5 バーサーカー主従と縁を切りたい。 [備考] ●所持金は3万円ほど。 ●五年間のブランクとその間影響を受けていた聖杯の泥によって、体の基本的なスペックが下がったりキレがなくなったり魔術の腕が落ちたりしてます。無理をすれば全盛期の動きも不可能ではありませんが全体的に本調子ではありません。 ●バーサーカーとそのマスター・ルナの外見特徴を知り、同盟(?)を組みました。可能ならば同盟を解消したいと考えています。 ●コンビニで雑貨を買いました。またカバンにアーチャー(クロエ)の私服等があります。 ●セイバー(アルトリア)への好感度が上がりました。 ●eKスペース(三菱)のレンタカーを借りました。 ●『令呪を持って命ず、アーチャー、バーサーカーとそのマスターの竜堂ルナに攻撃するな。』の令呪を使用しました。 【アーチャー(クロエ・フォン・アインツベルン)@Fate/kareid liner プリズマ☆イリヤ】 [スタンス] 奉仕(切嗣) [状態] 筋力(10)/E、 耐久(20)/D、 敏捷(30)/C、 魔力(40)/B、 幸運(40)/B、 宝具(0)/- 魔力消費(小)、精神的疲労(中・消耗中)。 [思考・状況] 基本行動方針 衛宮切嗣を守り抜きたい。あと聖杯戦争を止めたい。 1 イリヤと話す。 2 アサシンを警戒。 3 魔力供給をしたい。 4 ルーラーの動きに疑問。 [備考] ●ルナをホムンクルスではないかと思っています。また忌避感を持ちました。 ●バーサーカーと同盟(?)を組みました。 可能ならば同盟を解消したいと考えています。 ●『令呪を持って命ず、アーチャー、バーサーカーとそのマスターの竜堂ルナに攻撃するな。』の令呪の影響下にあります。 【竜堂ルナ@妖界ナビ・ルナ】 [スタンス] 聖杯狙い [状態] 封印解除、妖力消費(中)、靴がボロボロ、服に傷み、精神的疲労(小)。 [残存令呪] 二画 [思考・状況] 基本行動方針 みんなを生き返らせて、元の世界に帰る。バーサーカーさんを失いたくない。 1 アサシンを見張る。 2 アーチャーさんが二人!? [備考] ●約一ヶ月の予選期間でバーサーカーを信頼(依存)したようです。 ●修行して回避能力が上がりました。ステータスは変わりませんが経験は積んだようです。 ●第三の目の封印を解除したため、令呪の反応がおきやすくなります。また動物などに警戒されるようになり、魔力探知にもかかりやすくなります。この状態で休息をとっている間妖力は回復しにくいです。 ●身分証明書の類いは何も持っていません。また彼女の記録は、行方不明者や死亡者といった扱いを受けている可能性があります。 ●バーサーカーの【カリスマ D-】の影響下に入りました。本来の彼女は直接的な攻撃を通常しませんが、バーサーカーの指示があった場合それに従う可能性があります。 ●『切嗣さんとアーチャーさんに攻撃しないで!!』の令呪を使用しました。 【バーサーカー(ヒロ)@スペクトラルフォースシリーズ】 [スタンス] 聖杯狙い [状態] 筋力(20)/D+、 耐久(30)/C+、 敏捷(20)/D+、 魔力(40)/B++、 幸運(20)/D、 宝具(40)/B+ 実体化、最低限の変装、精神的疲労(小)。 [思考・状況] 基本行動方針 拠点を構築し、最大三組の主従と同盟を結んで安全を確保。その後に漁夫の利狙いで出撃。 1 アサシンを見張る。 2 衛宮達を利用しながら好機を待つ。 3 ルナがいろいろ心配。他の奴等に利用されないようにしないと。 4 ルーラーの動きに疑問。 [備考] ●新都を偵察しましたが、拠点になりそうな場所は見つからなかったようです。 ●同盟の優先順位はキャスター セイバー アーチャー アサシン バーサーカー ライダー ランサーです。とりあえず不可侵結んだら衣食住を提供させるつもりですが、そんなことはおくびにも出しません。 ●衛宮切嗣 アーチャーと同盟を組みました。切嗣への好感度が下がりました。 ●衛宮切嗣が更に苦手になりつつあります。 ●神を相手にした場合は神性が高いほど凶化しずらくなります。 ●『切嗣さんとアーチャーさんに攻撃しないで!!』の令呪の影響下にあります。 【イリヤスフィール・フォン・アインツベルン@Fate/stay night】 [スタンス] 聖杯狙い [状態] 程度不明の命に別状はない怪我(全て治癒中)。 [装備] 特別製令呪、黒のワンピースとソックス、私服(陰干し中)。 [残存令呪] 3画 [思考・状況] 基本行動方針 全員倒して優勝する。 1 切嗣と話す。 2 アサシンを警戒。 3 明日の朝九時に間桐邸に向かう。 4 別行動しているキョウスケが気にならない訳ではない。 5 ルーラーの放送に疑問。 [備考] ●第五次聖杯戦争途中からの参戦です。 ●ランサー(幸村)、ランサー(アリシア)、アサシン(扉間)のステータス、一部スキルを視認しました。 ●少なくともバーサーカー(サイト)とは遭遇しなかったようです。 ●自宅はアインツベルン城に設定されています。 ●アサシン(千手扉間)がハサンではないことに気づきました。 ●アーチャー(赤城)、キャスター(パピヨン)、キャスター(フドウ)、ルーラー(イチゴ)、セイバー(アルトリア)、セイバー(テレサ)、ライダー(五代)のステータスを確認しました。 ●間桐慎二と色丞狂介に疑念を抱きました。 ●セイバー(アルトリア)の真名を看破しました。 ●ランサー(カルナ)の情報を入手しました。 ●柳洞寺で会談した結果、色丞狂介&キャスター(パピヨン)、ルーラー以外の情報並びにそれぞれの連絡先を共有しました。主に当事者以外のサーヴァントの情報でありこれには一部の聖杯戦争に関する情報も含まれます。またルーラーに大して言及を避ける暗黙の空気も共有されました。 ●ルナをホムンクルスではないかと 思っています。 【バーサーカー(ヘラクレス)@Fate/stay night】 [スタンス] 奉仕(イリヤ) [状態] 筋力(50)/A+、 耐久(50)/A、 敏捷(50)/A、 魔力(50)/A、 幸運(40)/B、 宝具(50)/A、 実体化、狂化スキル低下中。 [思考・状況] 基本行動方針 イリヤを守り抜く、敵は屠る。 [備考] ●石斧に飛雷針の術のマーキングがあります。 【アサシン(千手扉間)@NARUTO】 [状態] 筋力(15)/C、 耐久(15)/C、 敏捷(25)/A+、 魔力(10)/B、 幸運(5)/E、 宝具(0)/EX 気配感知、魔力不足(極大)、魔力不足により宝具使用不可、魔力不足によりスキルに支障、魔力不足により全パラメーター半減、飛雷針の術の発動不可のため敏捷が+分アップしない。 [思考・状況] 基本行動方針 聖杯を用いて木の葉に恒久的な発展と平和を。 1 りんの死に疑問。 2 消滅するまでの間に日野茜らの聖杯を悪用しなさそうな人間の情報とイリヤスフィール バーサーカー主従が聖杯戦争に乗っていることを他の二組に伝える。 3 茜らを任せられないと判断した場合はアーチャーかバーサーカー(ヒロ)を殺しそのマスターに再契約を持ちかける。 4 上記のサーヴァント暗殺に失敗した場合、自爆して聖杯を悪用しようとする人間を一人でも多く殺す。 [備考] ●予選期間中に他の組の情報を入手していたかもしれません。 ただし情報を持っていてもサーヴァントの真名は含まれません。 ●影分身が魂喰いを行ないましたが、戦闘でほぼ使いきりました。その罪はバーサーカー(サイト)に擦り付けられるものと判断しています。 ●ランサー(アリシア)の真名を悟ったかどうかは後の書き手さんにお任せします。 ●バーサーカー(ヘラクレス)に半端な攻撃(Bランク以下?)は通用しないことを悟りました。 ●バーサーカーの石斧に飛雷針の術のマーキングをしました。 ●聖杯戦争への認識を改めました。普段より方針が変更しやすくなっています。 ●九重りん、ワイルド・ドッグ、アーチャー(安藤まほろ)、色丞狂介&キャスター(パピヨン)への印象が悪化しました。 ●ランサー(カルナ)の戦闘を目撃しました。 ●イリヤ(kl)の髪の毛を入手しました。日野茜の病室に保管されています。 ●ルナをサーヴァントと、うず目を万華鏡写輪眼と、妖力を九尾のチャクラと誤認しました。 ●ホテルの上から三階までを陣地化しました。 ●ホテルマンの一部を幻術の影響下に置きました。 ●美遊・エーデルフェルトからサファイアを介して得られた魔力はスキルと宝具の使用で全て使い果たしました。魔力供給がなされない場合数分以内に消滅します。